第37話 最強は撲滅を齎す⑦
通路の行き止まりでマップを見ていたゼンさんの報告がクラチャにあがり、マップを確認したメンバーたちは、次々にクラチャで思いの丈を叫んだ。
[[黒龍] うし、さっさとこいつら片付けて次に備えるぞ!]
[[白聖] 次は俺が一番活躍する(笑]
[[キヨシ] よっしゃぁ~。俺が決めてやるぜ~]
[[宮様] 早く片付けて、次に行くわよ]
[[ティタ] やるかぁ~]
[[宗乃助] 拙者の見せ場を作るでござるよ]
[[ゼン] 宮様を絶対死守です]
[[さゆたん] LA取ってみせるでしゅ]
[[ヒガキ] 頑張ります]
[[大次郎先生] お前たち、次の前にまずは目の前の先な?]
[[ティタ] 次 満月 熊? 大剣]
どうやら、テンションが逆に上がったらしい……。普通なら、辟易するところなのだが……?
そんなことを考えている間にも、ティタの指示が飛びターゲットマーカーで示される。残り三人、うち二人は、現在も石化中のため動いている大剣熊を先にしたようだ。
気の抜けたようなクラチャをしていても、黒、宗乃助、先生はその指示で顔を引き締め直し大剣熊を逃げ道を作らないよう取り囲んだ。
黒がヘイトを使い、大剣熊のタゲを取ると宗乃助、ティタ、先生、シロのスキルの色とエフェクトとクリティカル音が鳴り響きダメージを与える。
もう少しで倒れるだろうと予測をたてつつ、予備の設置型魔法バイント(+18)を設置すれば、キヨシの放ったアイス ランスが大剣熊に向け高速で移動すると弾けた。
抵抗空しく、大剣熊は後へ崩れ落ちると灰色へと変わった。
[[キヨシ] LAげっとー!]
[[大次郎先生] 宗とren交代で、宗偵察よろ]
[[宗乃助] 承知]
[[ティタ] 次、猫、二刀のやつ]
[[ren] k]
増援かもしれないやつらが来る方へ設置型魔法を置いていた私に宗乃助の代りにとお呼びがかかる。スロー レンジ(+5)、ショック ボルト(+19)を撒き終え、宗乃助の助が抜けた穴を埋める。
間髪入れずに、宮ネェがタゲに対しピュリファイ――二次回復職のスキル。出血、毒、石化を解除する魔法――を使い石化を解除する。
ピュリファイのエフェクトである白い魔法陣が浮かび上がり、二刀猫の石化が解除されたのを確認して、黒がヘイトを奪いタゲを持つ。
それを見つつ、アーマー ブレイク(+25)をもふもふしてそうな猫へと入れる。
3回目で漸く入ったアーマー ブレイクの鎧が砕け散るエフェクトを見て、杖から二刀へと持ち替え右手の刀身で腰を、左手の刀身で肩から斜めに腰へと切り付ける。
ティタの剣を赤いエフェクトが、包むように現れると火を纏った剣となり猫に大きなダメージを与える。
その横から、シロのアイス ショットが、猫を貫くその部分が凍りつき、先生の大槌が雷を纏い相手を痺れさせた。
三人が使った、武器に纏わせる属性は魔法ではなくスキルとして習得することが可能なのだが、使用する度MPが、150減と効率は非常に悪い……。
そんなにMPつかって大丈夫なんだろうか? とは思う間に二刀猫は、前のめりになり倒れると灰色へと変化した。
偵察に行った宗乃助のHPが少し減っているのを気にしつつ、最後に残った大盾のヒューマンへとタゲを移す。
[[ティタ] ラスト? 大盾 マッスル司陽Z]
[[ヒガキ] 名前が酷いですね……]
[[宮様] 本当にこれがメインなの? って言いたくなるわねw]
[[黒龍] 俺には考えられねー名前だわ。頭大丈夫かこいつ]
[[さゆたん] ある意味尊敬でしゅw]
[[宗乃助] もう少しで見えるでござる]
[[大次郎先生] わかった、宗。こら、気を抜くな]
[[白聖] だって、まっするしようぜってwww 筋肉バカすぎだw]
[[ティタ] 言わされる俺……可愛そう]
[[キヨシ] 俺も課金して名前変更しようかな~]
[[宮様] 今更でしょ? キヨシ以外の名前なんて似合わないわよ?]
ティタの読み上げた名前に盛り上がるクラチャ。宗乃助からの報告に答えつつも強烈な名前の方が印象的だった。
しかし一方で、ターゲットマーカーで示されたマッスル司陽Zを、きちんと囲みピュリファイの魔法陣が浮かび、石化が解除され、ヘイトのエフェクトが上がる。
折角設置したからと、杖を取り出しバインド(+18)を発動させれば、黒へ剣を振り上げた恰好のままマッスル司陽Zは変色し固まった。
盾職は硬いと言うイメージがある。MPなどを回復させる時間を作るためアーマー ブレイク(+25)を入れようとするも、三度弾かれる。
四度目で漸くマッスルの頭上に、鎧が砕け散るエフェクトが上がり杖から二刀へと武器を変更。
固まり動けないマッスルに対し、容赦などするはずも無く右手の刀身で首を狙いつつ、左手の刀身で腰から太ももにかけ切りつける。そこから、更に左手の刀身を返し肩まで切りつければダメージを示す赤いエフェクトが
マッスル司陽ZのLAを取ったのは、パワー クラッシュ――二次職で習得可。攻撃力1.3倍。大槌を使う戦士固有のスキル。渾身の力を込め叩き潰す。但し使用後10秒間、行動不能となる――を発動させ、大槌を頭上から振り下ろした先生だった。
潰れるような体勢になったマッスル司陽Zは、そのまま灰色に変化した。
消えない死体を見つつ、ディティクションを打ち上げマップを確認する。
[[大次郎先生] とりあえず、死体警戒しつつMP補充して]
[[黒龍] 逆に移動する]
[[宮様] ヒガキとゼンは、黒たちが居たところで待機してね]
[[ren] 宗乃助戻ったらバフ]
[[ティタ] 良く誰も死ななかったなw]
[[白聖] 奇跡!]
[[キヨシ] 俺TUEEEEE]
[[ヒガキ] 本当に凄く皆さんカッコイイです。自分も早く一緒に戦いたいです]
[[大次郎先生] 最初かなり危なかったけどな……]
[[さゆたん] キヨシ、勘違いでしゅ。どちらかと言えば、うちのラスボス最強?]
[[黒龍] HP1050まで減った時は死んだと思ったわ]
[[宮様] 本当よね。MP500しかなかったし……生きてて良かったわね]
[[大次郎先生] あのタイミングで、デバフとプロテク最強だね]
[[ティタ] renのバフと支援なけりゃ全滅してただろうな。笑えねー]
[[ゼン] そんなにrenさんのバフと通常のバフって違うんですか?]
[[白聖] ヒガキなら直一緒に戦えるようになる。焦らずまずは経験稼げ~]
[[さゆたん] renちゃんのバフは、ステータスを底上げするでしゅよ。
他のバフは元のステータスじゃなくて、攻撃力とか防御とかが
あがるだけでしゅ。全く違うでしゅよ]
[[黒龍] ただし、ドラマス育てるの基地外しかいないけどなwww]
宗乃助の報告を待つ間、束の間の休息を取るメンバーたちの雑談を聞きいていればまたもや、いいたい放題……。殺してしまおうかと思ったものの、カリエンテを使った後の事を思い出し、仕方なく闘技場で殺そうと思いとどまった。
先にやるべきことをやってしまおうと、設置魔法を先生と宗乃助が入るであろう場所へ置いた。
増援が来る前に他にするべきことを考え、アイテムボックス内の高級魔石やPOTなどの残りを確認しつつ装備の耐久を見てその数値に慌てて砥石を使う。
みんなは大丈夫なのだろうか? 今回はPKと言うことで多めに持ってきているためメンバーに必要な個数を聞くことにした。
[[ren] 砥石。POT 必要な個数plz]
[[キヨシ] MPPOT 50]
[[ティタ] 砥石 30 HPPOT 20]
[[大次郎先生] 砥石 10]
[[黒龍] 砥石 50 HPPOT 60]
[[宮様] MPPOT 100]
[[さゆたん] 平気でしゅ]
[[白聖] オリハルコンアロー 3k]
[[ren] そこまでない]
[[宗乃助] 偵察完了でござる。残念ながら敵ではなく野良PTでござった]
[[大次郎先生] じゃぁ、宗戻ったらポータル移動して帰還しよう]
宗乃助からの報告で、敵対の増援ではないことがわかり彼が戻ると同時に、バフを更新して移動を開始する。
折角個数を聞いたからと、宗乃助が戻るまでの間にトレードで渡した。
申告の半分ずつを……シロのアローはスルー。そんなもの持つぐらいなら魔石を持ちたいからだ。
モブを処理しつつ、ディティクションをあげポータルへ着くと黒、ティタ私以外に帰還の護符を使わせる。残り三人になったところで、視線を交し頷き合うと護符を使い帰還した。
少しの浮遊感と視界の変化を感じて、【 デンス 】へ戻ったことを知る。
先に戻ったメンバーたちが、宿屋へ向ったことをクラチャで伝えてくれる。
黒、ティタと一緒に赤い名前を晒し宿屋へと向った――。
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