第3話

「日本がひっくり返るキッカケとなった大事件とは何か?それは、65歳以上の日本人が一人残らず原因不明の病気で死ぬということが起こった。国会議員からホームレスまで職業など問わず、本当に全ての65歳以上の日本人が当時の日本から姿を消したんだ。国会議員も対象になっていることから、新種のウイルス説が有力だった。ただ、某国の陰謀によるものなのか、テロのようなものなのか?様々な説も飛び交い、いくつかの国とは戦争一歩手前になるほどの関係にまで行きかけたほどだった。なぜ、65歳以上が狙われたのか?それは、さきほどから話している少子高齢化が関係していた。ちなみに、先ほど事実を明かした当事者というのは、この大事件が起きた後に首相の座についた大膳光治郎だいぜんこうじろうだ。大膳の手記によると、『これ以上、日本に高齢者が増えると日本はいずれ破綻してしまう。であれば、日本を守るために高齢者には犠牲になってもらうしかない。しかし、こんな大それた事をやろうとすれば、必ず私たちの陰謀を阻む人間が出てくる。誰だって死にたくないから。まぁ、この議員の世界においても、そろそろ高齢の諸先輩たちには引退してもらおう。いわば、日本のリセットだ』ということが書いてあったらしい。」

ここで、生徒から質問が出た。

「65歳以上が狙われた理由は倫理的には納得は出来ないけれど、理解する事は出来ました。しかし、日本中に溢れかえっていた65歳以上の人だけを狙って殺すなんてこと、どうやって実行したんですか?」

「手記によると、仕掛けは実に簡単なものだった。まずは、いくつかの地域で高齢者が多い農村などを狙ったバイオテロを発生させる。ちなみに、このテロで狙われた農村では高齢者に限らず、全ての住民が死んでいる。本来ならば、この時点でテロや殺人、新種ウイルスなどあらゆる観点での可能性を探っていくはずだろうが、この時、厚労省の大臣は大膳だった。首謀者である大膳が陣頭指揮を取る立場にあったため、バイオテロなどのあらゆる可能性を全否定し、新種のウイルスによるものだと発表した。そして、このウイルスに効く特効薬が開発されたと発表し、全ての国民に抗ウイルス剤を注射する理由を作った。そして、日本国民に注射する際、年齢に合わせて注射の中身を変えたらしい。まぁこれで、高齢者全員に注射をうつことが出来た。しかし、この注射には細工が施されており、全員が死に至る事になった。この時、注射を製造した製薬会社は、この抗ウイルス剤が高齢者には効果が無かったせいだと責められて倒産する事になった。その時の社長は責任をとって自殺した事になっているが、真相は分かっていない。こう振り返ってみると、かなり乱暴な計画な気もするが、日本のいくつかの土地で同時に人が死んで、その理由がウイルスによるものだと発表されれば、パニックに陥り、正常な思考が出来なかった可能性もあるのかもしれない。また、自分の親族だけが死んでしまったならば騒ぎ出す遺族もいたかもしれないが、議員も含めて全ての高齢者が死んでいることで、責められる対象は製薬会社に集中する事になった。まぁ兎にも角にも、大膳が考えた計画の第一段階が無事に達成された瞬間、日本が大きく変わることが決まったんだ。」

「しかし先生。大膳だけで、こんな大それたことが実現できるとは思えないんですが。」

「それはそうだが、手記にも誰が関係していたかは書かれていなかった為に、今でも分からないままなんだ。もし、興味があるなら、これからお前が研究して真実を見つけてみると良い。」

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