第14話

 (革命なんて大それた事は諦めたはずだった。自分の命や将来を犠牲にしてまで俺は社会をどうこうしようなんて思えるほどの人間ではないと思い知らせたばかりだったはずだった。なのに、なぜ今も、どうすればこの国をひっくり返すことが出来るだろうかなどという革命ごっこのような事が頭をよぎってしまうのだろう。答えは既に分かっていた。先ほどの選択で、鬼門となっていたメンタルチェックの網目が少し荒くなり、時間的猶予や使い道の幅が広がったと感じてしまったからだ。もしかしたら、政府が仕掛けた罠かもしれない。『政府の監視下に置く』と先ほど宣言されている以上、先ほどの打診は根底にくすぶっている革命へのともしびを再度、再燃させるように焚きつけて、急なメンタルチェックを実施して処分するつもりかもしれない。もしも、思い描いた通りの策略であり、今このタイミングでメンタルチェックをやられたら、俺は終わりだ。しかし、これが政府の策略ではないとしたら。3年に1度のメンタルチェックという時間の猶予、俺自身が心療内科医を判定する立場にいる事実、この2つがあれば当初に思い描いた革命を実行に移すことは、かなり実現可能性が高くなっている。

 いや、待て待て。俺ははやる気持ちを抑えようと一度、深呼吸をした。一度、冷静になって考える必要がある。それに、俺を診察したサトウ先生にも話を聞いてみる必要がある。先ほどの政治家との話の中で感じた違和感。『サトウ先生の見立ては間違っていなかった』という発言はなんだろう。言葉通りにとれば、『俺が本当に革命なんて馬鹿げた事を考えるのを辞めている』という診察結果が間違っていなかったと政治家自身が確認した上での発言かもしれない。ただ、言葉の裏を取ろうとするならば、サトウ先生が意図して俺がこの立場に立てるように政府の人間に何か助言したようにも取れる。もしかしたら、サトウ先生も革命を志した過去があり、自分と同じ存在である俺に何かを託したかった。それ故、政府側には『反乱分子を作らないための研究をさせることが大事だ』といった理由を立てて説得して俺をこの立場に就かせた。真意としては俺にもう一度、反乱を起こさせるようにしたかったと考える事も出来る。まぁ、かなり強引で仮説だが可能性は0ではないはずだ。

 まぁ、これ以上、憶測で考えたところで意味はない。とりあえず、まずはサトウ先生に直接会って話を聞くことから始めよう。)

 俺は先ほどの政治家に心療内科医を診察する仕事について先輩の意見を聞きたいという建前を並べて、サトウ先生に会うための許可を得た。

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