第109話 ゲテモノのあれこれ(番外編)
と、書いたものの、ゲテモノ食レポではありません。
表題詐欺とか言わないで(土下座)。
というのも、私の住む地域は緊急時代宣言が継続中のありさまで、不要不急の外出は未だに自粛せざるを得ず、また私の職場においても直近の出来事において無関係を貫けるほどの状況ではなくなりました。創作資料と銘打ったゲテモノを廻る旅は私の密かな楽しみとなっていましたが、遠方への外出は現状下では厳に慎まねばなりません。
それでも、幻想飯の探求は続けています。
(幻想飯とは、異世界創作で使えそうな、普段口にしない食材を用いた料理を指す私の身内のスラング)
例えば、最近ではキクイモなどを食べたりしました。
キクイモ。近年、ヘルシーフードとして何かと話題ですよね。もともとは江戸時代のころに日本にやってきた外来種で、主に飼糧として用いられたそうですが、戦後の食糧難では代用食にも用いられるようになったとか。野生化している――ぶっちゃけ雑草――ため、地域によっては自生している姿を見ることも可能。
私の世界にキクイモそのものは存在せずとも、こういう品種があれば例によってミランくんが引っこ抜いては食べていそうなので、私も挑戦してみることに。
とはいえ、以前書いたように、現代日本の汚染された土壌に生えているものを直接口にする勇気がないので、近所の道の駅で売ってあるものを購入。かつての代用食が健康食品として栽培され、店に並ぶ姿は何とも不思議な感覚。
食感は蓮根か牛蒡。しゃきしゃきザクザクして面白い。
しかし、そのまま食べるだけでは味気ないので、料理上手な知人につくねハンバーグとてんぷらにしてもらったのですが、これがまた美味しかった。特につくねハンバーグは、中に入っているのが蓮根と言われても信じるほどには違和感がない。皆さんもぜひ、お試しあれ(?)。
他にも、チーズなどを作ってみました。
ある時、芸能人がサバイバル環境下で料理をするという内容のバラエティ番組をぼんやりと眺めていたのですが、なんとその御仁、牛乳からチーズを作るというではありませんか。
作り方は、加熱した牛乳に酢を加えるだけ。以上。
見ていた私は「え? それだけ?」と驚愕。
なら、私でもできるじゃんと思い、さっそく実験してみることに。
私の作中世界は、ざっくり言えば「仏教が伝来せずに肉食が忌避されなかった室町時代の日本」のような環境。
どうして、そんな設定にしたのかは過去に語った気もしますが、今一度語るならば「胸のちっちゃい女の子が、胸を大きくするために牛乳を飲んで健気に努力する描写を作中に入れる余地を残したかった」から。
家畜の乳を食用として活用しているならば、その加工品であるチーズも存在するはず。現に連載中の少女剣聖伝では
さて、いざ実験する前にチーズについて調べました。
チーズはナチュラルチーズとプロセスチーズに分類され、前者は生乳を乳酸菌や凝乳酵素で凝固させたもの、後者は前者を更に乳化剤で溶かし、再形成したもの。
チーズの起源は古く、紀元前。場所はアラビアで、商人が羊の胃袋で作った水筒に入れていた乳を飲もうとしたところ、白い塊と透明な液体が出てきたことがチーズの原型と言われています。あれ、これキテレツ大百科で見たぞ。まさに偶然の産物ですね。
今回の方法から作られるのはナチュラルチーズ。
さすがに発酵させるのは難しいので、生乳を凝固させただけのフレッシュチーズを試してみることに。
テレビでやっていたように、沸騰しない程度に温めた牛乳に、大さじ一杯程度の酢を垂らして撹拌しただけ。ただそれだけで、チーズを構成する成分とホエイ(乳清)が分離し、容器の中が二層になりました。それをキッチンペーパーで濾しとって、完成。わお、簡単。
実食した感想ですが、一言でいえば味がない。
牛乳そのものの味で、普段口にしているチーズとは掛け離れた味。単純に塩味と旨みが足りない(塩や黒胡椒をかけるとちょうどいい)。
まあ、乳業会社が心血注いでいる既製品の味をお手軽に再現できるなんて思っていませんし、だいたいファンタジー世界の食事自体が質素なもの。そんな環境で少しでも食事を楽しむために、当時の人々は食材に対して様々な工夫、加工をしていったのだな……と、そう実感できたことこそが大事な資料だと思います。
あとはこの経験を作品に落とし込めればいいのですが……書く気力はあるのに、時間と仕事と都合がそれを許さない。世の中の書き手の諸兄は、次々と魅力的な作品をアップされているというのに……私も両立できるようになりたい。
それはそれとして、近々、クマとウサギを食べてこようと思います。近場で見つけたんですよ、そういうジビエを出してくれるお店。
クマといえばファウナの庭におけるミランくんの最大の敵ですし、もちろん彼は食べたこともあるでしょう。うさぎもファンタジーの肉食文化としては定番。是非とも経験に替えたいですね。
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