第61話 ハロウィン⑤

 微妙な気分のままイベントアイテムのため狩りを続けた六日目……結局その日は、気分が晴れず早めに狩りを終わらせることにした。

 帰還の護符を使い、装備の耐久を戻すため鍛冶屋へ向う。その後、雑貨屋を経由したのち倉庫へ着いた。


 取引所を開き、欲しい刀を買い漁る……既に値が下がりすぎて、捨て値状態だ。

 そのおかげで200本ほど集められた。明日はこれを使って思う存分強化ができる!

 倉庫に並んだ刀を見て、明日の強化へ思いを馳せるとその日は、ログアウトした。


 イベントアイテムドロップ最終日も、同じ時間に目覚ましがなり、色々と済ませ病ゲーへログインする。

 クラチャを開き挨拶を流しかけたところで、手を止めて打ち込んだ文字を消した。

 倉庫にたちより、万単位の魔石、2000個の砥石、高級MPPOT1000個を持ち、イベント狩場へ移動した。


 今日確保できた狩場は、chは違うが3日目に確保した部屋と同じだった。

 さっそく、装備を替えバフを入れると狩りをはじめた。

 

[[ティタ] ren。chどこ?]

[[黒龍] バフ!]

[[キヨシ] くれー]


 クラメンのバフ要求に対し、スルーしようかと悩みつつも、結局はchを教えバフを回すことにする。

 三人で狩りをしているらしいティタたちが、バフを入れ入り口へと戻る。

 その後、隣の部屋を確保したらしく20分おきクラチャでバフと要求された……。


 モブの処理中、見たことの無い金色のカボチャが狩場中央に現れる。

 仮装の大樹と同じ系統のボスならば、厄介だなと思うもボスにしては表示が神々しすぎる。

 悩みに悩んだ末、攻撃してみることにした。


 金色のカボチャの名前は、ゴールド パンプキンだ。

 攻撃を加える前に、部屋の中に湧いているモブを全て引き倒し終わると、金カボチャに向ってサイレンス(+25)を入れる。エフェクトはあがるも変化は無い。


 不審に思いながら、ブレス オブ アローを叩き込めば――夢の国の音楽に良く似た曲がなり、システムログに【 おめでとうございます。 】とでただけで何かを獲得したわけでは無い。


 意味が判らず、首を傾げている私の視線の先で金色のカボチャが、クラッカーの中身のようなエフェクトになると金色の粒子を振りまき消えた。

 

「え……?」


 ただそれだけだった、何かをゲットしたのかと思い、アイテムボックスを見ても何も増えていない。

 バグか? それとも……経験値が増えたのか? カンストしている今、経験値が増えたのであればわからないのも頷ける。


 とりあえず、バグだろうと経験値だろうと意味が判らないものを考えるよりも狩りしよう。

 そう思考を切り替え、逆の大部屋へと走った。


 後日兄にメールして聞いたところ、あのゴールド パンプキンは仮装解除の効果があったらしい……。

 ついメールで、シネと送ってしまったのは仕方がないと言えるだろう。


 その後の狩りも順調に終わり、黄金の種の個数を確認して、きっちり使いきれる個数で狩りを止めた。

 鍛冶屋、雑貨屋とめぐりイベントNPCへと話しかける。


 ウィンドウが開き、選択肢の中にある【 種の交換 】を選べば、個数を入力する項目と全てと言う項目が出て来た。

 全てを選択して交換する。


 拾った物も含めれば、結構な数になった。

 ・劣化したお菓子の箱 720

 ・普通のお菓子の箱 451

 ・黄金のお菓子の箱 120


 倉庫に移動しつつ、箱を全て開いていくのだが、ひとつひとつをタップするしかないため面倒だ。

 全て開封機能が欲しい……な。

 倉庫の前で棒立ちして開け続けること1時間半……漸く全ての箱を開封し終えた。


 劣化したお菓子の箱―― 主に消耗品である、HPMPのPOT、帰還の護符、砥石、アロー、魔石×10個。


 普通のお菓子の箱―― 消耗品×20個、レアと思われるアバターの衣装。30種類の内のランダムで1種。


 黄金のお菓子の箱―― イベント限定の武器、防具類がランダムで1種。


 結果、欲しいかったオニキリ×7 オニマルクニツナ×3 と言う感じだった。

 他の武器や装備は、生贄になって貰うつもりだ。

 

 早速強化をはじめるため、メインキャラのアイテムボックスを整理がてら倉庫に突っ込みキャラチェンジする。

 強化用のキャラクターは、強化の石を持たせているサブキャラでやる。移動が面倒だからと言う理由だけなのだが……成功率も高い。


 まずは、倉庫に入ったオニキリ110本 オニマルクニツナ123本を取り出す。

 個数に違いがあるのが気になり、取引所を開きそれぞれ150本ずつにする。


 強化の石(刀)の個数を確認すれば、450個ほどしかないためそれも1050個ほど買い足した……。

 武器を強化するだけで、1Gほどが消し飛んでしまった。


 これで全消滅したら、発狂ものだと思いながら、まずはオニキリを強化していく。

 病ゲーの場合、二刀にして強化するよりも、それぞれを強化してから二刀にする方が効率がいい。

 

 例えば、オニキリが+30になり、オニマルクニツナが+25で二刀を製作すれば、+28の二刀が出来る。

 二刀の強化確立よりも、遥かに単体の刀の強化確立の方が高い。

 そのため、単体で強化する。


 強化用のアイコンをタップして、オニキリを入れ、強化の石(刀)を入れる。

 それ繰り返し、+1のオニキリが120本出来上がった。

 

 そんな感じで、+10までオニキリを強化するのだが、+7からは、オニキリの強化、生贄の強化と交互に強化していく。失敗するため生贄を入れていくのだが……生贄の方が育ったりすることも間々ある。


 +10のオニキリが、70本。約半分がこの時点で消失したことになる。

 +10以降は、生贄が消失するまで強化を続け、消失したらオニキリを強化することを繰り返す。

 

 +20になったオニキリの残りが、10本。

 +30は欲しい……と言う願望のまま、残り10本を強化する。


 +25になったのは、4本。

 これでもかなり確立を超えているので良い方だ。


 一本だけ+25を強化せず取り置きにして、残りを強化する。

 この時生贄に捧げるのは、験を担ぐげんをかつぐため+25以上の装備にしている。


 残り三本を強化して、+27が1本できあがる。

 +25の取りおきをやめ。+27を残し+25の方を強化するも、消滅してしまった。

 結果オニキリは+27で打ち止め。


 その後、オニマルクニツナの強化をするのだが、オニマルクニツナは+29まで行ってくれた。

 正直に言えば、強化して+30に持って行きたいところではあるのだが……イベント最終日であることも考え、ここで終わりにしておく。


 強化が終わった二本の刀を倉庫に預け、別のキャラへと移動する。

 倉庫から取り出した二本の刀を二刀にするため、高級魔石×1050、黒鋼×150、二刀製作図を持ち鍛冶屋へと移動した。


 二刀製作図は、ヘパイストス――ドワーフの生まれ故郷と設定されている――の神殿でNPCに、10Mのお布施をすることで手に入れることができる。

 神殿の癖にボッタクリもいいところだ……。

 

 鍛冶屋の中へと入り、NPCへと話しかけウィンドウが開くと武器製作と言う項目をタップする。

 武器の一覧の中から、二刀を選択し強化した武器二本とその他素材を全て入れ、製作のボタンを押せば別窓が開きゲージが動きはじめた。


 ゲージが終点で止まり、「!?」の表示が現れる。

 それをタップすればシステムログの方に【 +28オニキリ×オニマルクニツナ を獲得しました。 】と流れた。


 最後に行うのは、属性をMAXまであげ精錬をすることだ。

 火の属性をMAXまで着ける。

 火の属性石を150個、高級魔石300個、聖水30本を用意して鍛冶屋でまたもや、タップを繰り返す。

 10回目で漸く属性が300となった……ついてないな。


 精練で欲しいものと言えば、やはり対人で使えるスキルが欲しい……。

 だが、その日精練を100回繰り返しやってみるも、欲しいスキルは付かず役に立たないものばかりだった。

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