なんでもできちゃうたてと、すふぃあのれんしゅう!

 思わぬそれに、目を丸くしてしまう。

 ……まあ、映像を投影するにも、中から出さないといけないらしい。

 俺は、手をやり、取り出した。

 「!」

 すると、天井に向かって、光を投じる。

 そう言えばと、またも思い出すこと一つ。

 帝国の、動力炉にて。

 出現した、この盾のレプリカは、スフィアから映像を投じていたなと。

 その時は、中の人の映像だったけど。

 レプリカにできるなら、本物?と思われるこれでも。

 ……できるのかもしれないが、今その投影された場所には、何も映らない。

 「……ええと。」

 《チャンネルを検索。……検索結果、見つかりません。》 

 「……。」 

 何も出ない理由は、どうもチャンネルが見つからないとのことで。

 本当に、テレビやら投影できるんだ……。

 一体他に、どんな機能があるのやら気になっても来る。

 まあ、それよりも。

 「ん?」

 また、思い付きだ。

 「ええとな。」

 紡ぐことは。

 「……例えば、スフィアを通じて、映像を投影することとか、できる?」

 そう、ちょっと前、マフィンにできるか聞いたことだ。

 《できます。》 

 「即答……。できるんだ。」

 即答してきた。それには、驚かされる。

 そういう、映像を通信する方法があるらしい。

 応用すると、偵察にも使えるかもしれないな。

 何だか、新たな機能を知ったよ。

 「で、どうすればできる?」

 なら、詳しく知りたいと、俺は深く聞いてみた。

 《スフィアをリンクさせてくれれば、通信して、映像を投影できます。いかがなさいますか?》

 「……。」

 簡単なようだ。

 盾が淡々と言うことには、スフィアを盾自身とリンクさせれば可能と。

 「実行してくれ。スフィアは何でもいいのなら、今宙に浮いているやつ、一つでも。」

 《了解しました。》

 なら迷うことはないと、スフィアを一つ、盾に近付ける。

 盾は承諾し、早速動き出した。

 《スフィアとリンクいたします。……完了。映像解析、回します。》

 「!」

 盾もまたすぐ動き、リンクしたなら映像を投影した。

 そこには、俺の今の姿が、鏡写しのように投影されていて。

 ただ、映像に関しては、古いビデオカメラのように荒いのだが。

 まあ、望んでいた結果に近いものかもしれない。

 「ありがとう。……ところで、映像をよりクリアにする方法とか、ある?」

 《そのためには、光学機器が必要となります。現状、スフィアを介しての映像解析であるため、画質は保証できかねます。》

 「……分かった。」 

 あわよくば、と思いながら聞くが、画質の向上は期待できないみたい。

 そこは、諦めるかと、自分で納得する。

 それと、ずっと天井を見上げるにもいかない。

 俺は盾を動かし、映像を壁に投影できるようにした。

 座って見る光景は、テレビとも、テレビゲームも連想できるもので。

 らしいなと、懐かしくも感じて笑みが浮かんだ。

 では、スフィアカメラを回すとしよう、俺は動かしてみる。

 思った通りに動き、映像も併せて送られてきた。

 「へぇ。」

 感心の溜息、漏らして。

 なら、今度は外を見て見ようと、扉を開け。 

 そのカメラ状態のスフィアを外に投じる。

 宙を浮くなら、外の映像を盾は投影した。

 「……ええと。扉閉めても大丈夫?」

 《大丈夫です。コントロールは遮蔽物下でも可能。範囲も、この艦全域を完全にカバーできます。》

 「そっか。」

 ついでに、遮蔽物でコントロールが効かなくなることはあるのだろうかと聞いてみたなら、それも大丈夫な様子。

 ならば、部屋にいながら、どこでも見れるな。

 俺は、扉を閉めたら、またスフィアの操作に戻った。

 「……。」

 ふわふわと浮くスフィアであるからか、狭い通路であっても、スフィアの大きさなら、狭くもない、簡単に人を避けることができる。 

 何より、窮屈さを避け、色々と見れるのは、先ほどの案内以上に、気楽にできる。

 スフィアを動かし、周りを見て。

 ついでに、隣の部屋を丸窓から覗き見ることをしてみた。 

 アビーやマフィン、エルザおばさんは何をしているのやら。

 小さい丸窓にスフィアを近付けたなら。

 《……。……。》

 「!」

 映像の他、音声も拾っているのか、聞こえてきた。

 「ボリューム上げることできる?」

 《解析中。完了。音量を上げます。》

 「分かった。」

 音声を解析して、音量を上げてくれる。映像と共に見るなら、最早テレビだ。

 いや、この場合、ゲームに近いかも。

 そうして、映像と音声解析の結果、アビーたちの会話を目にできる。

 《……暇だからって、アビー……。私も何でもできるわけじゃないのよ。》

 《えー……!できないの?大和ちゃん、潜水艦の玩具も操作できたりしたよ、マフィンちゃんなら、もっとすごいことができそうなのに……。》

 《大和のそれは、私の想像を超えるものだからできるだけよ!いい?大和は、私たち以上にすごい存在なのよ。……正直、認めざるを得ないわ。そんな大和と一緒のことを強いるのは、流石に……。》

 《そっかー……。》

 何やら、マフィンに暇潰しのあてをねだっているようだ。

 暇を持て余して、ベッドに腰掛けては、足をぶらぶらさせている。

 マフィンは、呆れて見ていて。

 エルザおばさんは、ベッドに横になってお昼寝している。

 さて、そんな中であるが、俺のことも引き合いに出しているようで。

 ……自分がどう思われているのかここで知ることになるとは。

 気付かなかったが、どうやら思った以上にすごい存在らしい。

 耳にして、何だか恥ずかしくなった。

 《じゃあじゃあ、しりとりしようよ~!》

 アビーは、代わりに他のゲームをしようとしていて。

 《あなた速攻で負けるでしょ!》

 《うぇ~?!そんなんじゃないよ~!》

 「……。」

 マフィンに言われてしまい、しょんぼりしてしまう。

 何だか、しりとりをしていたら、速攻で負けてしまい、項垂れる様子が想像つく。

 マフィンの言う通り、そこら辺強くなさそう。

 《じゃあじゃあ、マフィンちゃんが何かお話して!ええとね、真面目なお話で何か、こう、ええと、なんだっけ……?》

 《はぁ……。私が知っている技術の話とか?》

 なら、マフィンが何かお話してとねだっては。

 だが、たどたどしく、上手く言葉にできないでいる。

 マフィンは、呆れて、自分の持っている技術の話かと促すと。

 《うんうん!それそれ!》

 アビーは笑顔で答えた。 

 《……長くなるわよ。すっごく殊勝な心掛けだと思うけど、あなた、寝ない自信はあるの?》

 《……うにゃぁ……。》

 マフィンは、これはまた殊勝な心掛けだというものの。

 だが、アビーがそこまで聞き続けられるのかという問いに、自信を無くし。

 アビーは耳ごと項垂れてしまった。

 それでも、彼女は復活する。顔を上げては、次のアイデアを思い付く。

 《じゃあじゃあ!スフィアの練習!やってみたーい!!大和ちゃんみたいに、ひゅんひゅん飛ばしたい!!》

 《?!……アビー……。熱でもあるの?》

 次にアビーは、スフィアの練習がしたいと言い出して。

 その言葉にマフィンは思わず目を丸くした。

 意外な言葉なのだろう。

 《ううん。元気だよー?》

 アビーは不思議そうにしながら、言う。

 《……今日大嵐に遭わないことを祈るわ……。》

 「……。」

 その意外な言葉が、いわゆる熱に浮かされたものじゃないと知るや。

 マフィンは祈りそうになる。

  マフィンの言葉に追従するようだが、外から見る俺もまた、祈りそうになる。

 《……まあ、いいわ。教えてあげる。あなたも暇しているようなら、この機会に覚えるのもいいかもしれないわね。》

 《わーい!》

 そうはいっても、珍しことに頼まれたのだとマフィンは、アビーに教えるようで。

 アビーは聞いて、子どもみたいに体を弾ませて、ベッドから飛び降りた。

 そんな姿見て、呆れた顔をマフィンはする。

 《それじゃ、始めましょう。私のスフィア、貸してあげるわ。》

 《!いいの?》

 なら始めようと、マフィンはさっと構えて。

 また、スフィアを取り出し、一つアビーに差し出した。

 アビーは嬉しそうに、手渡されたスフィアを手に取った。 

 《まずは基本的な、発光から。》

 レクチャーが始まり、最初はスフィアを発光させることから。

 マフィンは、そっとスフィアを両手の間に挟むなら。

 スフィアは柔らかな光を発した。

 《うん!》

 アビーもまた同じようにするが。

 強く挟んだためか、変に眩しい光になってしまう。

 《……もう少し柔らかくしなさいな。》

 《!!う、ごめん。》

 それはやり過ぎとマフィンは叱り、言われてアビーは、柔らかく挟み直す。

 すると、激しい発光のスフィアは、やがて柔らかな光になる。

 やり直して、そうしたなら、次にマフィンがすることは。

 《じゃあ、宙に浮かせて。》

 《うん!》

 軽く念じて、宙に浮かせようとすること。

 マフィンのはふんわりと、羽のように浮いた。

 アビーもまた、念じたようだが、……アビーのは、思いっきり飛び上がる。

 飛び上がった挙句、天井にぶつかり、激しい音を立てた。

 《……。》

 《……えへへ……。》

 失敗したこれを、アビーは軽く笑って誤魔化して。マフィンは、呆れて。

 《……ごめんね。やり直すよ!》

 マフィンの呆れに、流石に申し訳ないと思い。

 アビーはやり直したら、一応宙には浮いた。

 浮いたが、何だか思いっきり震えているような気がしてならない。 

 《……動かしてみましょ?》

 とりあえず、浮かせることはできたなら。

 次は宙に浮かせたまま、動かすことにすると。

 マフィンは、柔らかく手を動かしたなら。

 その通りに、スフィアは柔らかく宙を移動して。

 《えい!》

 一方のアビーは、思い切って動かした。 

 結果、まるでゴムをギリギリまで伸ばした状態から解放されたように。

 スフィアは思いっきり飛び、……辺り一面に反射して回った。

 《?!ふがっ?!な、何だい?!》

 その騒音たるや、凄まじく、隣の部屋にまで響くもので。

 俺も思わず耳を塞ぎそうになり。

 また、呑気に昼寝をしていたエルザおばさんは、騒音に目を覚まして。

 勢いよく起き上がった。

 《……っ!》

 マフィンはして、反射し放題なスフィアを、威圧するかのように睨み。

 手をかざしたなら、制止させた。

 《……はぁ……。アビー……。あなたは何て不器用なのかしら……。》

 《えぅぅ。ごめんなさい……。》

 制止させたなら、マフィンは思いっきり呆れ果てて。何も言えなくなる。

 アビーは余計に項垂れてしまい。

 《あの衝撃で、もう一つのスフィアまで動いたじゃないよ。全く。》

 《ふぇ?》

 呆れ拭い、マフィンは説教を始めるみたいで。

 反動で、何か起きただろうとマフィンは、スフィアを操作する仕草を見せる。

 マフィンのスフィアが、飛び出したのだろうか?

 だが、俺が見る限りでは。

 スフィアはアビーに貸したのと、今マフィンが浮かせたの、二つだけだが。

 それは、アビーも気が付いたようで、首を傾げている。

 《?あら?一個戻ってこないわ?》

 マフィンも、不思議そうに感じて。首を傾げたなら、スフィアの気配を探す。

 《……。》

 「!」 

 やがて視線は、俺の放ったスフィアの方に向かった。

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