第11話 忍者って、使えるジョブなのか?
「レベル5か・・なるほど。 それじゃあ、次に職業のところを軽くタッチしてみな」
俺は軽く答えたものの、自分のステータスに驚いていた。
そしてドキドキしている。
忍者だ、忍者。
マジか!
いったいどうなるんだ。
迷うまでもなく忍者を選ぶだろう。
早く転職してみたい。
「・・おやじさん!」
優がやや大きな声で呼んでいた。
「おやじさん、なにボォーッとしてんだよ」
「あ、あぁ・・すまんな。 で、何の職が出た?」
俺はそう答えつつも頭の中は忍者のことでいっぱいだ。
「えっと、戦士、盗賊、魔法使いって、3つあるよ」
優はうれしそうに答える。
え?
3つだけ?
選べる職って人によって違うのか?
「3つしかないのか?」
俺はついつい聞いてしまった。
「うん・・え、3つだけしかって・・他にもあるのかよ?」
優は喜んでいたが、少しムッとした感じだ。
「い、いや、すまん。 言葉のアヤだ、悪かった。 で、どれを選ぶんだ?」
優は真剣に考えてるようだが俺はそれどころではない・・早くしろ!
「そりゃ、盗賊を選ぶよ。 おやじさんの動きとかすごいものな」
あの移動速度と戦闘能力をみれば当然か。
「やっぱ盗賊だよなぁ。 戦士は地味っぽいけど、魔法使いってのもいいんじゃないのか?」
「いや、盗賊だよ。 これ以外に考えれない」
優がうれしそうに言う。
まぁ、無理強いすることもできないし、優が生き延びるのが最優先だからな。
「そうか、じゃあそれをタッチして転職してみればいい」
優は迷わずにタッチする。
俺の方も早く忍者に転職したい。
「・・おやじさん、何か身体が軽くなったような感じがする。 それに固有スキルってのが表示されたよ」
優が目を大きくしながら言う。
「そっか・・で何のスキルがある?」
俺はかなりイライラしながら聞く。
「えっと・・忍び足1、気配察知1だな」
「なるほど」
俺の探索は固有スキルってことか?
やっぱり、よくわからんな。
「それじゃ、少し動いたりしてみて確認してみればいい」
優に適当にアドバイスをする。
俺はとにかく自分の時間を確保したい。
早速、優はそこら辺でいろいろ動いたり飛び跳ねたりしている。
それを横目に俺もステータス画面を開く。
迷うはずもない。
忍者への転職を選ぶ。
直後、俺の頭の中に天の声が聞こえた。
『忍者への転職を確認しました。 魔法スキルを一つ覚えることができます』
テツ
レベル:9
種族 :人
HP :85/110
MP :40/65
力 :88 +5
防御 :70 +5
敏捷 :117 +10
技能 :68
運 :62
職業 :忍者1
固有スキル
探索6
忍び足6
気配察知7
罠解除1
杖術5
体術5
自動回復4
軽歩行New
忍者のところをタッチすると、魔法の種類が表示される。
火、水、土、風、光、闇。
6種類もあるのか。
迷うよな、マジで。
う~ん・・どれがいいんだ?
魔法の説明はないし。
直感では火だな。
テッパンだろう。
しかし、闇ってのも忍者らしいけど・・ヤバい気もするしな。
後、スキルで軽歩行というのが新しく表示された。
なんだ軽歩行って?
優が近寄ってくる。
どうやら気が済んだようだ。
「すごいよ、おやじさん。 身体が軽い。 それに音もあんまりしないし。 後は気配察知のスキルなのかな? 家でおやじさんが言ってたように、頭の中にマップが浮かぶイメージがある。 半径100メートルくらいと思うけど・・わかるんだよな」
矢継ぎ早に話しかけてくる。
「で、おやじさん・・何してるんだ」
優が覗き込むように俺を見る。
俺があまりにもジッとしているので不思議だったらしい。
「い、いや、上位職への転職をしたのだが・・」
言いにくいが、正直に俺は話す。
「は? 何それ・・上位職? なんだよ・・やっぱチートじゃねえかよ。 それで、何の職になったの?」
「えっと、その・・忍者に・・」
俺は小さな声でつぶやく。
「え? 何?」
優が顔を近づけてくる。
「忍者です!」
俺は覚悟を決めてはっきりと答える。
!!
「え、えぇ~? 忍者? 何だよそれ・・やっぱチートじゃねぇかよ!!」
いや違うんです。
そういうものなんです・・たぶん。
心の声です、はい。
俺は、職のレベルが10になると上位職へ転職できるらしいことを話し、魔法を一つ取得できるのだが、どれにしようかと迷っていると伝える。
「やっぱ、火とかかっこいいんじゃないか」
軽いな、優。
「やっぱりそう思うか?」
これには俺も同意だ。
だが、かっこいい、で選んで大丈夫か?
今後の戦略にも関わってくるぞ。
しかし、インフラが使えない分、火はいるかもな。
・・
よし!
「では、魔法は火にするよ」
俺もあっさりと魔法は火を選んだ。
優の職も選べたし、俺も上位職へ転職できた。
そろそろ家へ帰ろう。
ん?
右方向から人が近寄ってくる。
あれ?
俺は優に語りかけるわけでもなくつぶやいた。
風吹君:優と同級生。
風吹君の弟に
これは颯と同級生。
風吹君のお父さんの方から声をかけてきた。
「町田さん、おはようございます」
「おはようございます、田原さん」
お互いに軽く会釈をする。
「なんか変なことが起こってるみたいですね」
田原さんが言う。
変なことって(笑)
笑うところじゃないな。
「田原さん・・なんか変わったことありました?」
俺も白々しく聞いてみる。
「う~ん・・何か変わったことが起こったいうわけではないのですが、大きな犬のような叫び声が聞こえたり、地震でもないのに停電になってみたりと・・テレビもつかないのですよ」
田原さんは、何か変なことが起こっているがよくわからないという。
俺だってわかってるわけじゃない。
そんな状況でよく外へ出る気になったなと思ったが、どうやら窓から俺たちの姿が見えたらしい。
俺は田原さんを見ながら思った。
そして、田原さんはいい人だ。
子供たちが、いつ遊びに行っても嫌な顔一つしない。
とてもよくしてくれる人だ。
こんな人を失いたくない。
だが、今のこの状況を俺が知っている限りで説明して大丈夫か?
俺って、完全にイカれていると思われないだろうか。
う~ん・・俺は少し悩んだが、顔を上げて田原さんを見る。
「田原さん・・」
俺は意を決して言ってみた。
「田原さん、俺正気ですからね。 変だと思わないでくださいよ」
田原さんは軽く微笑む。
「実はですね、私もよくわからんのです。 でも、結論からいうと、どうやら異世界漫画のようなことが起きているようなのです」
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