第136話 アニム王の街づくり
2階へ行ってみると、凛がスラちゃんと遊んでいた。
バーンもパタパタと部屋を飛び回っている。
・・・
動物園か?
あれ?
優とフレイアがいないぞ。
「凛、ただいま~。 優兄ちゃんは?」
凛に聞いてみた。
「あ、パパおかえり。 兄ちゃんはフレイアさんと一緒に出掛けて行ったよ」
「そうなのか・・どこへ行ったんだろう」
颯が横から答えてくれる。
「優が少しレベルのある魔物のいるところへ行ってみるって言ってたよ。 確か、風吹君を連れて行くって言ってたと思うけど・・」
マジか!
まぁ、フレイアが付いていれば問題ないだろう。
颯の言葉を聞きながら部屋を見渡す。
なんか嫁には声をかけにくい、というか声をかけたくないな。
「あ、おかえりなさいテツさん」
お義母さんが声をかけてくれた。
「戻りました、ありがとうございます。 何か変わったことはありませんでしたか?」
「別になかったですよ~」
お義母さん、相変わらず軽いな。
「そうですか、それは良かった」
嫁は台所で何か作りながら、コーヒーを飲んでいた。
「あ、嫁さん、戻りました。 アニム王とその仲間が今下にいるんで、また下に行ってきます」
俺はそういうと1階へ移動。
嫁は何も言わない。
俺がいくら声をかけても返事もしなくなったよな。
何様?
逆に俺が返事をしなかったら鬼の首を取ったように言ってくる。
前の俺なら弁明などを試みたけど。
いつからだろう・・使用言語が違うんだと、自分に言い聞かせてきたのは。
・・・
ま、いっか。
1階に来てみれば、ルナとシルビアたちはばあちゃんと盛り上がっていた。
ばあちゃんの人柄だろうか・・誰とでも仲良く接することができるみたいだ。
アニム王は横でニコニコしながら座っている。
後で思ってみたのだが、アニム王など凄まじい面子(めんつ)だよな。
それが俺の家にいる。
信じられないぞ。
そんなアニム王の横に行って、俺は聞いてみた。
「アニム王、これからどうされるおつもりですか?」
アニム王は俺の方を見ながら答える。
「うん、実はね・・こちらへ移動中に考えをまとめてみたのだよ。 テツの助言が役立った形だね」
俺にはよくわからなかった。
「どういうことです?」
「結論から言うと、街を作ろうと思う」
!!
「街、ですか・・」
そりゃ、アニム王が街を作ればうまく運営できるだろうが・・。
どこに作るというのだろう。
「そう、街だ。 それでね、私の今の能力でも8万人くらいの規模の街は作れると思うんだ。 ルナもいるし手伝ってもらえれば、より完全な街が出来上がるだろう」
アニム王が微笑みながら言う。
ルナも手伝うっていったい?
俺は不思議そうな顔をしたのだろう・・アニム王が追加情報をくれた。
「あぁ、ルナはね、ダンジョンクリエーターの能力も持っていてね。 ラビリンスともいうけど、そういった空間操作能力の保有者だね」
!!
「ダンジョン・・ですか」
俺は衝撃を受けた。
これはまさに、RPGじゃないか!!
「そうだよ。 だから、彼女にも手伝ってもらって街を作れば安定した街になるね」
なるほど、それはわかった。
「でも、アニム王・・どこに街を作るのですか?」
俺は地球人との摩擦を心配した。
するとアニム王が手を前にして、人差し指を上に向けていた。
「空に浮かべるんだよ、街をね」
は?
・・・
・・
俺はすぐに言葉が出てこなかった。
「空に・・街を作るのですか?」
ぼんやりとつぶやく。
「あぁ、そうなるね。 魔石をある程度集めて基盤を作り、後は土魔法なんかで構築すればいいね。 もうイメージはできてるから、すぐにでも作り出せると思うんだ」
「すぐにですか・・それはまた・・」
俺はうまく言葉にできない。
「ルナが一息ついたら聞いてみようと思っていたところだよ」
アニム王は何か、活き活きとしている感じだ。
俺には想像できない。
街を作るのでも、どんな形になるのかはっきりとイメージできない。
「アニム王、どんな街になるのですか?」
俺は聞かずにいられなかった。
アニム王はやる気満々の顔だ。
「そうだね・・森と山が2~3つくらいと、少しの街並みがいるね。 小さな都市機能を備えた街になると思うよ」
「山があるのですか」
「うん、ダンジョンも取り入れないとね」
アニム王、楽しそうだな。
しかし、それだけの規模を浮かべるのか。
俺の想像の範囲を超えてるな。
「テツ・・どれくらいの規模を想像してるかわからないけど、空間を圧縮して作るから、見た目と中では大きさが違うよ」
アニム王は説明してくれた。
・・・・
・・・
・・
どうやら、見た目とは全然違う規模の街になるそうだ。
だが、それでも規模的にはかなりの大きさになるという。
例えば、中で生活してる感じでは北海道くらいの広さを実感できても、見た目ではTDLやUSJくらいの広さという感じだろうか。
それにしても、それくらいのものを浮かべるということだ。
そりゃ、地上の人たちとの衝突はないだろう。
俺が驚きつつも、不安そうな顔をしていたのだろうか。
アニム王がすぐに言葉を付け加えてくれた。
「テツが考えていることはわかるよ。 我々は異世界人だからね。 それに今までの経緯から、無駄な衝突は避けたい。 だが、我々も新しい環境で生きていかねばならない。 そんなことを考えていたら、こうなったわけだ。 ただ、時間が経てば、地上での生活もできるかもしれないね」
アニム王は本当によく考えてくれているな。
俺も、アニム王の国に移住しようかな。
そんなことも思ってみたりした。
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