第68話 南部王国の脅威1

広場に、全員が集合した。

「背の目に六郎、オロチとチトセ、ドーリにアード、クミとホシそれにわし、9人か」

「もう、わざととしか思えん!!マンバ様、僕も居ます!!」

「スラッピ居たのか?集合かけて居らんはずじゃが」

「呼ばれたよぅ!!僕もオロチさんに呼ばれたよぅ!!」

「そうか?なら、着いて来い」

扱いが酷い!!僕泣くぞ

スラッピの奴、何かぶつぶつ呟いて居る。

今のスラッピは、何処か憎めん奴じゃが、変態、女の敵じゃった霊の本質は変わらん、無意識に遠避とおざけて居ったようじゃな。


全員勢い良く飛び立った。ホシも見事な飛行じゃ。

何事かと、遠巻きに眺めて居る領民達から、大歓声が上がった。


ホシのファン、樵達きこりたちが、飛ぶホシに気付き、手を振って居る。

ホシも樵達に気付き、近くに寄って旋回しながら、「行ってきま~す」と言って居る、手を振って居った樵達から、歓声が沸き起こっておった。



旧南半島王国が見えてきた。

シーサラの告知が良く効いて居るようで、着地したわし達に皆が平伏して迎えてくれた。


城門前に降り立ったもので、直ぐに誰か門から飛び出して来た。

「マンバ神様!!ようこそお越し下さいました!!!私は南半島城を任されました、シラーと申します」


ざっと報告を受け、南部王国の脅威を聞き、国境の状態を観る為、旧半島王国に向かった。


半島王国でも、降り立つと全員の平伏で迎えられた。

シーサラが走って来て、わしの前で片膝を付き、臣下の礼を取り

「マンバ神様!!早速の見廻りお疲れ様で御座います!!!」

「シーサラ!そこまでする必要無いぞ!さっ立って!!既にそなたも身内であるからのぅ」

「はっ!!身に余るお言葉、痛み入ります!!」

「シーサラ、南部王国との国境くにざかいがキナ臭いとシラーから聞いたが、どんな様子じゃ?」

「我が国の内乱の情報が伝わったようで、それに乗じ侵略しようとの魂胆のようで、国境に兵を集結させて居る様子、5日程の内に動きが有ると予想されます」


「5日有れば充分じゃ、お主に神術を授け眷属にしてやろう」

「あっ!有り難う御座います!!!」

「お主の真摯な行動、好感が持てた、早速始めるぞ!オロチ付き合え!」「はい!!マンバ様」

「シーサラには風の適正が有る、鎌鼬から習得させるぞ!」

「はい!!!宜しくお願いします!!!」

「先ず、肩の力を抜き、深呼吸してみろ」

「はい!!すぅ~はぁ、すぅ~はぁ」

シーサラは真剣な顔で深呼吸して居る。

「もっと力を抜け!!身体をくにゃくにゃにするのじゃ!手をブラブラ」

シーサラの緊張が融けたようじゃ。

「聞き慣れん言葉じゃろうが、今深呼吸したのが、空気を身体に取り込んだと言う事じゃ」

「はい!!くうきを取り込んだ」

「この周り全て空気じゃ、風を感じるであろう?」

「はい!風が吹いて居ります!」

「この風は、動いて居る空気じゃ!さっき吸った空気を、お主の手から勢い良く飛ばしてみろ」

オロチが、見本の鎌鼬を打ち出した。

当然シーサラは出来ん。

「空気を吸って、鎌鼬を飛ばす!何度も繰り返し、オロチの真似をしてみよ!!」

また真剣な顔に成り、力みが入って居る。

「また力んで居るぞ!何も考えるな!!ただ手から空気を飛ばす事のみに集中せよ!!!」

何度も深呼吸して、風を飛ばそうと試みて居るが、上手く行かん。


「目をつむれ!!オロチがやって居る事を思い浮かべ、手から風を出してみろ」

目を閉じさせたのは、正解じゃった、シーサラなら、出来ると感じて居ったが、今までの常識が邪魔をして居ったようじゃ。


「出来たでは無いか!!目を開けて、今と同じ事をやってみろ!!」

1度出来れば占めたもの、既に鎌鼬の威力も増して来た。

「この短時間で風の刃を習得した!!シーサラ!わしが見込んだだけの事は有る!!!」

「あっ!有り難う御座います!!!」

「この調子で行けば、明日には飛べるぞ!!」

「が、頑張ります!!!」

「シーサラ!お主は、流石に半島を平定しようと、挑んだだけの事は有るぞ!優秀なわしの眷属じゃ!!!」

「け、眷属にして頂けるのですか?」

「神術を授けた、既に眷属じゃ!」

「有り難う御座います!!こんな嬉しい事は御座いません!!!」


おだてて、その気になったシーサラは、竜巻を操り纏う事まで出来だした。

「飛べるぞ!纏った竜巻が上に上がる様に操ってみよ!」

シーサラがふわり浮かび上がった。


感動の連続、遂に感極まって、男泣きのシーサラだった。

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