第40話 ゴーレム
ひたすらに盗人ゴブリンリーダーを狩る。混乱ポーションが無くなれば、通常の盗人ゴブリンを狩って調達した。それを体力の限界まで繰り返し、究極に近い装備を揃えてからダンジョンを踏破した。
今は石碑の前に座り、ステータスの上昇具合と取得DPを確認している。装備はダンジョン踏破により消え去ってしまった。幾らか残念な気持ちはある。だが取得DPが増えると思えばまだ耐えられる。
アンリ・ボースハイト
累計死亡回数00013
始まりの試練 踏破 12時間17分13秒
ダンジョンを踏破(3回目)
HP294 MP10 攻撃力175(+13) 防御力176 魔法力1 素早さ35(+1)
武器:アダマンタイトバスタードソード+45
防具:ミスリルの重装鎧+36 ミスリルヘルム+28 精霊布のマント+5 貫きの指輪
特殊スキル:ステータス保持(固有)
所持DP:6256(評価+6240)
6256ものDP。今までとは一つ桁が違う。これだけ有れば
しかし大量の魔物を狩ったのにも関わらず、ステータス上昇が少し鈍い。自分と同じくらい強い魔物を倒さないと、ステータスの伸びも悪くなるのだろう。才能の限界に達しているとは考えたくない。力はいくら有っても足りない。
「まずは300DPで
目下、必要としているのは防壁。魔物が溢れるこの草原では、守りを固める必要がある。それに王宮勢力が攻めてくる可能性も否定できない。
農民上がりの兵士ならば、防壁がなくとも何百と来ようと負ける気はしない。だが全てを防ぐことは出来ずに領民が殺されてしまうだろう。だから防壁が要る。
それに兄上たちの中には戦争に特化したスキルを持つ者もいる。冬への備えと同じくらいに防備を固めることが重要となる。
「残りは全て
残り全てのDPを使えば59体のゴーレムが手に入れられる。ゴーレムは飲食不要で、さらに獣人の戦士よりも強い。膂力は並外れており防衛のみならず土木・建築などの力仕事に大いに貢献してくれるだろう。
報酬を選ぶと大きな金属体が一つ、そして一回り小さな金属体が59個出現した。
《個体名アンリに警告》
頭に響く声。石碑が語りかけてくる。少し苛立ちを含んだ声は、嫌な報告を予感させる。
《ダンジョン内での準不正行為を確認。故意に同等行為を繰り返した場合、処置を検討します》
盗人ゴブリンリーダーで荒稼ぎしたことを怒っているらしい。確かにやりすぎ感はあったが、ダンジョン内での法則を利用したものであり、不正と言われるのは心外である。
「分かりました……」
《……了承》
次からはもっと違う手段で稼ぐことにする。ダンジョン内の魔物、アイテム、罠は様々な性質を持つ。潜っているうちに新しい稼ぎ方も見つかるだろう。
「ゴレムス、手伝ってくれー」
運ぶのも一苦労なので外からゴレムスを呼ぶ。外は闇に包まれていたが、声を聞いたゴレムスは迷うこと無くこちらに駆け寄ってきた。
新しいゴーレムたちはゴレムスの弟分になるので、顔合わせもした方が良いと、そう判断しての事だ。正直な所、運ぶのが面倒くさいという気持ちもあるが。
「
「了承──すぐに作業にかかります」
「頼んだ。俺も半分は運ぶから」
二人で計60にもなる金属体を運ぶ。
「新しいゴーレムはゴレムスの弟分になるな。名前はどうするか……やはりゴレムスに因んだ名前にすべきかな。ゴレムスをゴレムス1として、新しいのをゴレムス2からゴレムス60にするか?」
「否定──管理個体名ゴレムスの単一性の保持を推奨」
「分かりやすく喋ってくれ。何だ、ゴレムスは自分の名前だから他のゴーレムに使われたくないのか?」
「肯定」
まさか名前を大事にしていたとは思わなかった。やはりゴレムスは意思の無い
「へえ……ふーん」
「報告──不適切な視線を感知」
草原に出てゴーレムの元になる金属体を等間隔に並べる。準備が完了すると周りの土や石を飲み込み、ゴーレムたちは体を形成していく。
少しするとゴーレムたちは命令を待つようにこちらを見つめる。これだけ居ると壮観だ。
「まあ照れるな。じゃあゴレムスはこれまで通りゴレムス。新しいゴーレムの統率を頼むぞ。新しいゴーレムは……悪いがゴーレム1とかそんな感じで。全部の名前は付けられん」
「了承──ゴーレム1からゴーレム59を指揮下に置きます。思考を並列化し有事に備え、夜間警備の為に散会します」
「並列化? よく分からんが頼む」
ゴーレムたちはゴレムスの命令を受けて散らばっていく。大量のゴーレムを見た歩哨が悲鳴を上げるが、ゴーレムたちが事情を説明すると納得してくれた。
「しまった……説明を忘れていた」
村の至る所で野太い悲鳴が聞こえてくる。確かに闇夜の中でゴーレムがいきなり大量に走ってくると怖いだろう。心配りが足りなくて恥ずかしい。
「一度、家に帰ろうかな」
鍛冶工房も作成完了している。明日辺りにオーケンに見てもらい、仕事の準備を始めてもらう。鉱石は以前にエイスが使っていたダンジョンから掘れば良い。
辺りを見回してもシーラたちは見つからないので、恐らく家の中に居るのだろう。帰ってきた事を伝えないと怒られるかも知れない。
ゆっくりと家に向かって歩く。ダンジョンに潜りっぱなしで疲れてしまったので、早く眠りたい。毛布を貰ってさっさと寝ることにしよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます