第142話 プチ旅行だな


「テツ、私今からアニムの街に行って来ようと思っているのだけれど・・」

フレイアがそういうと、みんなが驚いていた。

・・・

どうやら、街の存在を認めつつあるようだ。

俺の言葉では信用できないのかな。

いや、地球人の言葉では信じられないのだろうな。

「フ、フレイア、俺も連れて行ってくれ」

少し迷ったが、報告も終わったし、俺ももう1度行きたくなっていた。

すると、優も行きたそうにしている。

嫁さんとお義母さんは、目を大きくしてこちらを見ている。

・・

わかりました。

みんなでプチ旅行ですね。


あ!

颯のバーンに乗せてもらえば、結構な人数運べるんじゃないか?

俺はそう思ったが、魔物対策の結界を張ってたからダメかな。

そんなことをブツブツ言っていると、フレイアが答えてくれる。

「テツ、テイムされてる魔物は防御結界には反応しないはずよ。 それに私の風魔法でも4人くらいは運べるわよ」

風魔法ねぇ・・シルビアの時の光景が浮かぶ。

あまりいいイメージがないんだよな。

「そ、そうか・・ありがとう、フレイア」

俺はそう答えると颯に聞いてみた。

「颯、バーンは人を運べるのかな?」

「うん、大丈夫だよ。 ここにいるみんな運べるよ」

颯が答えてくれる。

ワイバーン、移動に便利だな。

「そっか、じゃあ遠慮なく運んでもらうか。 お願いできるかな、颯」

颯は「うん」と気持ちよく返事をしてくれた。


「早速、行く準備をしよう。 お義母さんたちもどうですか?」

お義母さんは乗り気だ。

嫁さんも準備をしだした。

なんだよ、行くのかよ。

返事しろ、嫁!

心の声です、はい。


「じゃあ颯、よろしくお願いします。 フレイアも一緒に乗せてもらえばいい」

フレイアが颯のところへ近づいて行く。

「颯君、お願いしていいかな?」

「うん!」

颯は大きくうなずく。

そんな美人に頼まれたら男としては断ることができないよな。


アニム王の街へ行くのに、ちょうどいいかもしれない。

夜だし、周りからもわからないだろう。

・・・

さて、外で待っていよう。

俺は1階に行ってばあちゃんに説明をする。

「ばあちゃん、今からみんなでアニム王の街へちょっと行ってくるから、よろしくです」

「そうかい・・遅い時間だけど、気を付けてね」

「ありがとう、ばあちゃんも行くかい?」

一応、声をかけてみた。

回答はわかっているが。

「いや、遠慮しておくよ。 夜も遅いしね。 また今度頼むよ」

予想通りだな。

「わかった。 じゃあ、頼みます」

ばあちゃんに留守をお願いして、外へ出た。

しかし、ばあちゃん・・アニム王の街を理解してないだろうな。


嫁とお義母さん以外は全員外にいた。

相変わらず遅いのだろうな。

少しして出てきた。

いつもより早いじゃないか。

知らないところへ行く旅行気分になると身支度が早くなるのかな?

ま、いっか。


さて、颯のワイバーンが元の大きさに戻っていた。

まだ、子供のはずだがそれでもかなりの大きさになる。

背中に颯と凛、嫁さんとお義母さんが乗る。

俺はバーンの足に掴つかまらせてもらう。

優も同じように足につかまっている。

フレイアはその状況を見て、風魔法で浮かんで優のところの足をつかんでいた。

優・・うれしそうだな。


ワイバーンが羽ばたくと、ゆっくりと上昇していく。

周りに高圧線があるが、魔物なら避けるだろう。

バーンは当たり前のように電線などを回避して、上空へ舞い上がった。

・・・

これはこれで気持ちいいな。

バーンの背中の方では、颯か凛かわからないが、キャッキャッとはしゃいでる声が聞こえる。

スラちゃんも一緒にいる。

風に乗っかるというか、波乗りというか、グライダーってこんな感じで飛ぶのかなって思ったりもした。


グングンと上昇して、上空の分厚い雲に近づいていく。

バーンは雲に沿って移動して、ある程度行ったところで雲の中に入った。

地形がわかるようだ。

そのまま雲を突き抜けると、下に街が見えた。

明かりが見える。

もう、立派な街が出来上がっていた。

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