第50話 闘病のあれこれ

 闘病とか書くと大げさですね。

 あれからも療養は続いています。

 いくら小康状態になろうと、体内にウイルスが残留している限りは隔離は継続。

 薬も残っているので、それを飲みきるまでは動けません。


 しかし、ばたばた実家に連れて来られたので暇を潰す道具を持ってきてない。小説を書こうにも手元にはスマホしかなく、「こんな葉書サイズの画面で小説とか書けるかー!」という古風な書き手が私。書けなくはないですが、なんとなく没入できないというか。


 とはいえ、日がな一日ゴロゴロしているのも苦痛。

 退屈しのぎを探すにしても、私は10年以上前に独立しているので、私の部屋は洗濯物干場にすっかり変貌しており、かつての面影はありません。


 ……が、探せば色々残っているものです。

 私がまだ絵描きを目指していた時のデッサン人形とか、スクリーントーンとか、原稿用紙とか。


 中学時代に描いた漫画も発見。これはきつい……なかなかの異界深度。SANチェックが入りそう。当時の私にしては頑張っていたのはわかる。それなりに話ができてるし。ただ、痛い。痛いなぁ……。


 ちょっと驚いたのが、この時点でローザとリリアムっぽいのがいること。まあ、絵描きの時から自分が可愛いと思ったヒロインしか書かなかったのだけど、いまの私が見てもこいつぁ、あの二人だわ。なに、昔から私ってば金髪はポニーテールに、銀髪はツインテールにしなきゃ気が済まなかったんだろうか。金髪が朗らかなですます口調で、銀髪がちょっと澄ましたクールお節介なのも同じ。ルーツ、ここに見つけたり。


 ただ、内容は剣術勝負などではなく、当時のハマっていたカードゲーム。身内で読み回すために描いた漫画だったから、自然とその時の流行が題材になるのです。


 しかし、14歳の時に描いたせいか、内容も設定もはちゃめちゃ。


①カードゲームを立体化する装置が登場→漫画だからわかる。

②装置の開発を天才が任される→わかる。

③スポンサー兼設置場所がピーコック(おもちゃ屋)→!?


 しょうがないんだ。当時はピーコックしかカード売ってなかったんだ。専門店があるなんて知りもしなかったんだよ……。

 なにより――


④自分が持っているなかで強そうなやつだけ詰め込んだだけのカジュアルデッキを、いかにも最強であるかのように描く。


 痛ぇぇぇ――!

 それを強いと思ってデッキに入れている、当時の私の無知さが痛ぇぇぇ――!


 こんなもんを堂々と他人に見せていたのか。14歳とは恐ろしい……。


 とはいえ、こういった黒歴史の数々がいまの私を産み出してくれた。そう前向きに受けとりましょう。


 しかし、こういうのは残ってて、私の蔵書が尽く処分されているのは悲しい限り。まあ、実家とはいえ両親の家なので怒る気にもなりませんが……。

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