第55話 裏事情のあれこれ(2)
前回も少し触れたのだが、最近は本当に精神的にしんどいことが連発する。
私は精神的なストレスを感じると最初は『落ち込む』というより『怒る』気質なのだが、当然、感情を爆発させてしまえば社会生活は営めない。ついカッとなってやった、で済まされないのが法治国家というものだ。
従って、その怒りをいかに鎮めるかが私の日々の課題なのだが、怒りを自制する過程でどうしようもなくエネルギーを消耗する。リフレッシュすべく趣味に没頭したくても仕事の多忙さがそれを許さない。結果、様々な意欲が損なわれ、活動が停滞してしまう。ストレス社会とはよく言ったものである。
どこかで脱却しなければ、黒い感情に呑まれ続けてしまう。
このままでは執筆もままならない。
なので、前向きに今日は好きなものについて記していこうと思う。
私の好きなものは何か?
――そう、設定資料集だ(えぇ……)。
とはいえ、まだ完結していない作品の資料集はどうかと思うので、今回もまた裏事情について記して、ちょっとすっきりしようと思う。
■〈空渡り〉について
少女剣聖伝においてローザリッタやヴィオラが使う準三次元機動〈空渡り〉。
その元ネタは、私の愛好するカードゲームであるMTGのキーワード能力。
MTGのクリーチャーには島渡り、森渡りなどの『〇渡り』という能力を持つものがおり、相手が〇に該当する土地カードをコントロールしていると、一方的にダイレクトアタックできるという、なかなか渋い能力である。
生憎とMTGには空という土地はないのだが、「もしもMTGの土地カードに空があったなら……」という若かりし日の妄想から生まれた。まあ、特に珍しくもない名称なのだが。少林サッカーにもあるし。
もっとも、作中での効果はどちらかといえば『〇渡り』よりも『到達』に近い。飛行能力を持たない人間が、飛行クリーチャーを迎撃するためのものなので。
それにしても、古い時代にプレイしていた私からすれば、昨今の能力のキーワード化は未だに馴染めずにいる。MTGの名物クリーチャー、セラの天使の代名詞である「攻撃に参加してもタップしない」が、よもや『警戒』の二文字で済まされるのは味わいを損ねるのではないかと……(老害)。
余談だが、明確に表現しているわけではないものの、ファウナの庭のミランくんや炊き立てご飯の師匠も〈空渡り〉を使える。
というのも、流派の発祥時系列的に、神代の狩人である〔神狩り〕の技法を対人編纂したものがベルイマン古流であり、それをさらに簡略化し、伝え教えることに特化したのがハイデンローザ流だからである。
なので、三作品の主要人物が全員〈空渡り〉を使えるのは自然なことなのだ。
え? 炊き立ての『僕』? ああ、あいつは無理だ。
■名詞について
裏事情というほどのものではないが、作中に登場する名詞の大部分は、実は卓球用品の銘柄だったりする。
少女剣聖伝に登場する地方のモリスト、ハモンドはNittaku製のラバー。
ファウナの庭、炊き立てご飯の舞台になったイール地方は同社のペン・ホルダーのラケットで、アコースはアコースティックというシェーク・ハンドのラケット。シルネオはスポーツ靴下。
おっと、別に筆者はNittakuの回し者ではない。個人的にはButterfly派なのだ。それにイール地方の行政都市ヴェラスは、ヤサカ社のラバー、マーベラスだしね。
私はネーミングセンスが並以下なので、困ったらこういう部分から採用している。
意外とスポーツ用品の銘柄はかっこいいのが多いのである。
■ローザリッタとヴィオラの口調変更
もう七年前になるであろうか。いや、年が明けたから八年前か。
初期プロットをベースに、練習がてら読み切り短編を書いたことがある。その時のローザリッタは現在の「ですます系お嬢様」ではなく、もうちょっとボーイッシュというか、普通の女の子という感じの口調だった。
台詞で例えると、
「え? おっぱいとか邪魔じゃない? 減らせるものなら減らしたいんだけど」
みたいな感じ。
別にそのままでも良かったのだが、やはりこれも序盤からリリアムを急遽登場させたしわ寄せで、二人の台詞を並べると区別がしにくいということもあって、お嬢様に原点回帰したというのが真相だったりする。
ついでにいえば、ヴィオラも現在とは別人(名前すら違う)で、三歩下がって師の影を踏まないような奥ゆかしい古風なメイドさんであった。同じメイドなのに、どうしてああなってしまったのか。
……ただ停滞するのもアレだから、番外で読み切り版でも載せようかしら?
あー、ちょっとだけすっきりした。
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