ふしぎなゆめ。まふぃんちゃんにきいてみよう!

 「な?俺もそう思ったんだ。」

 レオおじさんも意見に賛同。

 「おー!!ウィザード!!」

 「「ウィザード!!大和兄ちゃん、ウィザードだぁ!」」

 「……。」

 皮切りにか、子供たちもウィザードという言葉を連呼して。

 言われて俺は、苦笑しかしない。

 あまり呼ばれ慣れていないのを繰り返されるのも、何だか心苦しく思い。

 「……っと。夕方の謎は解けました。……この写真は、いつのです?また、傍にいる子供たちは?」

 話題の転換を、俺は行った。

 「!ああ、それか。」

 話題の転換に、レオおじさんは乗ってくれて。

 俺の言葉を聞き、何か、思案し始める。

 「う~む。かなり前だからなぁ。……っと、思い出した。」

 悩み始めたが、すぐに答えは見つかる。

 「この写真、俺の爺さんの爺さんの爺さんの、……そのまた爺さんの……だと思うんだがな。」

 「はい。」 

 その先を紡ぎ。

 「その側にいる子供の、どちらかが、俺や子供たちの先祖だと思うんだ。」

 結論で締め括られた。

 「……。」 

 聞いて、言葉を反芻し、思考。

 これは、先祖の写真であり、その時に、一緒にいたウィザードを収めたものだということか。

 先祖が、どれほどの人物かは、これからでは伺い知れない。

 傍ら子供たちは、レオおじさんの言葉に、先祖の写る写真に見入り、どっちが自分たちの先祖だろうか、拙いながらあれこれ考察している様子だった。

 そんな子供たちの様子を見て、レオおじさんは微笑ましそうに見ているのだ。

 

 やがて、夜も更けてくる。

 子供たちも、眠る時間であり。

 気付いたエルザおばさんや、奥さんたちは、子供たちを寝かしつけるため、手を叩き、アルバム鑑賞会を終了する。

 布団が敷かれていき。

 「!」

 気付いた俺は、結構長くいたなたと思い、このまま厄介もあれだと、帰ろうとするが。

 「!待ちな。」

 「!……エルザおばさん。」 

 エルザおばさんに止められる。

 「水臭いじゃないか!」

 「……ええと、結構長い時間いましたし、このまま厄介なのも、何だかと思いまして。」

 エルザおばさんは、笑いながら続けてきて。

 俺は、何だかこのままだと、悪いなと思ってしまう。

 「もう、夜も遅いさね。今日は泊まっていきな!なぁに。二人なら、遠慮はしなくていいよ。いっちょ前に男見せて、戦った英雄さんと、その英雄さんの側にいて、守った女の子なんだ!こちとら、歓迎したいのさ!なははは!」

 「……はい!ありがとうございます。」

 そんな遠慮、エルザおばさんは言葉と共に豪快に笑い飛ばし。俺は、そうかと釣られてそっと笑みを浮かべ、お礼を述べる。 

 「……それに、あそこにいるアビーちゃん見な。」

 「?」

 それれ終わりじゃなく、続きがあるようで。広間の隅を指さしてもくる。

 追うとそこには。

 ……既に寝入ってしまっているアビーの姿があった。

 「このまま置いていくのも、あれだろ?」

 「……ですね。」 

 遠慮するのも、これじゃバカらしい。

 エルザおばさんが、言うならばと、俺は泊まることにした。

 そうして、レオおじさん一家と一緒に、夢の世界へ行く。 

 ……不思議なことだが、この時気になる夢を見る。


 「?」

 いつの間にか、俺は不思議な場所にいた。

 そこは、レオおじさんの家ではないどこか、洞窟の中のような場所。

 暗がりの中、水が滴り落ちる音が反響し、また、どこからかスフィアの清らかな音が聞こえてきて。

 暗がりの中、仄かな光が溢れ出て。

 場を、照らしていく。

 「!」

 仄かながらの明るさに、シルエットが二人浮かんできて。

 ただし、誰であるか判別できない。俺は、接近しようと歩み寄る。

 「!あ、あれ?!」

 その人物が何者であるか、接近して目を凝らしたなら、思わず息を呑む。

 一人は、レオおじさんに似た人で、もう一人は、あの写真のウィザード。

 なお、レオおじさん似の人は、ケガをしているようで、所々に包帯が巻かれていて、痛みに苦悶の表情を浮かべながらも、座り、話をしようとしていた。

 ウィザードは、無理をするなと手で制し、場を明るくするスフィアの上に、鍋を置いたなら、少し奥の方に行き、大量の植物を手にし、水を入れたなら、煮込み始める。

 出来上がったそれを、小さな器に移し、レオおじさん似の人に勧める。

 その人は受け取り、煮込んだ物を飲む。痛みではないが、ものすごくまずそうな表情を返して。

 「……〝王〟よ。無理をなさるな。」 

 「……だがっ……。ぐぅぅ……。」

 飲み干したのを見て、ウィザードは制するように言う。

 それでも、レオおじさん似の人、そうだね、ウィザードの言葉を借りて、王は、言葉を紡ごうとする。

 途中、やはり痛むか、無理で。

 「……言わなくてもよい。民衆のことだろう?」

 「……。」

 何を言いたいかは、ウィザードは察して。王は、頷く。

 「……。」

 見届けてウィザードは、そっと、手を動かすと、また、清らかな音が聞こえ、空間を静かに何か浮遊してくる。

 「!……大きい……。」

 スフィアだ、それも、手のひら大の大きさ。その大きさに、驚嘆の声を上げるが、洞窟内にもかかわらず、俺の声はなぜか反響しない。 

 不思議だ。

 さて、飛んできたスフィアは、ウィザードの胸元に来る。

 忠犬のように、佇んでは、主たるウィザードの指示を待ち。

 ウィザードは手をスフィアに差し出し、占い師のように撫でたなら、スフィアは光を返し、また、暗い洞窟内の天井に、星空のような光景を映し出す。

 瞬く様子も、見て取れて。

 その様子見て、ウィザードは顎に手を乗せ、考える。

 「……ふぅむ。今のところ〝王国〟の民の光は消えておらぬ。安心してよい、吾輩が言うのだ。それに、何かあれば、吾輩が何とかしよう。〝奴ら〟とて、吾輩には手を出せぬ。」 

 「……ああ、有難い。……ぐぅう……。し、〝シン〟……。」

 占いのよう、ではあったが、的確なアドバイスであるらしい。

 ウィザードの神妙な言葉耳にして、安堵するが。

 痛みに苦悶、また、誰かの名前を口にして。

 「……。」 

 ウィザードは冷静に見つめていて。

 察して、また、スフィアに手をかざし、撫でるように動かすと、星空の風景は変わり。

 一点の星だけが投影される。

 輝きは、やや弱いものの、まだ、失われていない。

 「……王よ。〝王子〟はまだ生きておる。」

 「……!!そ、そうか……。」

 ウィザードは答えを告げて。

 耳にした王は、安堵し、喜びの表情を見せて。どうやら、息子さんも、心配していたようだ。

 「……!!だ、だが、どこに……?!無事なのはよかったが……。」

 そうであっても、心配は尽きない。

 続きとして、どこなのかを問うてくる。

 「……。」

 ウィザードは黙し、また手を動かす。

 すると、その星付近に、新しい星が、それも強く輝くのが現れて、王子の星付近に留まる。

 顎に手を乗せ、また考えると。

 「……ほぅ……?」

 何だか、喜ばしい表情をして、溜息漏らし、見つめる。

 「……場所はよく分からん。」

 「?!」

 考え抜かれて出た答えには、王は目を丸くし、不安そうな表情に切り替わる。

 「……だが、この強い輝きは、ただ者ではない。王子を守るために、その力を見せておるようだ。しかし、興味深い。」

 「……よ、よかった。っと、それよりも、ええと、だ、誰だ?!」

 「……。」

 傷付けるような人間ではないと一安心の王は、では誰だと聞き。

 言われたウィザードは、やはり興味深そうに見つめていて。

 不意に、口角が上がると。

 「……この輝き、ウィザードとでもいうのか。強い。ふふふ。王よ!主の子は守られておる!」

 嬉しそうに、告げる。

 その言葉に、やはりまた目を丸くして。

 「ウィザード?!あなた以外に?!」

 言葉を復唱して。

 「そうだ!ウィザードだ。ただならぬ力を持つ。だが、まだ、己の力に気付いてはおらぬようだ。」 

 「?」

 「!」

 ウィザードは顔を上げて、……なぜか視線を俺の方に向ける。

 思わずぎょっとなり。

 なお、王には見えていないようで、ウィザードの視線の先が気になる。 

 「……見ておる!もう一人の、若きウィザードが。」

 そっと笑い、ウィザードは俺と視線が合う。

 「?!」

 その瞬間、景色は不意に遠のいていく。

 俺の体は、その場所から吸い出されるようになって。

 「?!」

 気が付くと、レオおじさんの大広間にいて、体だけ布団から起こして、呆然としていた。

 「……。」

 周り見渡しても、昨晩と違い静かで。なお、寝姿は様々、見ようによっては、視覚的に騒がしいかもね。

 寝息が所々聞こえる。

 耳をすませば、窓の向こうから朝を告げる小鳥の声も聞こえて。

 「……変な夢。」 

 その静かな空間にて思うには、変な夢であったとの結論で。

 また、自分だけ、この静かな空間にいるのも癪だ、寝直そうと体を横たえる。

 「……。」

 悲しいかな、衝撃と共に起きた故、変に覚醒して眠れずにいる。

 それに、先の夢が気になってもしまい。

 ようやく瞼が重くなったと思ったら、今度はエルザおばさんの掛け声に、皆が起きることになってしまう。

 「……はぁ。」

 皆が起きたなら、それはそれで騒がしく。

 やれ、顔を洗っての、歯を磨いての。

 幼い子供たちは、母親たちの手を煩わせ、大騒ぎ。 

 つい、溜息をつくものの、一方で、らしいかと納得する。

 「大和ちゃん!大和ちゃん!」

 「?」

 体起こして、溜息ついた俺の側に、アビーが寄って来たなら、突いて来て。

 振り向くと、にへらと笑顔を向けて。

 「おはよう!」

 「!あ、ああ。おはよう。」

 朝の挨拶、俺にしてくれた。俺も返すが、……何だか上の空な気がして。

 もちろん、アビーはそんな俺の様子を見抜いていて。

 首を傾げてくる。

 「大和ちゃん、どーしたの?いつも変だけど、朝からそうなの、気になる。」

 次には、そう言ってきた。

 「……何でも……。う~ん。何て言うか、変な夢見た、かな?」

 大したことじゃない、と言い掛けたが、気になってしょうがない夢が脳裏によぎり、言ってみる。

 「!そうなの!じゃあ、マフィンちゃんに聞いてみよう!ねっ!」

 耳にしてアビーは、ぱっと顔を明るくし、両手を叩き、合わせて、閃きを口にする。 

 「!……そうか。」 

 そのアイデアはいいと思う。

 「……でも、いきなり行って、迷惑じゃない?」

 賛同はしたが、翻って、疑問も。

 いきなり行くと、向こうの都合もあるんだ、迷惑じゃないかと聞き。

 「大丈夫、大丈夫!あたしたちが行くんだもん!ちゃんとお話し、聞いてくれるよ!それに、ここの所会ってないし。」

 「そっか。」

 アビーは、自信満々に答えてきた。

 アビーがそう言うならと、俺は懸念を退け、納得を示す。 

 

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