第399話 テツの修行、強制終了



◇◇


モレクは教団員を集め、最後の調整に入っていく。

家畜の烙印を押された住民たちの半分位は、問題なくアサシンたちの乗る武装ロイドに取り込まれただろう。

そのままアサシンたちは出発したようだ。

モレクもフレイアを連れて移動しなければいけない。


邪神王の復活のタイミング。

月が完全になくなる新月。

そして、新月は神月しんげつ

山の山頂に立ち、儀式が完成する。


すでに負のエネルギーは溢れそうなくらいになっている。

モレクは、遠足に出かける子供のような気分になっていた。

フレイアを船室に監禁したまま、飛行艇が進行する。

4時間もあれば到着するだろう。

モレクは自分の部屋で静かに椅子に座っていた。

・・・

アリス・・間もなくすべてが終わる。


◇◇


<ウルダを倒したアサシン目線>


モレクに先行して出発したアサシン。

名はない。

完成型武装ロイドに搭乗し可能な限り住民を吸収。

その完成型武装ロイドをまとい、アサシンは神のような力を感じていた。

他の武装ロイドにしても、搭乗者の感覚を超える力を感じさせていたようだ。


時々意識が薄れそうになるが、どうでもいい。

とにかく、宗主様の言いつけだけはしっかりと頭に刻まれていた。

邪神王復活までの時間を得ること。

とはいえ、これほどの力がある。

私一人で、アニム王国を殲滅せんめつできるかもしれない。

モレクたちよりも2時間ほど早くアニム王国に到着する。


◇◇


<アニム王国>


アニム王たちはギルドとの連絡が途絶え、調査させていた。

報告は同じだった。

ただ、派遣した騎士団はまだ到着していない。

近くのギルドからの報告で確認していた。


「いったい、どういうことなのだろう?」

王宮会議室で皆が集まっている。

「ギルドを壊滅させて、何の得があるというのでしょう。 また戦争でも起こそうというのでしょうか?」

騎士団長が話している。

「まさかな。 だが、我々に対する攻撃だということは確実だ」

王宮の重鎮の一人が言葉を出す。

「えぇ、それだけはわかります」

みな、うなずく。

会議室のドアが開かれ、一人の男の人が入って来た。

「ほ、報告します」

そう叫びながら、駆け寄って来る。

やけに急いでいるなと思い、皆見ていた。

騎士団長とアニム王の近くまで来ると、報告をした。

「一番近い街から派遣したものに寄りますと、3つの連合国家であった街ですが、人が誰もいないそうです」

!!

一瞬、その言葉の意味がわからなかった。


アニム王が言葉を出す。

「誰もいない? どういうことかね」

報告をした男が続ける。

「はい、何カ所か壊れている建物があるそうなのですが、人はおろか魔素を感じさせるものが何もないということでした」

・・・・・

・・・

!!

「そうか!」

アニム王は直感的に理解した。

そう口にすると、皆が注目する。

アニム王が周りを見渡していう。

「邪神王の復活だ」


その場の全員が言葉を失う。

アニム王はすぐに復活した際の手筈通り、全員に指示を飛ばしていた。

「確認は後でいい。 とにかく全種族に注意を発してくれ。 そして、聖属性の武器を持たせるように。 まだ完全に復活はしていないはずだ。 急げ!」

アニム王は席から立ち上がっていた。

会議室が慌ただしくなってくる。


◇◇


<南極:ゼロの居城>


テツとイリアスが組み手をしていた。

ゼロはうなずきながら微笑む。 

そして、空を見上げると顔から笑顔が消えていた。

ゆっくりと歩いて、テツたちの方へ向かう。


テツたちは気づき、ゼロの方を見る。

「ゼロ、どうしたのですか?」

テツが言う。

ゼロはイリアスを一度見て、テツに向かって言う。

「テツ、時間が来たようだ」

テツの目が大きく見開かれた。

ゼロが続けて言う。

「テツ、ボクたちにできることはここまでだ。 後は自分たちの力で対処してもらわなければいけない。 もし、テツたちが滅んだら、それはそれで仕方なかったと言えるだろう」

ゼロはテツに回復魔法をかけていた。


「ゼロ様、まだまだ完成には程遠いですが、仕方ありませんね」

イリアスは微笑みながら言う。

ゼロも微笑み、テツに話す。

「テツ、自分のステータスを確認してみるといい」

そう言えば、ステータスなんて見てもいなかったな。

ゼロに言われるまま、テツはステータスを確認する。


テツ(ランクA)

レベル:43→51

種族 :人?

HP :710/980 

MP :680/850 

力  :628→933     

防御 :590→894     

敏捷 :802→1013     

技能 :503→798    

運  :72 →75    

職業 :超人8


固有スキル 

神威かむい

祝福☆+γ《ガンマ》

神光気しんこうき

調理4


!!

ブフォ・・ゴホ、ゴホ・・。

「な、なんだ、このでたらめなステータスは! 俺、魔物とか敵を倒したわけじゃないのに・・」

俺は思わず言葉を発していた。

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