第298話 再建
フローラは別に気にするでもなく立ち上がり、魔石をみんなに見えるようにする。
「皆様、今から私が魔核の作り方と簡単な使用方法をお見せ致します」
フローラはそういうと、右手に乗せた魔石に左の人差し指でチョンと触れる。
すると、魔石が赤く光りだした。
光が強くなると今まであった石の1/4くらいの大きさだろうか。
透き通るようなきれいな赤い水晶のようなものが出来ていた。
「これが魔核ですわ。 そしてこれを利用したいものと融合させます。 魔石をそのまま利用してもいいのですが、魔核の方が効率が良いのです」
フローラは赤い魔核を皆に見えるように軽く前で持ち上げていた。
大型のモニターテレビをフローラは見つけると、近寄っていく。
テレビ電源のコードらしきものがある。
コードの先に電源を確保させる突起が見える。
フローラは特に意識するでもなく、突起が刺さるような小さな箱を作っていた。
そして、その小さな箱のようなものに魔核を入れると箱自体が赤く光る。
きちんとコンセントが刺さるような赤い箱ができていた。
フローラは微笑みながらその箱にコンセントを刺し、モニターをつける。
パッと画面が写る。
何も表示されないが、電源が確保できたことは確認できた。
画面が表示されると、誰ともなく声が出ていた。
「・・おぉ、ついたぞ・・」
「・・電気が・・」
・・・
「どのようなものかわかりませんが、エネルギーを供給するような線がありましたので、それに合ったものを作らせてもらいました。 皆様のイメージがあれば、エネルギーで動くものでしたらほとんどのものが、こういった魔核で動くようになりますわ」
フローラが当たり前のように説明する。
トーマスが手を挙げて発言する。
「レア様、その装置は誰でも作れるのですか?」
「えぇ、この程度のものならこの場の誰でも作れるようになりますわ。 ですが、今は無理でしょう。 皆様のレベルが低すぎます。 せめてレベル15を超えるくらいになっていただかないといけませんわ」
「レベル・・ですか」
トーマスはつぶやくように言う。
「そうです。 ですが、問題ありませんわ。 すぐにレベルは上がりますし、上がらなければ死滅しますわよ」
レアがそう答えると皆に緊張が走る。
大統領が立ち上がり、レアのところへ近寄っていく。
「レア姫様、我々を導いていただき感謝しております。 よろしくお願いします」
そう言って騎士の挨拶のような仕草をしていた。
その後は、レアと大統領の指示で地上に城壁を作り居住空間を確保した。
城壁を作るときに、近くにいた魔物をレアたちが確保し住民たちのレベル上げに利用する。
この居住空間にいる住民たちはすぐにレベルが上がり、ほぼレベル20前後くらいまで上昇した。
要領を覚えた住民がそれぞれ散り、まだ覚えていない住民へと伝えていく。
機械類も魔核との融合で動くようになっていた。
レアたちが到着して1日も経たずにそれだけのことが行われていた。
・・・・・・
・・・・
・・・
レアたちが到着して3日が経過。
ホワイトハウスもきれいに建て替えられていた。
属名、ホワイトハウス改。
城壁の中の住民たちは少しずつ人間らしい生活がまたできるようになってきていた。
魔法で水や火などは自由に使える。
以前の生活よりも快適さが増大しているように感じるくらいだ。
城壁の中は安全が確保され、レベルが上がってくると以前とは比べ物にならない身体能力を皆感じ始めていた。
トーマスも国防長官として軍の再編を指示していく。
魔核を利用すると装甲車や戦車も動くようになっていた。
とはいっても、レベル15程度の魔核だが。
フローラは魔核のレベル以上の能力は発揮できないし、自分を鍛える方が強いと何度も念を押しながら教えていた。
・・・・
・・・
・・
レアたちが到着して数日が経過。
街は見違えるほどになった。
大統領もレベル24となっていた。
住民たちも同じくらいのレベルに到達していたようだ。
現代人はファンタジー系との親和性が高いのか、魔法などもそれほど抵抗なく受け入れられているようだ。
活き活きとした感じが、城壁の内側では取り戻せていた。
身体能力が映画のヒーローのような感じで動く。
魔法などというものまで存在する。
誰でも自分を過信するだろう。
そういった危うさもチラホラ見えるようになっている。
レアたちは自分たちの居住スペースを確保していた。
フローラの魔法で構築した住居。
見た目は洋館風の建物だ。
テニスコート2面くらいのスペースに、6人が生活できるくらいのやや小さめの家だ。
これでも遠慮気味に作ったらしい。
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