第三章 クラン戦
第31話 最強は撲滅を齎す①
キヨシがやり直しで黒歴史を全チャで流すも結局不発で終わった。
残り時間が2時間と少しになったところで、一度全員落ちてリアルでの食事などを済ませようということになった。
本当は、2時間前から探す予定だったのだが、謝罪文が掲載されれば無駄になるでしゅと言う、さゆたんの言葉で30分前集合になった。
私もリアルに戻りシャワーとご飯、トイレを済ませる。
部屋に戻り、PCで公式の掲示板をスクロールで流しながら、グランドロールの謝罪が無いか確認する。
無いことを確認し終えると、ゲームへと戻る。
[[ren] 戻り]
[[ゼン] おかえりなさいです]
[[ヒガキ] おかえりなさい]
どうやら、新人さんたち二人しかいないようだ……気まずい……。
そう思っていると、タイマンの話を二人が始める。
[[ゼン] やっぱり皆強いですね]
[[ヒガキ] 自分も同意です]
[[ヒガキ] 盾を足で蹴り上げられるとは思いませんでした]
[[ゼン] あれは凄かったですね。僕そんなことできないですよ~]
[[ヒガキ] ビックリしてる間に死んでしまいましたけど……笑]
[[ゼン] 僕なんて反撃したら、何発も殴られてendですよ]
どう反応すればいい? 分らない……。
コミュ症な私には会話に参加することができないと判断して、そっと帰還の護符を使い宿屋を後にする。
ポータルへ戻ったついでに、鍛冶屋と倉庫へと向う。
まずは鍛冶屋だ、さっそく武器防具の耐久を元に戻す。これをやって置かないと後々自分が後悔する。
次に倉庫、高級魔石の在庫を確認する。私が使うドラゴンと名の付くバフには全てこの魔石が1個必要となる。
しかも、この高級魔石NPCが販売する雑貨屋でしか手に入らない……1個10Kもするがこれに関してケチったりしないのが私流なので、500個ほど買い足しておく必要があると判断して、他に必要な物が無いかを確認する。
PKにおいて、物資切れで負けるなんてことがあっては恥だと思う。
バフ、ヒーラーは特に、持ち物の管理がシビアでなくてはならない。そのため常に倉庫と自分のアイテムボックスを見比べて持ち物を選ぶ必要があると考えている。
特に今回持ち物を変える必要はないだろうと判断して、倉庫から雑貨屋へと向う。その道すがら取引所を開く。目的は魔法書、スキル書だ。
ざっと目を通して1冊の魔法書が目に止まる。ソウル オブ カリエンテ……使用可能な職を見れば、ドラゴン マスターと記載されている。
即座に購入ボタンを押した。その下にもソウル オブ ウラガーンが出ている。迷わず購入ボタンを押す。他には無いかと探してみるも、無かった。
二つ見つけただけでも儲けものだと、鼻歌を歌いつつ、ドラゴン マスターの教官の元へと向う。
魔法書などを覚える際、必ずこの教官と言うNPCを解して覚えなければならない。
ただ、不人気なドラゴン マスターの教官は、城下街の隅にしか存在しないため、移動費用の安い【 ヘラ 】へと移動する。
浮遊感ののち、見える景色が一変する。ヘラの街についたのを視覚で確認し終え、教官の下へ向う。
この街にいる教官は、裏路地のボロボロの家の中にいる。
マントを被り怪しさを醸し出している。
もう何度目かわからないほど来た場所だ。今更そんな姿みたところで、怖いなんて思わない。
マントに近寄り話しかければ、意外とイケメンボイスで話してくれる。
ウィンドウの選択肢の中から、魔法を覚えるをタップする。
するとウィンドウに私がアイテムボックスに入れている、魔法書の名前が浮かびそれをタップすれば、システムログが祝福をしてくれる。
【 おめでとうございます 魔法 ソウル オブ カリエンテ を習得しました。 】
【 おめでとうございます 魔法 ソウル オブ ウラガーン を習得しました。 】
早速試してみたいとソウル オブ カリエンテを使ってみる。
どうやらバフだったらしく、バフ欄に赤い竜のマークが付き、5分の表示が現れる。
詳細を知るためそれをタップすれば、煉獄の竜カリエンテの魂の一部を5分間だけPTメンバー、クラン員、同盟員のうち1名に付与する。物理攻撃力1.5倍、移動速度2倍、防御力1.5倍。但し他竜のソウルとの併用不可。使用時、高級魔石20個が必要。再使用時間10秒。
どうやらアタッカー向けの支援バフのようだ。これ使えば無敵じゃんとさえ思える。
次に、ウラガーンを使ってみる。
カリエンテの時と同じく詳細を見れば、暴風の竜ウラガーンの魂の一部を5分間だけPTメンバー、クラン員、同盟員のうち1名に付与する。魔法攻撃力1.5倍、詠唱速度2倍、防御力1.5倍。但し他竜のソウルとの併用不可。使用時、高級魔石20個が必要。再使用時間10秒。
こっちは、魔法攻撃職向けだ。魔石のお金は痛いものの、良いものが手に入ってホクホクしているとクラチャが騒がしくなってきた。時間を見ればPK開始まで50分だった。
皆が戻りはじめている、雑貨屋に向い高級魔石を700個買い足して、宿屋へ戻るため【 ネキュレネ 】へと移動することにした。
ポータルに乗り浮遊感を味わっていると、クラチャでティタがゼンさんの元彼女? について語りはじめた。
[[ティタ] そう言えばさ、さっきキヨシにゼンの元カノ見せて貰ったけど
あれなら、騙されるわ。マジで可愛かった!]
[[白聖] 巨乳じゃないけど、顔は好み]
[[ゼン] キヨシ君見せたの?]
[[キヨシ] うん。見たいってメッセージきたから、見せちゃった]
[[ゼン] 確認とってよ……]
[[ティタ] 大丈夫だ。誰にも男の娘だってことは言わない]
[[白聖] 俺も言わない]
[[キヨシ] ごめんな?]
[[大次郎先生] 戻り]
[[ゼン] まぁ、いいけど。気をつけてね]
[[黒龍] 戻り~]
[[ren] おか]
宿屋へ向いつつ、クラチャで先生と黒におかえりと伝える。
新しいバフの使い分けについて考える。水と地はどんなものだろうか? 実装されていれば手に入れたいところだ。
宿屋に戻り、残り時間45分となったところで宮ネェがログインして来た。
[[宮様] ただいま]
[[ゼン] おかえりなさい]
[[黒龍] おか]
[[ヒガキ] おかえりなさい]
[[ティタ] おかー]
[[宮様] 一応調べてきたわよ。グランドロールの構成員のブログとかツブヤイターとか]
[[大次郎先生] おか]
[[宮様] 半分ぐらいが脱退してるわね]
[[キヨシ] おけーり]
[[大次郎先生] それで?]
[[宮様] 目ぼしい狩場は、善悪、猛獣、沼ってところかしらね]
善悪は、揉めた元になった場所だ。猛獣は、猛獣の巣窟と呼ばれる場所で、20層からなる獣しかでないダンジョンだ。旨味があるとすれば、ボスとそこでしか落ない腰帯。後は消耗品の強化石、属性石だろう。
沼は、リザードマンの上位種であるハイ・リザードマンの巣のことだと考えられる。あそこも猛獣の巣窟と同じく消耗品が美味いとされている。
[[大次郎先生] じゃぁ、足の速い黒、シロ、ティタ、宗乃助に走って貰おうか?]
[[ren] 黒、シロ、宗乃助、ティタ。行く前にポータルでバフ]
[[黒龍] 了解]
[[白聖] k]
[[ティタ] わかった]
[[宮様] ren トランスパレンシーも入れてあげて]
[[ren] k]
[[宗乃助] 帰ったでござるよ]
[[ゼン] おかえりなさい]
[[大次郎先生] 宗。悪いけど、シロと一緒に沼に行って]
[[黒龍] 俺、善悪いくわ~。階層判る?]
[[ティタ] 猛獣行く]
[[宗乃助] 沼でござるか?]
[[宮様] グランドロール探索]
[[宗乃助] 承知したでござるよ]
早々と探査のメンバーが決まり、残り30分となったところで最終通告を入れる。
{[ren] クランドロールに告ぐ。@30分で約束の時間。覚悟して?}
{[ミルハ] 血盟員さん募集してます~}
{[キヨシ] やったるぜー!}
勢いだけはあるキヨシに呆れた視線を向けつつ、早く始まらないかと胸を高鳴らせた。
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