第415話 消耗戦か?



「アニム様、おやめくださいませ! 次にあれほどの攻撃を繰り出せば、お命にかかわります」

レアが泣き出しそうな顔で言う。

「・・だがね、レア姫。 今がチャンスなんだよ」

アニム王が静かに言う。

「アニム王、俺も全力で攻撃してみます」

俺はアニム王に向いて言ってみた。

「? そういえばテツ。 君はそれほど疲労している感じはないね」

アニム王が不思議そうな顔を向けて俺を見る。

おそらく、俺のスキル:神光気のおかげだろうと思うが、そんなことは今はどうでもいい。

「はい、だからこそ私自身をぶつけてみたいと思います。 でも、あの中にはフレイアがいるはずです。 攻撃をするにも・・」

俺の言葉にアニム王が即答する。

「それは心配しなくていいと思うよ。 先ほど攻撃してわかったのだが、あれはただのエネルギーの塊だよ。 もし中で存在しているとなると、アイテムボックスのような空間に収納されているだろう」

俺はその言葉を聞き、なるほどと思った。

だからこそ、あの邪神王の中では時間の経過がなかったのか。


さて、それを聞ければ全力でやってみようと俺は思う。

アニム王があれほどダメージを与えてくれたのだ。

このチャンスを逃してはいけない。

俺たちがそんな会話をしていると、邪神王がまた両手を上に向けていた。

あれは、この星の負のエネルギーを集めているのだろうか。

さっきみたいに満月のようなエネルギーが来たらヤバいどころか、完全に詰む。

俺はアニム王を見て、軽くうなずく。

「アニム王、行ってきます」

アニム王が微笑み、頼むよという言葉が聞こえた。


俺は邪神王に向かってダッシュする。

邪神王の上空を見てみたが、全然先ほどのようなエネルギーの塊が集まっていない。

邪神王はゆっくりと俺の方を見る。

俺との距離が50メートルほどになっただろうか。


邪神王の両手が伸びて来る。

やはりムチのような感じだ。

俺は身体に神光気をまとわせて邪神王に向かっている。

そのまま飛燕を抜き、水平に斬りつける。

俺の前の空間が霞むように何かが近づいてきていたからだ。


邪神王から伸びてくるムチのような腕だった。

スパン!

軽く手ごたえがある。

邪神王の腕を斬ることができたようだ。

そのまま俺は飛燕とともに前に進む。

飛燕には俺の魔法力を当然纏わせている。

だが、邪神王の身体に当たると止まる。

ガキィーーーーーーン!

俺はすぐにバックステップをして、今度は突きを繰り出した。

ドドドドド・・・・!!!

邪神王は俺の剣を凄まじい速度で受けているが、俺の突きの一つが肩の部分に当たる。

飛燕が当たった部分は弾けて散る。

もっとも小石程度のかけらが散るくらいだが。


だが邪神王の身体の部分が散ると、それだけ邪神王が弱っていく感じがする。

ダメージが与えられているということか。

しかし、圧倒的な感じは消えてないぞ。

俺は飛燕で斬っては下がり、ダッシュしては斬りつけるを繰り返している。

・・・・

確かにほんの少しだが、ダメージが与えれているようだ。


しかし、このルーティン・・いつまで続くんだ?

そんなことが頭に浮かぶ。

俺も結構疲れてきたような気がするのだが・・。

その瞬間、俺の顔の前に邪神王の伸びて来たムチのような腕が見えた。

バチィーーン!

俺の顔に当たり、俺はそのまま吹き飛ぶ。

100メートルくらい飛ばされただろうか。

木に当たり止まった。


俺は立ち上がり身体を確認してみる。

とりあえず目に当たらなくてよかった。

おでこにヒットしたようだ。


俺は手でおでこを触れると、出血していた。

血か・・ヤバいな。

邪神王の攻撃は、俺に確実にダメージを与える。

あれだけ俺が攻撃したのに、このたった1発のヒットでこちらのダメージが上回っているんじゃないか?

少し不吉な考えが頭をよぎる。


すると、邪神王のいるところへ、俺から見れば凄まじい威力の攻撃が降り注いでいた。

レアとレアのロイヤルガードが放っていたようだ。

パッシューーーーン!!

ドッゴォォォーーーン!!

巨大な雷が邪神王を直撃すると、金色の龍が邪神王にぶつかっていく。

その後に白いバラのような爆発が起こったかと思うと、その爆発の上から白い巨大な大剣が邪神王のところに突き刺さる。

・・無茶苦茶凄いな。

俺はそう思いつつ、アニム王のところへ駆け寄っていく。

アニム王がヨロヨロとしながら立ち上がる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る