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「今度はふたりがかりかァ? いいぜ、卑怯だなんて言わねえ。どのみち勝つのはオレだからなあ!」
もはや人の域を超えた殺気を放つレオナスへ向けて、特攻をかけたのは同時だった。
白剣と光刃が宙を閃き、奴に向けて伸びる。
『
二人とも体はとっくに限界を超えていて、長期戦は望めない。だからこそ一気に間合いを詰め、一突のもと己が体すべてを槍とするこの技がベスト。そう互いに判断したすえの融合技だった。
とくに彼女と示し合わせたわけではないが、それを成せた自分がやけに誇らしかった。
「……ッ!」
レオナスが瞬時に前へと跳んだ。
奴の体に光のエフェクトが走るのが見えた。あの光は――おそらく、『金城鉄壁』の光だ。
硬化した肉体をそのまま武器として、奴は俺へと迫った。そしてそのまま突撃槍となった光刃を掌でいなし、するりと胴体に潜り込んできた。
いなした拳が裂けて血が吹き出たが、致命的なダメージではないようだった。
常時『トリガー』の力を得て、その上にさらにバフをかけた奴の体がわずかに俺の上を行ったのだ。
「まずはテメェからだ」
ゼロ距離の至近にまで迫ったレオナスが、そう告げた。
鷲爪のように獲物を捕らえる型へ掌を型作り、そのまま俺の胴体へと掌底を打ち付ける。
だが、
「ぐ……ッ!?」
そこに絶妙のタイミングで焔が吹き上がった。
苦痛を漏らしたのはレオナスで、こちらへの攻撃の直前に、己の背中を炎が焼いたのだ。
「私がいることも、忘れてもらっては困るな」
前方で、先に 『
俺へと矛先を向けたレオナスに対して、跳躍中にこの展開を読んだリズレッドがスキルの終わりと同時に次の弾を放っていた。
「エルフがァ……!」
怒りとともに射抜くような視線が彼女へと送られる。
そこへ、間髪いれずに畳み掛ける。
両足をしっかりと地面に設置して、大地に根を張るように己を固定。
そして体全体のバネを使い、さりとて余計な力は抜き――短く息を吐いて、肺が縮小した瞬間を最大の剣速となるように調整した、ただの抜刀。
行ってしまえば、ただ構えて、振り抜くだけの動作。
スキルでもなんでもなく、継承のシステムさえ必要なく習得できる、ただの剣術。
それゆえ、この一刀を放つことに一年以上を費やした。
神の操り糸が届かない純粋な人間の技巧。
俺が使用できることに最も誇りを持つ、リズレッド流剣術とでも言うべき一撃。
それを眼前の狂人へ向けて放った。
「――」
こちらから意識を外した隙を突いた一刀は、ものの見事に目標を捉え、奴の体を二分するかのように横へ一閃が走った。
「――がぁッ!?」
たまらず呻きが上がる。
リズレッドの『ファイア』と、光刃による連撃は確かにこの埒外の召喚者にダメージを与えていた。
だが、それでも。
「クソ……弱ェくせに小煩く群れやがって……!」
致命傷には届かない。
俺の渾身は、奴の表皮は切り裂いても、その奥にある強靭な筋肉を攻略するまでの力はなかった。
できれば、これで終わって欲しかった。
自分自身の努力で身につけたこの剣戟なら、
「レオナス――お前は、いままでネイティブたちを手にかけたことがあるか」
俺は静かにそう問いた。
猛る狂人は、それをなにかに挑戦か煽りと受け取ったのか……にやりと笑みを作り、言った。
「逆に、オレが誰も殺さないとでも思ったか?」
――。
思考が一瞬、その決断を阻止するために停止するのがわかった。
目の前の男はきっと、自分の残虐性や非道を自慢するような気持ちで言ったんだろう。
自分の自慢のコレクションでも見せびらかすような気持ちで、誇らしい感情さえ含ませながら。
……それが、『断罪セシ者』にとっては、死神の鎌を振るための絶好の好機にしかならないと知らずに。
どうする。
使うしかないのか……あれを。
心臓がいやに静かに脈打つくせに、その鼓動のひとつひとつがやけに体の芯に響いた。
あれを使えば、奴はどうなる。
自分の純粋な技術ではなく、神のシステムのもと発動するスキルに、手加減など含める余地はない。
当たってしまえば、それが決定打だ。
俺は相手がどれだけの人を殺してきたのか、おぼろげに感覚することができる。
それが生まれ持ってそうなのか、この特殊な役割を授けられたときに付与された力なのかはわからないが。
さっきの問いは、そんな俺の確信めいた気持ちを、少しでも薄めてくれればと放った、なけなしの問いかけだった。
「……そうか」
けれど、返ってきた答えで、かえって確信を強めることになってしまった。
こいつはきっと、ひとりやふたりではない。数えきれない人をすでに殺めている。
自らの浴びた返り血の分だけ、その罪を対象に返す技――『
最大の切り札にして、おそらく
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