第57話 読み切りのあれこれ(2)
読み切り版を公開したことで、いざ振り返ってみる変更点。
■ローザが強すぎる。
仲間内で総スカン食らった理由の一つ。
津本陽先生の「塚原卜伝十二番勝負」や藤沢周平先生の「隠し剣シリーズ」を読んで、「架空世界で剣豪ものやりてぇ」などととち狂った私は、まんまそのノリで書こうとした。
結果として、昨今の俺Tsueeeとはまた違う強すぎる主人公が誕生してしまい、あまりにも非人間的すぎてよろしくなかったようだ。
連載版のローザも十分強いとは思うが、初期プロット、および読み切り版に比べると、まだまだ精一杯な感じが出ていると思う。たぶん。
■文章が硬い
もともと友人Sあたりから「おめーの文章は無駄に硬すぎるんだよ、もっと小学生でも読める文章で書け!」と言われるくらいの硬い文章が素なのですが、読んでいたものの影響か、この頃は特に硬くなっていました。
なので、読みにくいこと必至。これも総スカン食らった理由の一つ。私にとってはそうでもないのですが、読者への配慮を第一に考え、連載版ではややライトに。……なってますよね?
■ローザの旅の目的地がある。
初期プロット、および読み切り版では明確な旅の終着点があった。
当面は腕に覚えのある剣豪ひしめく闘技場への参加が目的だったのだ。
連載版ではリリアムの早期参入で、そのあたりがうやむやのまま故郷を飛び出しており、これといった目的地がないまま旅を続けている(リリアムの敵討ちにとりあえずついていく形)。やらかした、と反省するポイントの一つ。そろそろ本来の流れと合流したいところ。
ちなみに、読み切り版ではファウナの庭、炊き立てご飯の舞台でもあるイール地方に立ち寄っているが、「2012年の時点で、この場所あったんだなぁ」と読み返していて感慨深かった。
■イルザ。
ヴィオラの前身。連載版の構想に合わせて退場。
メイド兼ボディガードという役割はそのままに、ヴィオラへと移行した。
名前だけでも残したかったのだが、作中を通してローザが成人の名前ではなく幼名を名乗ることになったので、ローザにイルザではイントネーションが近すぎたために廃止されることに。
ちなみにヴィオラはイタリア語で菫。
理由はローザの薔薇、リリアムの百合と併せて、せっかくだから花繋がりにしようと思ったから。菫にしたのは、古代ギリシャではスミレの花を贈る習慣があったとかなかったとか……え、ヴィオラってやっぱりそういう趣味なの?
うん。改めて読み返しても、ほぼ別物になっていると痛感します。
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