第143話 それにしても、これだけの建物を・・魔法って凄いな!


街のランドマークになるであろう、高い塔の方へ向かってもらった。

塔の近くに来ると、向こうからもワイバーンに乗った人たちがやって来た。


何やら指示をしてくる。

どうやら、着地地点を教えてくれているようだ。

フレイアがバーンの背中の上へ移動して、相手に手を振ったみたいだ。

エルフを見て安心したのだろうか、バーンの前に移動して先行してくれる。


高い塔の前に着地して、みんなを降ろす。

バーンも小さくなってもらった。

バーンはすぐに颯の頭の上に乗っかる。


先行していた人たちが近寄って来た。

「ようこそ、我らがアニム王国へ」

どうやら騎士団と呼ばれる人たちらしい。

フレイアが前に出て、自分の身分などを話していたようだ。

向こうは少し驚きつつも、深々と頭を下げた。

・・・・

フレイアさん、あんた一体何者?


「さぁ、行きましょうテツ。 アニムがいるところまで案内してくれるって言ってるわよ」

フレイアが微笑みながら俺達を見る。

俺達は騎士団員の後をついて行った。

高い塔を横に見ながら、大きな城門をくぐる。

城門の中には宮殿が見えた。

その横には、きれいな建物がある。

この荘厳な感じ、何か大事なものを扱うところなのだろう。

見るものがすべて新鮮だ。

騎士団員たちが宮殿の方へ案内してくれる。

入り口で、騎士団員たちは中の人に引き継いで、また現場の方へと戻っていった。

案内してくれた騎士団員に俺も軽く会釈をすると、中の人に付き従う。


「どうぞこちらです」

笑顔を絶やすことなく俺達を案内してくれる。

きれいな女の人だなぁと、ついつい俺は見入ってしまった。

直後、ボディに軽い衝撃を感じる。

「うぐ・・」

フレイアが俺のお腹に肘打ちをしてきた。

このエルフ、いったいなんだ?

・・

まぁいい。

俺は宮殿の中を見渡してみる。

「へぇ~・・凄いな」

思わず言葉が漏れる。

それにしてもアニム王・・よくこんなものを一瞬で作ったよなぁ。

魔法ってすごいな。

俺たちの建築技術って、いったい何だったのだろう。

嫁たちもキョロキョロしていた。

うわぁ、すごいねぇ・・の言葉が聞こえてくる。

俺もそう思う。


しばらくすると、大きな扉がゆっくりと開かれた。

自動ドアかな?

そう思いつつも中へ入って行く。

広い空間があり、その奥の方、1段高くなったところの広間にアニム王が椅子に座っていた。

壁際には騎士団の人達だろうか、等間隔で並んで立っている。

アニム王の近くには、ラフな服を着ている人が数人並んでいた。


アニム王がこちらに気づいて椅子から立ち上がる。

周りの人たちもこちらを向く。

アニム王が後ろの人たちに何か指示を出している。

指示を受けた人は一礼をすると、広間の奥へ消えて行った。


アニム王の近くへ来ると、案内してくれていた人が、

「アニム様、お連れしました」

そう言って、一礼をして壁際の方へ移動して行く。

「ありがとう」

アニム王が謝意を示していた。


「やぁ、テツ。 改めて、ようこそ我が帝都へ。 それに、フレイアもよく来てくれました」

アニム王はニコニコしながら話してくれる。

とてもうれしそうだな。

やはり自分の国の人たちがいるのはうれしいのだろうな。

本当に良かった。


フレイアがアニム王に近づいて行く。

「アニム、ご無事で何よりです」

ん?

そういえば、フレイアって、アニム王のことを呼び捨てだよな。

気にしなかったが、幼なじみなのかな?


「アニム、国民も無事に転移できてるみたいね」

フレイアがねぎらう。

「ええ、まだ正確な数は把握できてませんが、帝都に居た人たちは転移してきてると思います。 ただ、周辺諸国の人たちはわかりません」

「それは仕方ないわね。 光の神の加護次第ね」

フレイアとアニム王が会話をしながら、こちらを見てアニム王が言う。

「これは失礼した」

そういうと、アニム王が指示を出していく。

アニム王が座っていた椅子の周りにテーブルと、俺達の人数分の椅子が用意された。


俺たちがフロアで浮いてる感じだったからな。

嫁もお義母さんも、落ち着かなかっただろう。

テーブルの方へ促うながされながら、みんな席についた。

颯たちは初めての学校の入学式のように動きがカチコチだったものな。

すぐに飲み物が運ばれてきた。

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