第67話 陽気な三人
マリは大広間を抜けエレベーターの所に来たところでマナに会う。
二人は合流して一緒にエレベーターに乗った。
先ほどのドグマとのやり取りをマナも聞いていた。
マリはその事が気恥ずかしくマナに話しかけづらかった。
そうしているとマナの方からマリに話しかけてきた。
マナ:「マリ様は旧世界に行かないとおっしゃいましたよね?」
マリ:「ああ、私は旧世界には行かない。」
マナ:「そうですよね、『予言の書』でも勇者は一人で旧世界に戻る事になってます。」
マリ:「本当か?」
マナ:「はい」
マリはここで違和感を感じた。
カズマはメイを旧世界に連れて行くと約束した。
マリを一緒に連れて行くとも言った。
予言の書が正しいとすればカズマの望みは叶わないということになる。
カズマはマリの気持ちをコントロールする為に嘘をついたのか?
どちらにしろ私の願いは叶わない・・・
マリはようやく気の迷いが晴れた。
私は王女だ。
私にはここでやることがまだまだある。
エレベーターが最下層に到着し、マリとマナはコンピュータールームへ向かう。
二人が近づくとテーブル席で楽しそうにトランプをしている三人の笑い声が聞こえた。
メイ:「パーパ、変な顔~」
カズマ:「バカ、オマエだって。なぁトライ・・・ギャハハハハ」
トライ:「あれ?そんなに僕の顔おかしい?カズマさん。」
カズマ:「ギャハハハ・・・やめろトライ、こっち来るな!笑いすぎて死ぬ!」
メイ:「キャハハハ・・・ホントだうける~」
マリとマナはいぶかしげに三人の顔を見てみる。
三人の顔にはマジックで眉毛やら髭やらを書いたり、イタズラ書きされていた。
どうやらババ抜きで負けた罰で顔にマジックで書き込みをしたようだ。
三人がマリとマナに気付く。
カズマ:「お、お疲れさん、もうそんな時間か。」
メイ;「マーマ!見てトライの顔めっちゃおもろい!」
トライ:「マリ、僕の顔そんなにおかしい?」
マリはハーとため息をついてから三人に吠える。
マリ:「三人共顔洗ってこい!」
メイ:「はーい」
カズマ:「へーい」
トライ:「マリ・・・怖い・・・」
三人が渋々と洗面所に向かうとドグマがコンピュータールームへやってきた。
ドグマもマリの形相に怯えてチョコンとテーブル席に座る。
ドンと大きな音をたててマリはテーブル席に座った。
すでにテーブル席にかけていたマナはビクッと一瞬体をこわばらせた。
5分後メイがタオルで顔を拭きながら洗面所から出てくる。
マリはメイを睨み付ける。
マリはメイが少しにやけているのに気付いた。
マリ:「カズマとトライはまだか?」
マリは神経質に指先でテーブルをトントンとつつきながらメイに聞く。
メイは笑いをこらえながら答える。
メイ:「ぷぷ・・・もうすぐ・・・来るアル・・・ククク・・・」
メイはテーブル席に座ると口に手を当てて下を向いた。
そこへカズマとトライが洗面所から出てきた。
カズマ:「や~お待たせお待たせ。」
トライ:「や~お待たせお待たせ。」
カズマとトライは同じ鎧を着て同じように右手を挙げ、同じセリフで登場した。
カズマはマジックでトライの瞼の傷を自分の顔に描いていた。
そっくりそのままの二人が登場したのでテーブル席の三人は大爆笑した。
ドグマ:「ガハハ~オマエラ似すぎだろ!」
マナ:「アハハハハ、面白い~」
メイ:「イヒヒヒヒめっちゃうける~」
マリもお腹を抱えて笑っている。
カズマは場が和んだのを見計らって瞼のマジックをぬぐいとった。
カズマが席につくとトライはその隣の席に座った。
マリとドグマがカズマを見る。
カズマは二人にうなずき言った。
カズマ:「いいんだこれで。」
そう言った後カズマはチーム会議を始めた。
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