第299話 違う街の発見?
その家の中、リビングルームだろうか。
白いテーブルを囲んでレアたち6人が集まっていた。
レアは椅子に座り飲み物を飲んでいる。
「レア様、この街の住人ですが適応はそこそこでしょうか。 ですが、危険さも感じます」
フローラがレアに話しかける。
レアはそれを聞きながら、カップをテーブルに置く。
「そうですわね。 今までなかった便利なものを使い始めると、その恩恵による光が強ければ強いほど影を見落としてしまいますわね。 後は、この種族の素養ということになりますわね」
レアがそうつぶやくと、玄関の呼び鈴が鳴る。
時間は8時過ぎだ。
「レア様、ジェームズの使いのものが来たようです」
エリスが教えてくれる。
「そうですか」
レアはスッと立ち上が玄関へ向かって行った。
フローラたちも後に続く。
レアたちは、街の基礎が完成し住民の居住区なども確保すると、後はインフラの強化や基礎教育に明け暮れていた。
魔法の基礎を教え、レベル上げを援助する。
生活の基礎となるもののすべてを丁寧に教えていった。
ただ、レベル上げには慎重になっていた。
街の周りの魔物のレベルは高くても30程度。
あまりにも急速に援助してレベルを上げればいいというものでもない。
敵を作ることにもなる。
どれだけ上げてもレベルは20半ばでいいだろうと考えていた。
後は、本人たちが勝手に上げればいい。
普通はそこまで上げるだけでも、かなりの時間がかかる。
これだけでも過保護なのだが、異世界で信頼を得るには仕方ないとも考えていた。
ただ、ダンジョンに関しては魔素の安定ということで教えていたが、レベル20程度になれば10階層程度の土魔法はほとんどの人間はできるようになる。
ただ、20階層を超えるとなるとそれなりの適性は必要だった。
そんなこともあり街には子供用のようなダンジョンができていた。
ジェームズの使いの後ろを歩いて外へ出ると、空を戦闘機が飛んでいた。
「あれは、何ですの?」
レアが空を見上げて言う。
その言葉を聞き、ジェームズの使いが明るく得意げな顔で言う。
「はい、我々の世界で言う、戦闘機という乗り物です」
「・・なんと無駄なことでしょう」
レアがそっとつぶやく。
「え?」
ジェームズの使いは一瞬言葉を失ったが、
「レ、レア様。 教えていただいた通りに魔核と動力部分を融合してエネルギーを得ることができました。 今までは離陸まで長い距離が必要だったのが、そのまま離陸でき自由に空を飛ぶことができます」
「ふぅ・・私が代わりに説明いたしましょう」
フローラが話し始めた。
「前提として、魔核のレベルを超える能力は得られないことは知っていますね。 何度も教えたはずです」
男はうなずく。
「あの空飛ぶ乗り物は、レベル15程の魔核を使用していますね。 それでは、ガーゴイルにすら対応できません。 攻撃にしても同じです。 それに一人が移動するには無駄が多すぎます。 もっと個人の身体能力を磨く方がいくらか戦力になります」
フローラが説明をしてみたが、あまり響いていないようだ。
そこまで説明したときに、レアが手を挙げて言葉を中断した。
「さて、今日はジェームズ様はどのようなお話をされるのでしょうね」
レアはジェームズの使いで来た男に笑顔を向けた。
男は背筋を伸ばし、喜んでレアたちを先導する。
ホワイトハウス改に到着。
レアたちは政務室に案内された。
楕円形の大きなテーブルがある。
30人くらいは座れそうだ。
大統領以下、結構な人数が座っていた。
レアたちが部屋に入り、案内されそれぞれの席に着席する。
「おはようございます、レア様。 我が街と周辺の街も徐々に復興してきております。 これも皆、レア様たちのおかげです」
大統領が席を立ち丁寧に挨拶をしてくる。
その言葉をレアも丁寧に受け取った。
「おはようございます、皆さま。 今日はどういったご用件でしょうか?」
大統領がジェームズに顔を向けると、ジェームズが話始める。
「実は、街の外も落ちついてきております。 そんな中、我々の街とは違う街を発見しました。 調査も兼ねてレア様たちにご一緒していただければと思いましてお声をかけさせていただきました。 もし、レア様たちのような異世界の方々だと、我々では対応を間違えてしまうかもしれません」
ジェームズはそういうと一礼をして席につく。
レアは少し目を大きくすると、すぐに普通の顔に戻して答える。
「街・・ですの?」
「はい、街です」
ジェームズが答える。
「あなた方の街とは違うとは、どういうことでしょうか?」
レアがジェームズに聞く。
「はい、報告ではこの街と同じように城壁を作っているようなのです。 ですが、我々は自国の復興途中で、街はここ以外に2つしか建設しておりません。 それ以外に街が出来上がっていたのです。 場所だけを把握して調査員が戻って来た次第です」
ジェームズが丁寧に説明していた。
「なるほど。 それを私たちに見定めろとおっしゃるのですね」
レアが言う。
「・・失礼ですが、そうなります。 我々ではどう接していいのかわかりませんので、お知恵をお借りしようと思った次第です」
ジェームズは少し汗をかいているようだった。
間を置かずにレアは即答する。
「わかりました。 では、早速出発いたしましょう」
レアが席を立つ。
大統領は少し驚いていた。
まさか、即行動に出るとは思ってもみなかった。
用意していた飲み物が無駄になったようだ。
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