コラム ―― 小説導入部

 小説の冒頭、導入部とか言う奴です。

 タイトルやキャッチで興味を持たれても、次のステップで弾かれる事があるので。


 小説の書き出しで苦労される方って、居るかもしれませんし、居ないかもしれませんが例を挙げて、少しだけ説明します。


A(ちょっとした間違いから魔法少女やってます)

 肌を掠める乾いた風が吹く宵闇の中。

 

 ひらひらとフリルが風になびき、星くず煌めくブーツに羽根が付いたベレー帽、手には星やハートが装飾された特製ステッキ。

 ミニスカートの裾からは見えそうで見えない秘密のベール。

 全身白とピンクでコーディネートされたその存在は、高層ビル街を飛び回る。


B(再生神降臨~遠慮のない破壊行為の後始末)

 人類は過ちを犯した。

 決して顕現させてはならない存在を自ら呼び寄せたのだ。


 大地は一瞬にして吹き飛び無数の命は儚く散っていく。

 誰もそれに抗う事は敵わず、ひたすら神の怒りに触れ全てが焦土と化して行った。

 祈りは勿論通じるはずもない。

 審判は下ったのだ。


 AとBは違う話ですが、書き出しにインパクトを持たせようと足掻いた結果です。

 パッと見た時に引き込まれるかどうか、それを示したかったのですが、力量及ばずこんな物しか用意できませんでした。


 これ何の話だってか?

 Aはボツになってる紹介者の小説もとい落書き冒頭です。現代ファンタジーもので、魔法少女ならぬ魔法少年ものですが。いわゆるショタって奴です。

 Bは15話まで書きながらお蔵入りしている、異世界ファンタジー小説擬きです。

 どちらも下書き状態で転がってます。


 何でこんなものを示したかと言えば、ブラバされるのがこの程度の文字数だからです。と言うかこれでも多いくらいです。

 たったこれだけで読者はその作品を「つまらない」「面白そう」と判断します。

 読みます企画では「つまんねー」と思っても、ほぼ読んでしまいますが、一般の読者はそんなに甘くないので。


 この導入部に当たる僅か数行で読者にインパクトを与えないと読まれません。

 より興味を引き読みたいと思わせる、最初の部分はとても大事です。

 ちなみに、みなさんはこの冒頭で興味を抱かれるでしょうか?

 どちらも元よりボツなので興味無し、と思ったら遠慮なく仰ってください。


 追加です。

 優れた冒頭として誰もが知る有名な小説の一節。

 いちいち説明の必要も無い、川端康成の「雪国」から。

「国境の長いトンネルを抜けるとそこは雪国であつた」

 とても印象深く記憶に残る冒頭だと思います。

 物語への期待感は否が応にも高まるので。

 文豪と比較する気はありませんが、読者を惹きつけるには、この様に強く訴え掛けるものが必要だと考えます。

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