物語のメモ

「物語を探しているのですが」


 訪ねてきた青年は消え入りそうな声で言った。


「ご存知ありませんか」


 我々は知らないと答えた。青年は困った様子で椅子にかけた。ため息。項垂れて虚空を見つめる。


 我々は黙って頬杖をつく。

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