第28話 キックボクサー 花 聡明 ①
キックボクシングとは何か?
……そうだ、キックボクシングとは復讐の格闘技である。
日本にキックボクシングが生まれたのは昭和40年代。
そう……キックは日本発祥の格闘技である。
空手をベースに作られた対ムエタイ用格闘技。
それがキックボクシング。
批判覚悟。 極端な事を言えば、空手の一流派である。
逆に言ってしまえば、多くの空手家がキックに関わったため、空手ブームが起きていた海外でキックが普及されたのだ。
要するに――――
キックボクシングで試合をしているのは空手団体でも実力がある者。
実力がある者ならば、海外で支部長を経験している。
自分たちの師匠がキックボクシングなら謎の競技に出場している。
なんだ? これは? とヨーロッパなどの弟子達がキックを研究し始めた。
これが海外でキックボクシングが浸透している理由だと考えられている。
さて……
対ムエタイ用格闘技という事からキックボクシングはムエタイを戦う事を義務付けられた競技であるという事はわかるであろう。
例えば、極真空手とムエタイの対抗戦で破れた黒崎健時氏がキックのジム設立したとか
例えば、キックの鬼と言われた沢村忠が、デビュー2戦目にタイ人相手に16度のダウンを奪われ負けたとか
復讐の格闘技を言われる所以は数々ある。
しかし――――
閑話休題。
今宵の郡司飛鳥の相手は花 聡明という名前。
無論……
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「……動画とは違うみたいですね」
深夜のジム。 聡明は訪ねてきた飛鳥に言った。
「いえ、前回の動画で場所選びに失敗がありましてね。今回は、新企画と言うわけで格闘技のジムを紹介する動画です」
「ふ~ん、そういうの何て言うか知ってる?」
「え? 何て言うのですか?」
「道場破り」
「……危ういですね」と飛鳥は、誤魔化すように笑って見せた。
「え? 好きでしょ? そういう危ういのが?」
「どうでしょうね。 俺は、こういう撮影が好きなだけなんですが……」
「そういうのが危ういって言うんだよ」
「……」と聡明は笑っていない。 さっきから危うい視線を飛鳥は受けている。
「今回は使わないみたいだね」
「え? 何をです」
「オープンフィンガーグローブ」
「あぁ……キックボクシングのジムですから、ボクシンググローブを……ってキックでもボクシンググローブって呼んで良いですかね?」
「ん? ん? どういう事?」
「だって、ボクシングで使うからボクシンググローブならキックで使うなら、別の名前で呼ばないとダメなんじゃないかな……と思いまして」
「別にボクシンググローブで良いと思うよ? キックでもキックボクシングなわけだし……おもしろいね。そんな事は考えた事すらなかったよ」
「面白いって言う割には顔が怖いですよ」
「すまないね。顔が怖いのは生まれつきなんだ」
「……うそつき」を飛鳥はすねたように言った。
「まぁ、良いじゃん。ぶっちゃけヤリに来たのでしょ?」
花 聡明はグローブをつけてリングに上がった。
郡司飛鳥もそれに続く。
「おたくの動画、何度か見たけど総合格闘技のルールでしょ? そのグローブで戦えるの?」
「まぁ、俺は総合格闘家というわけでもないので」
「あっ、そう。じゃ始めようか」と聡明は口でカーンとゴングのモノマネをした。
それと同時に一気に間合を詰めて、飛鳥に殴りかかってきた。
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