第103話 筋肉痛のあれこれ

 全身が筋肉痛。

 運動不足ここに極まれり……と言いたいところですが、こればっかりは不可抗力と言わせてほしい。


 実を言えば、私にしては珍しく荒事に巻き込まれました。

 職業柄、時にはそういう手合いを相手取ることもありますが、ここまで直接的な暴力に遭遇するというのは随分と久しぶりです。


 要するに、殴ってくる。

 殴るという行為は、明確な害意がないとできないわけですよ。噛みつくとか引っ掻くとかであればがむしゃらにやっているのがわかるけれど、拳を握りしめて顔面を狙うのは明確な作為あってのもの。


 何故って拳は意思の象徴だから。

 ロケットパンチは悪を砕く意思の鉄槌だから。


 だいたい、的が小さい顔面よりも的が大きい胴体を狙うのが自然というものです。

 それを躊躇なく狙ってきやがって。これで作為的じゃなきゃなんだってんだ。本当だったら傷害罪で警察沙汰だぞ。


 とはいえ立場上、私は反撃できない。いえ、立場がなくとも、相手に危害を加えては私も同類になってしまう。現状の法律では復讐は犯罪なのです。裁くも刑を課すも司法の仕事。


 なので相手を抑えるしかないのですが、暴れる成人男性の運動エネルギーを抑え込むには生半可な力では対抗できず、体全体で対抗しなくてはならない。結果、日頃使っていない筋肉まで総動員するものだから、全身がばっきばきである。


 そして、その過程で累計で三発顔面にもらった。いや、これは大したことはない。押さえていたから振り抜きが足りなくて力があまり籠ってなかったし。


 問題は、私の右肩だ。もう七年以上前になるが、私は右肩を脱臼している。それが馬鹿力を出した時にこう、ごきっと。はずれるわけですよ。


 いやー、関節が外れるあの感触ってどうしてこう気持ち悪いんですかね。

 とはいえ、私も慣れたもの。完全にはずれきる前に戻したわけですが、それでも尋常じゃないくらい痛い。あの相手の前で脱臼していたら、痛みで完全に動けなくなっていただろうから、かなり頑張ったんじゃないかな、私。


 様々な助力があって事態はどうにか事なきを得ましたが、普段、翌日以降に出るタイプの私を現在進行形で筋肉痛が襲っています。当日でこれか。明日が恐いな。


 ……これ、明日の出勤休んじゃ駄目かなぁ?

 節々が痛いし、力が入らない。結構、不味い気がしてきたぞぅ。


 いやはや、カクヨムでバトルものの小説を書いてはいますが、実際の戦闘というのはフィクションと違って本当にしんどいものですねぇ。戦闘にもなっていない取っ組み合いの延長ですが。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る