マヌケで壮絶な私の人生の一部です・後編

 仕事休みの日。

 お店に通いだして買い続けたポテチ。時々カウンターの隅にある厚めの板チョコ(輸入品)も買っていたんですが、お店を訪ね入るまでには時間がかかりました。

 この時の私は

 お金を払っているのだからためらうことはないのです……が、ゲーム専門のお店なのにゲームそっちのけでポテチしか買わないのが奇っ怪な行動に思えて、ものすごく恥ずかしかったんです。

 実際……奇っ怪ですよねf^_^;


 カイトさんに会えたらいいなという思いだけでがんばっていたポテチ購入です。食べ飽きちゃった事情もあり、家族や同僚さんにも食べてもらいましたが、我ながらよくがんばった‼︎

 カイトさんは店長ですし、会議とかでいない日もありました。いないとわかるとガッカリしたんですが、店員さんみんなが気さくで楽しいお店です。お話好きな女の子カナちゃん(仮名)は私が行くとすごく喜んでくれて、ゲームのことを色々教えてくれました。


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 買ったお菓子を時々差し入れに持っていって、店員さんみんなと親しくなっていたある時、びっくりすることがありました。カイトさんと一緒に写真を撮って、お店のブログに載せてもらったんです。

 前編にも書きましたが、私は顔面偏差値が低くカイトさんはイケメンで【逆美女と野獣】状態です。

 私は大の写真嫌い。

 カイトさんの『ブログに載せたいんで、写真を撮りましょう』という提案に驚き『無理です‼︎ ブログとか絶対無理です‼︎』と断ったんですが、『お店に来てくれるお礼がしたいんですよ』という声に折れ、肩を並べて写真を撮りました。眼鏡っ娘スズちゃん(仮名)がスマホで写してくれた一枚。

 数日後、ブログを見たら本当に写真を載せてくださっていて、【逆美女と野獣】っぷりに顔から火が出る思いでした。

 同時に思ったことは、嫌なことはいつまでも続かない。私のがんばりは中途半端だけれど、がんばってればいいこともあるんだな……ということ。


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 お店に行けなくなった非常事態。

 それはポテチを食べすぎたのか、頬っぺたいっぱいに吹き出ものが出来てしまったことです。これに呆れたのは職場の同僚さんでした。


「月野さん、ゲーム買いなよ。面白いし、お店の人ともっと話せるんじゃない?」

「ゲームかぁ。……色々ありすぎて訳がわからない」

「3DSは? 私持ってるけど、どうぶつの森とかいいかも。月野さん知らない? 動物と仲良くなるゲームなんだけど」


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 同僚さんの勧めで買った3DS。

 どうぶつの森をやり始めて、ゲームの面白さを知ることになりました。店員さんみんなが、3DSのお気に入りを教えてくれて、他のどんなゲームをやってみようか? と考えていた矢先。

【ポケモンX・Y】という、3DSの新しいゲームが話題になり、お店でそれにちなんだイベントの開催が決定です。


「月野さん、来れませんか?」


 ポケモン好きな店員コニシ君(仮名)が言いました。


「イベント、みんなで遊びましょうよ」

「ポケモン……私、ピカチュウしかわからないんだけど大丈夫かな?」


 コニシ君の楽しそうな反応を受け、ポケモンXの購入を決めイベント参加を約束しました。


 購入したポケモンXをプレイしながら待ったイベント当日。『参加者で対戦するんで、レベルを上げるだけ上げといてくださいね』とコニシ君に言われたので、よくわからないなりにレベル上げをがんばりました。


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 イベント当日。

 この日はすごく楽しかったです。

 店員さんや、参加した子供達やゲーム好きな社会人の方々と対戦。子供達の無邪気なポケモン話を聞けたりもしました。

 ゲームに無関心だった私が、ゲームのイベントに足を運んで笑う時が来るなんて、人生は何があるかわからないものです。

 カイトさんは、イベントの場にはいなくてカウンターで接客。

 イベントを終え『楽しかったです』と声をかけると『そうですか、よかった』とカイトさんは笑ってくれました。


 その後、たまたまお店に来ていた別店のゾンビ店長(この方、顔色が悪く華奢な体つきで、実際にゾンビというアダ名がついていました)と話す機会があったりと、私にとってお店に行ける休みの日は待ち遠しく楽しみなものとなっていました。けれど……










 楽しいことも悲しいことも、始まりがあれば終わりは必ずやって来るのです。





 ある仕事休みの日、お店を訪ねるとゾンビ店長がいました。陳列棚を掃除していたカナちゃんが私に気づいて『こんにちは〜』とにっこり。


「あぁ、月野さん。こんにちは」


 ゾンビ店長がにこやかに笑いました。どうしてゾンビ店長がいるのかわかりません。


「えっと……何してるんですか?」


 わからないままゾンビ店長に話しかけると。


「人事移動がありまして。◯◯店のヤマダ店長(仮名)の入院で、カイト君が◯◯店に行ったんです」


 困惑気味なゾンビ店長を前に頭の中は真っ白です。

 わかることはカイトさんがいなくなった。移動先のお店が何処にあるのかわかりません。

 この時の私はどんな顔をしてたんでしょう。何も考えられず何も言えなかった。

 なんのためにここに来てたんだっけ……


「僕も驚いてるんです。言われたのがおとといだから。びっくりしますよね」


 ゾンビ店長の話にうなづきながら、私はぼろぼろと泣いてしまいました。


 なんのためにここに来てたのか。

 色々お話したかった。

 カイトさんが笑っていたら嬉しかった。


 私が泣きだしたのを見て、慌てふためいたゾンビ店長。


「月野さんっ‼︎ カイト君生きてますからっ‼︎ ◯◯店で元気に働いてますから‼︎」





 その後もしばらくはお店に通いました。仲良くなれた店員さん達と話し笑いあって、ゾンビ店長も私に気づくと『いらっしゃい月野さん』と笑ってくれる。居心地がいい場所に変わりはなかったけれどカイトさんがいない。


 ◯◯店がある場所を調べもせずに過ぎて遠のいた日々。通うことをやめた寂しさは遠のき今がある。


 会えることも話せることも、突然に途切れてしまうことがある。

 だから出来るだけ、その時に出来るだけの思いで会えることと話せることを、楽しみ大切にしていかなければ……です。






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 次回更新は、11月4日(月曜日)を予定しています。よろしければまた、おつきあいください🌸

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