第109話 クランハウス⑧ ボス狩り終
スキル書。魔法書と見えた瞬間きっと皆が期待したのだろう。凄い勢いでクラチャが活性化したにも関わらず、現在お通夜状態だ。
あれだけ苦労したのにドロップした、スキル書、魔法書共に該当者がいなかった……。
”The ゴミ”と言うやつだ。
[[宮様] まー。そうそう出る訳無いとは思ってたけど……]
[[さゆたん] 本当に、酷いゲームでしゅw]
[[†元親†] 上げて落とす。流石闇ゲーww]
[[大次郎先生] 病ゲーって言われるぐらいだからw]
[[ティタ] 病すぎて病ゲーだしww]
PTバフォを倒せただけ良しとすべきところなのだが、うちのクラメンは私含め強欲だ。
このゲームに期待し過ぎるのはダメだと分かっていても、滅多に会えないボスのドロップには流石に期待してしまう。
結果、ゴミだった訳だが……。皆が
[[黒龍] まー。凹んでてもしょうがねーし
上ので貰おうぜw]
[[キヨシ] おー!w]
[[ゼン] そうですよっ! 頑張りましょうw]
[[白聖] 期待できるのか?]
[[宗乃助] 闇に落ち、病んでも辞めれぬ、クソゲーでござるw]
[[ヒガキ] 公式にすらのってませんでしたけど
どれぐらいの確率なんですかね?
ボスのドロップ率]
[[ティタ] 宗乃助 正解!]
どうやこうや言いながらも、萎えて引退することはまずしない。じゃなければ、今頃全員他のゲームで再開していただろうと思うからだ。
黒のいい笑顔を見ながら、期待し裏切られ項垂れたメンバーたちは渋い顔をする。それでもなんとか60Fを目指し歩きはじめた。
宗乃助の名言は、見事的を射ていると思う。脳内で座布団三枚と言いつつ、ヒガキさんの言うドロップ率について考える。
バフォに関して言えば、玉は確実に落ちるのではないかと思う。
以前ソロで倒した際も玉だけは落ちていた。
17回前後しか試していないが、その全てで落ちているため、間違いないだろう。
魔法書、スキル書の類だがこれに関しては20%~30%前後ではないだろうか?
今回を含め15~17回の討伐をしている訳だが、そのうち魔法書、スキル書がドロップしたのは3回。その数字を計算すれば大体、20~30%ぐらいの確率になると思われる。
更に、防具や武器になるとそのドロップは、もう1%あるかどうかの域に達する可能性が高い。
チカが行っていたローブにしても、メンバーの誰も見た事が無い。
以前グローブが落ちていたが、それ一度だけで他は一切落ちた事が無い。
その事を考えれば、引退するまでにワンセット揃えばいいな。と思えるぐらいのドロップ率になるかもしれない。
60Fに到着すると同時にバフを開始するため、要は運次第なのだと思考を切り捨てた。
[[大次郎先生] どう別れようか?]
[[宮様] 二人がいるから2PTがいいかもしれないわねw]
[[白聖] そうなると回れない通路がでるけど?]
[[キヨシ] 2PT+renでいいじゃんw]
[[黒龍] あー。回れないのはrenにw]
[[ヒガキ] え……! 大丈夫なんですか?]
[[さゆたん] キヨシに賛成でしゅw]
[[ティタ] それでいいんじゃない?w]
[[宗乃助] renの扱いが、段々化け物になってるでござるw]
[[白聖] いいんじゃね?w]
[[ゼン] 凄い信頼ですね!]
[[†元親†] ソロで登ってるしなぁ!]
こんな感じのクラチャの後、ゼンさん、ヒガキさんがいるため3PTに別れることになった。
黒、ヒガキさん、宗乃助、宮ネェ、キヨシ。
ティタ、ゼンさん、さゆたん、シロ、チカ。
ソロで私。これを三PTと呼んでいいのかは
各PTに個別バフを追加して、三方向に別れ通路を進む。いつもならば誰かが居るのに……これならソロで登った方がマシ? 楽しそうなクラチャを妬ましく思いながら、周囲の雑魚を引き攣れ薄暗い路地を進んだ。
[[ティタ] 居た。南南西の広場]
[[黒龍] いくわ]
[[ren] k]
北北西に居る私からは一番遠い所に湧いていたらしいボスの方へ引き返す。ゲイザーや骨をゾロゾロ引き連れ、一つ手前の通路まで辿り着いたところで、雑魚処理を開始する。
既に開始されているらしいボス狩りに今すぐ参加したいところではあるが、こう言った処理をしっかりしないと、紙装甲の職を殺しかねない。
と言う事で、まずは入口が狭い路地に入り込み、設置型魔法を設置する。
・バインド(+18)
・フレイム サークル(+20)
モブが固まり、私へ攻撃しようと壁を作ったところでバインドを詠唱し発動させる。
そのまま、ホーリー フレイム レンジ(+20)を詠唱し、骨に範囲攻撃を加えた所で、フレイム サークル(+20)を詠唱発動させた。
とここで、いつもならブレス オブ ドラゴン を詠唱し叩き込むのだが、私が詠唱するよりも早く、遠距離魔法職の攻撃魔法、サンダー ストームがモブにダメージを与えた。
[[さゆたん] 手伝うでしゅよw]
[[ren] さゆたん。マジ神!]
[[さゆたん] でしゅでしゅw]
マップで私がモブを処理しているのが見えていたらしく、優しいヤンパパのさゆたんが手伝ってくれる。
その行動にありがたいと感謝を籠めて、神のごく崇めた。
今度さゆたんに、娘さんに似たぬいぐるみを探してプレゼントしようと決め、雑魚の処理をサクサク進め終えた。
漸く対面できたボスは、既に死にかけで……ブレス オブ アローを、たった一発打ち込んだだけでエンドしてしまう。
雄たけびをあげ黄色い粒子になり消えていくボーンドラゴンを見送ったところで、システムログを確認する。
【 善悪の塔60階フロアボス ボーンドラゴン を討伐しました。 】
【 3564381ゼルを獲得しました。 】
【 ボーンドラゴンの核を獲得しました。 】
【 善悪の塔61階のスクロールを9枚獲得しました。 】
【 魔法書・メテオストライク を獲得しました。 】
メテオの魔法書が出ていた。
さゆたんもキヨシも、未だ覚えていないメテオの魔法書を巡り言い争いが起きるのではないかと考えて居たのだが、予想外にもここで、チカが激しく面倒な事を言いだした。
[[キヨシ] まー。さゆが覚えていいよ。俺はいつでもいい~w]
[[さゆたん] キヨシ! 何、企んでるでしゅか?w]
[[†元親†] ていうかさー。二人共覚えられる方法あるじゃんw]
[[ティタ] キヨシ、どうした? 梯子か?w]
[[宗乃助] まことに……大丈夫でござるか?]
[[宮様] チカ?]
[[キヨシ] 企んで無いし。梯子はまーそのうち作るww]
[[さゆたん] 譲ってくれるならありがたく貰うでしゅよw]
[[大次郎先生] チカどういうこと?]
[[ヒガキ] 譲り合いですね!]
[[キヨシ] 魔法書譲れば、さゆの靴の補てんになるだろ?w]
[[†元親†] んー? あぁ、えっとなー。
製本師に仕事して貰えばいいじゃんw]
[[黒龍] キヨシの狙いはそれかww]
[[さゆたん] 靴の事はもう気にしないでいいでしゅよw
renちゃんに、貰ってましゅしw]
[[ティタ] あー。なるほどね!
renのサブに作って貰えばいいってことかーw]
チカの言葉に全員が私の方を振り返る。集まる視線にそっと、帰還の護符を使おうかとも思ったが、それはそれで後々面倒な予感がした。
期待を込めた視線で見つめる、さゆたんとキヨシに仕方なく頷き代行で作る事を示せば、本当に嬉しそうに笑った。
二人が覚えられる事が確定し、各々が帰還の護符を使う中、先生がクラチャでログイン時間を指定する発言をする。
[[大次郎先生] そうだ。明日、皆夜の7:00にはログインしといて~]
[[ゼン] 何かあるんですか?]
[[宮様] 覚えてるかしら?
トーナメント戦の時に、クラン加入した人達と
明日、バトルして貰うからよw]
[[黒龍] あぁ、そんなことあったなーw]
[[宗乃助] 承知でござるよw]
[[ティタ] わかったーw]
[[さゆたん] 了解でしゅw]
[[†元親] まっかせろーw]
[[キヨシ] やったるぜ~w]
[[白聖] うぃ]
[[ヒガキ] 楽しみですねw]
[[ゼン] ですね~w]
[[ren] k]
全員が帰還した後、ディティクションを打ち上げながら、明日一日の予定を考えた。昼にログインしたとして、メテオの製本をするとする。一冊あたり、約四時間はかかるだろう。
それを二冊となると間違いなく、明日一日丸っと潰れる。
大きな溜息を一つ零し、帰還の護符を使った――。
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