メモ2

ある章の構成。


「あなた」は長い小説を書き始める。

 次頁以降、その小説が「あなたは小説が書けない」の作中作として展開する。



 ・作中作の構想

  

 主人公は男。

 若くはないが、老いてもいない。

 男はひとりで部屋にいる。そして何かが起こる。

 たとえば電話が鳴るとか。

 しかし物語は1.000字くらいで中断する。

 そして書き直される新たな冒頭。それもまた1,000字で中断する。

 扉をノックする音がしたり、だれかの悲鳴が聞こえたり、突然停電になったりするものの、男の物語は一向に展開されない。延々と冒頭が繰り返されるだけ。

 男は何かがおかしいと気づき始める。

「いったいこれは何なのだ」

 そこまで書いて「あなた」はしばらく悩み、以下の文章を付け加える。


「主人公は男。若くはないが、老いてもいない。男はひとりで部屋にいる。男は何かがおかしいと思っている。何もせずに考え込んでいると、ひとりの人物が現れて言う。『やはり小説は書けなかった。申し訳ない』そして部屋を出ていく。男は驚いて後を追うが、部屋の外には何も存在せず、ただ白い虚無が広がっている。……」

 

  

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