テッペン!

作者 貴堂水樹

50

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★★★ Excellent!!!

 主人公は中学時代から優れたセッターだったのですが、腰に持病を持っているため、活動に制約があります。中学時代は本人の工夫もあり、また控えの選手もいるため、だましだましやれたのですが、進学先のバレーボールは弱小ゆえに彼が踏ん張るしかありませんでした。

 しかし大事な試合中に腰の持病が悪化しまして、ついに倒れることになります。

 どれだけ優れた選手であっても、仲間が育っていなければチームとして強くなれないことを象徴するようなシーンです。もし仲間が育っていれば、主人公は無理をする必要がなかったからです。

 かといって仲間たちが悪かったわけではありません。彼らは素質こそあったものの、適切な指導者に出会わなかったゆえに、伸び悩んだ若者ばかりです。もしかしたら学校単位で考えたときの環境の問題もあったかもしれません。優れたセッターであるはずの主人公ですら、中学時代のバレーボール部は強豪でありながらコミュニケーションに問題を抱えたチームでした。

 成長期の若者たちは、心身ともに未熟で脆い部分を抱えています。だからこそ周囲の大人たちの支えが必要だなと実感するわけです。それこそ怪我を隠して試合に参加するような若者がいたら、彼の意見を無視してでもベンチに下がらせる気概が必要でしょう。

 もしかしたら『腰に持病を持った選手』に対する感想は、人によって大きく変わるのかもしれません。彼の意志を尊重して試合に積極的に参加させるか、もしくは腰をカバーする手法ないし手段が見つからないかぎり試合に出さないか。

 みなさんも、この物語を読んで、未熟で脆い若者たちの葛藤しながら前に進む姿から、自分なりの答えを見つけだしましょう。

★★★ Excellent!!!

強豪校からスカウトされるほどの実力を持ちながら、中学時代のトラウマによりバレーを捨てた元セッターの久慈琉聖は、入学した進学校である県立高校で、廃部寸前の男子バレー部員と、同じ一年生で琉聖の過去を知るアタッカーの佐藤煌我に出会う。
いいセッターを探していた煌我との賭けに負け、一緒にバレー部へ入部した琉聖は、個性豊かな仲間たちと、全国を目指すことに。
しかし、結成間もないチームは未熟で、琉聖にもあるヒミツが隠されていた──。

これを読まないなんて、もったいない。
バレーにかける少年たちの、ホットでクールな青春ストーリー。
困難を乗り越え、少しずつ成長していく姿や、次第に深まっていくチームの絆に、熱いものが込み上げてきて、気付くと夢中になっていました。

とてもわかりやすく丁寧に描かれているので、バレーをよく知らない人でも楽しく読めると思います。

──目標は、全国制覇!
皆さんも、彼らとともに、夢を追いかけてみませんか?

★★★ Excellent!!!

王道の王道。熱血スポーツ物語。読んで手に汗握るの間違いなしです。種目はバレーボールですが、試合展開中にルールや説明が挟まれているのでバレーが分からない人でも理解しながら読み進められます。

スポーツってたった一人強い人間がいるだけじゃダメなんですよね。仲間の信頼と個々の能力の組み合わせ。これが形になれば何倍にも強くなる。スポーツってそれがあるべき姿でしょうし、この作品ではそれを余すことなく書き綴っています。めっちゃ熱いです!

スポーツ好き、熱血好き、友情好きな読者は是非読んで欲しい作品です。

★★★ Excellent!!!

こちらの作品は、バレーボールを題材にした青春モノですが、スポ根ものとは違う角度から作られたスポーツ小説です。

作品の魅力は、仲間とのやりとりなのですが、このやりとりに大きな仕掛けがあります。作者さまはミステリーも書かれていますので、物語の構築にミステリーならではの細部の積み上げが応用されています。

訳あり主人公を中心に、一癖どころじゃない個性的な仲間が集まって全国を目指していくわけですが、序盤は無理だろと感じるかと思います。しかし、気がつくと仲間たちに引き込まれ、いつの間にか全国を目指す彼らを応援している自分に気づきます。

この気づいた瞬間に感じる面白さは、ある意味で感動でもあります。この瞬間を味わいつつ、応援にのめり込むのがこちらの作品の最大の魅力だと思います。

Web小説ではなかなか目にすることがない分、読んだ時の楽しさは想像以上だと思います。

こうした良作が、コンテストでもちゃんとスポットを浴びて欲しいと願いを込めてレビューしました。ぜひ、ちょっとでも気になっていただけたら、こちらの作品と仲間たちの応援をお願いします!!

★★★ Excellent!!!

 スポコンものは数あれど、男子バレーをここまで頭脳戦、心理戦で描ききった作品を、見たことがない。普通のスポコンなら、データ分析・頭脳戦が得意なのは、相手方。それを主人公たちが根性で打ち倒す、というのが、定石だろう。しかし、この作品には、主人公が頭脳戦を得意とし、スポコンでは回避できない問題を持っているという珍しい構図を持っている。
 主人公は「もう、バレーはやらない」と心に固く誓ったまま、進学校に入学する。何故なら、中学最後の試合で、主人公のポジションであるセッターが、アタッカーの奴隷であるというトラウマがあったからだ。そんな主人公に、廃部寸前の男子バレー部から声がかかる。しかも主人公は、高く跳ぶことを武器とするアタッカーの熱血男子との賭けに、あっけなく負けて、バレー部に入部するはめになる。しかも、一癖も二癖もある仲間が入部して、公式戦に出ることに⁉
 バレーは、我々が見ているよりも簡単ではない。ローテーションは? 誰がどこに入ればいいのか? どこに落とす? 身長差はどうカバーする? もしも敵に作戦がばれたら? 相手の隙はどこ? コンビネーションは? 作戦は? どこをどう繋ぐ? ありとあらゆる場面を想定しながら、主人公は次々と指示を出し、点を稼いでいく。敵が対応してきても、主人公は持ち前の頭脳と経験をもとに、敵を打ち破る。
 しかし、主人公の次の対戦相手は、主人公のトラウマも手の内も、そして身体的弱点も知り尽くす、中学時代のバレー部メンバーだった! そこで主人公の心に、暗い灯がともる。
 ————勝てば、いいんだろ?
 その暗い炎を照らすのは、今のメンバーたち。果たして、熱血男の言う「テッペン」の景色を、主人公は見られるのか?

 主人公の心の闇と試練、そこに光を当てようとするメンバーたち。
 清々しさだけではない、リアリティを持った作品です。

 是非、御一読下さい!
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★★★ Excellent!!!

敗戦のトラウマからバレーボールをもうやらないと誓った高校一年生が、本当のバレーボールの楽しみを認識して、無名バレーボール部で奮起する物語です。
バレーボールをテーマとした小説というものを私は初めて見るのですが、主人公のポジションがセッターという花形ではないがいちばん戦略性を問われるポジションであることが、面白いです!

バレーボールは、テレビで観ていて、用語は聞いたことがあるものも多いですが、それをさらに丁寧に説明してくださり、さらにその上でバレーボールの奥深さを教えてくれています。特に主人公の久慈くんのポジション、セッターについては、こんなに奥深いものだと知りました。

キャラクターは皆、個性的で、それぞれがそれぞれの光を放っていて、熱くみずみずしく眩しいです!
また中学時代に主人公をセッターという理由で罵倒してきた相手チームメンバーとの応酬も、この物語の面白さを際立たせています。

作者様はミステリーを得意とし、ファンを惹きつけていたイメージで、私もファンの一人なのですが、本作はスポーツというおそらく今までにはないジャンル。とても読みやすく素晴らしい。
作者様の引き出しの多さに感激しつつ、今後も更新を楽しませていただきます!

★★★ Excellent!!!

弱小男子バレー部の再生と奮闘を描く、汗と情熱のパワー溢れる青春ストーリーです。
挫折した過去、再スタート、新たな仲間との出会い、そしてみんなと目指す夢。
王道的スポーツものの醍醐味を余すところなく盛り込んだ本作ですが、何よりもの魅力は、主人公たちのバレーにかける想いの熱さでしょう。

そんなドラマを形作る、登場人物の描写が見事です。
生真面目キャラで正確無比なトスを上げる主人公の琉聖をはじめ、突き抜けた太陽属性で勢いのあるアタッカー・煌我、恵まれた体格ながらも気弱なオグ、緩いテンションでトリッキーなプレイが光る双子・右京と左京などなど。
それぞれの個性とプレイスタイルが違うからこそ、このチームは無限の可能性を秘めている。
きっとあなたにも推しができるはず。ちなみに私はオグくん推しです。

スポーツものを小説として書くのは非常に難しいと、個人的には思います。
身体の動きや試合展開など、その競技に馴染みのない人にはイメージしづらいからです。
しかしこの作品では丁寧な解説が都度入り、ヤバイ運動音痴の私でも理屈がすっと腑に落ちる印象を受けました。
試合シーンも臨場感があり、とても読み応えがあります。作者様のバレー愛が伝わってくるようです。

新生の弱小チームは、全国制覇の夢への一歩を踏み出したばかり。はたして彼らはテッペンへ辿り着けるでしょうか。
今後の展開も楽しみです!