第153話

愛し愛される関係は解消した。




 英国にも行かない。




 あとは、サライエで別れるだけだ。




 北斗星号に乗ったミオの後を、少し離れてジョシュアがついてくる。




 テーベの街の宿屋から、二人の間に会話はなかった。




 砂漠キツネを見るために通った二つのオアシスを越えて、砂漠をひたすら南に突き進めば遠くに海が見えてくる。突き当りまで行き、海沿いの道を下ればサライエの湾にたどり着く。




 あと少しだとミオは自分に言い聞かせた。




 北斗星号の背中に乗っているだけで、意識が遠のきそうになる。そのたびに、気付け薬をこっそり鼻に塗った。




 やがて、見覚えのある港町が見えてきた。




 湾には、英国商船だけでなく他の欧羅巴の船が何隻か沖合に停泊していた。石を彫った装飾品を売る出店が海沿いの道に出され、朝早く入国してくる欧羅巴人を待ち構えていた。




 ミオは、波止場まで北斗星号を進め、そこで荷物を下ろした。よろめきながら荷物を下ろすミオを最初はじっと見ていたジョシュアだったが、見かねて手伝ってくれた。




 最後の荷物を下ろす。

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