第122話
寝台の中に隠そうとするマデリーンを、アシュラフが追い詰めていく。
「アシュラフ様。私だって本の内容は知りませんから。せっかく仲良くなれたのに、そんなご無体なことをしては……」
サミイがおたおたしながら追いかけて行って、アシュラフを阻もうとする。
「お願いいたします。サミイ様。助けてくださいませ」
とサミイの背中に、マデリーンが隠れる。
「あれでは、色気もなにもあったもんじゃない。子供同士が、オアシスで遊んでいるようなものだね」
と、あと少しの母艦を作りながら、ジョシュアが居間でため息をつく。
寝室では、子供のようないさかいが続く。
「ずるいぞ、サミイ。お前、もうマデリーンに乗り換えたのか」
「乗り換えたって、そんな」
「マデリーン。いいから見せろって」
「サミイ様。助けて」
「アシュラフ様。こんなに嫌がっておいでですから」
「うるさい」
ひとしきり寝台の上で争って、とうとうアシュラフは本をマデリーンの胸の中から取りあげた。そして数ページをめくって過激な挿絵を見つけたのか、「……うおっ」という声を上げる。
「ひ、ひどい。止めてって言ったのに」
サミイの後ろで、マデリーンが泣き始めた。
「泣かした」
居間で母艦を作り続けるジョシュアが、またため息をついた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます