第13話 忍者の選択はもしかして・・俺って、直感系でよく失敗します


さて、じいちゃんとばあちゃんにステータスの職業のところをタッチしてもらった。

やはり人によって選べる職が違うようだ。

じいちゃんは、戦士、魔法使い、盗賊、鍛冶師。

ばあちゃんは、魔法使い、僧侶、調合士。

颯は、戦士、魔法使い、テイマー。


職業は歩んできた人生の経験が反映されるのだろうか。

じいちゃんなんて日曜大工得意だったしな。

ばあちゃんは料理を結婚後ずっとしているし、今だって孫の食事をよく作ってくれている。

毎日負担かけてます、すみません。

颯はまだ人生を語るには時間が少なすぎるが、亀や金魚などを育てているからか?

テイマーなんて職種もあるのかもしれない。

・・・

お茶を飲みながら、楽しく職のことで話し合った。

ゆったりとした時間が過ぎていく。

また、ラジオは俺と優が出て行ってすぐに聞こえなくなったそうだ。


結局、じいちゃんには「鍛冶師」を選択してもらった。

じいちゃんはなんでもいいと言っていたが、これから武器や防具などで必要な職だろうと思ったからだ。

ゲームの世界ならではだが。

固有スキルに「錬金1」と「制作1」があるという。

まあ、生産職で間違いないだろう。

ばあちゃんは調合士と僧侶で迷ったが、「僧侶」を選んでもらった。

固有スキルは早速「回復」があるようだ。

「私、お経全部覚えてないよ」には笑ったが、回復系の職業で間違いない。

誰かが怪我すれば治せる人が必要だからということで選んでもらった。

ばあちゃんもそういう役立つことには大賛成のようだ。


颯は魔法使いとテイマーで少し迷ったが、スライムとか出てきたら飼えるかも・・というと、即テイマーになった。

また、颯では魔法使いは難しいんじゃないかとも思えた。

戦士系はまず無理だしな。

固有スキルには「勧誘」「飼育」があるみたいだ。

これって、戦力として大丈夫か?


しかし、嫁の文句は一流だな。

自分の職が選べないのが相当ご不満のようだ。

でも嫁さん、一体何をしてたんですか?

ただ家で居ただけでしょう。

常々俺には金を稼いで来い、稼ぎが少ない。

挙句の果てには子供たちに、男はきちんと職についてしっかりしないとダメですからね、なんて言ってたよな。

あ! そういえばこんな世界になる前。

RPGゲームをしていてなかなかお金が貯まらないと、子供たちに現実でも稼ぎが少ない奴はゲームでも少ないって言ってたよな。

・・・

だんだんと腹が立ってきた。


『てんめぇ!! 今のこの世界でのモノサシが、金から魔物を狩ることに変わったにも関わらず、おまけにタダで経験値をもらってるのに文句があるのか!! ええ? こらぁ! お前みたいなのを寄生虫っていうんだよ! わかってんのか、このボケが!!』

と、声を大にして俺はで叫んだ。

そう、俺って意気地なしだ。

声に出しては言えない。

こんな俺って、やっぱりダメか?


さて、少し休憩したらまたレベル上げに行くつもりだが、パーティの編成を少し変えようと思う。

嫁と凛がこれでは上がらない。

嫁は放置しておいてもいいが、それは俺的な目線だけだ。

子どもたちには必要な存在だ。

レベル上げも兼ねて、食料の調達をしなければと考えている。

こんな状況だ。

行政や警察はあてにならないだろう。


俺はスーパーエイトまで行って来ようと思っている。

コーンフレークのような、乾きもの類を確保したいしな。

スーパーエイトは3キロくらい離れたところにあるスーパーだ。

7時から営業している。

昔は8時からだったらしく、それでエイトだそうだ。

気が付かなかった。

時間をみれば8時55分になっている。

そういえば、俺も自分のスキルをチェックしてなかった。

火の魔法が使えるようになったはずだ。

それに軽歩行っていうのもあったな。

どうやって使うんだろ?

ステータス画面をみてみる。


職業:忍者1(魔法:火属性)

とある。

魔法:火属性のところをタッチ。

使える魔法が表示されていた。

「ファイア」

1つだけのようだ。

これって、大丈夫か?

種類って増えていくものなのかな?

想像では最終的には極大魔法や炎のイメージがあったのだが。

とはいえ、忍者だしな。

魔法使いって本職もあるし、そちらの領域だろう。

愚痴はこれくらいで、気を引き締めないと。

なんか余裕感があるが、やっぱこれがやばいよな。


それよりも、ファイアを使ってみよう。

俺はみんなから少し離れてファイアと言ってみた。

!!

指先にピンポン玉くらいの大きさの火が出た。

「うわ!」

思わず声が出る。

みんなの注目を集めた。

「おっさん、火が出てるぞ」

「パパ、火が出てる」

「火事になるよ」

驚きよりも注意された。


すぐに火は消える。

イメージが大事みたいだ。

だけど、こんなしょぼい火って役に立つのか?

しばらくの間この魔法を使って、みんなでワイワイと過ごした。

凛が大喜びだ。

もう一回やって、もう一回やっての繰り返し。

しかし、ただでさえ魔力が少ない俺。

身体は疲れてないのにだるい感じがする。

魔力も14まで減っていた。

使い過ぎだな。

なるほど、このだるさを感じるとガス欠が近いということか。

勉強になったよ。

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