第20話 最強はクランのLv上げを目論む③
次のLv上げのためのクエストを受けるNPCが、変態イケメンから変更になったようだ。
Q&Aの?マークを開き、( クラン Lv3 開始 )と打ち込み検索してみれば、まったく違うことしか出てこなかった。
これは、一度落ちてPCで検索してくるしかないかなと結論を出し先に、サブマスターの任命をするため、拒否は認めないつもりで宮ネェと先生へ確認をとることにした。
[[ren] 宮ネェ、先生。いる?]
[[白聖] もう、あいつまじで何がいいたいのかまったくわかんねー]
[[キヨシ] あぁ。ゼルが欲しい]
[[宮様] ノ]
[[大次郎先生] ノ]
[[さゆたん] キヨシは、貯金という言葉を覚えるべきでしゅ]
[[ティタ] シロに同意権だわ。何言っても通じない]
[[黒龍] パラレルワールドの住人なwwwww]
[[ren] サブマス投げるからokして]
[[白聖] wwwwwww]
二人の同意を聞くよりも早く、本当はクランマークが表示されるのであろう、自分の名前の横にある黒丸をタップする。
クラン名の表示の下に、クランマスターと自分の名前が表示され、その下にサブクランマスターと言う空白の項目がある。そこの右端に小さく追加すると書かれているので、それを押してみればクランに所属するメンバーの名前が表示された。
確か最大二人までだったはずなので、宮様と大次郎先生を選択して追加を押すと、クラチャに
【 Bloodthirsty Fairyクランのサブクランマスターに 宮様 が就任しました。 】
【 Bloodthirsty Fairyクランのサブクランマスターに 大次郎先生 が就任しました。 】
と流れ他メンバーが祝福? していた。
【 ヘラ 】の宿屋を、一人分の料金で借りて、一度ログアウトすることをクラチャで流しベットへともぐりこんだ。
ログアウトボタンを押し、リアルへと戻った。
ギアを外しベットから、デスクに置いたPCへと移動する。
起動したままのPCは、待機状態ブラックアウトしていた。電源ボタンを一度押して起動させれば直に、Googke先生を開き検索をかける。
調べた結果、【 デメテル 】の大神殿にいるNPCから開始されるようだ。ついでだからと、それ以降のものも調べ、水分補給と軽くチョコレートを摘まみトイレを済ませると病ゲーへと戻った。
[[ren] ただいま]
[[白聖] おけーり]
[[キヨシ] おかー。なぁrenちと相談があるから密談飛ばして良い?]
[[大次郎先生] おか]
[[黒龍] まったくだよな~]
[[宮様] おか。キヨシ何企んでるの?]
[[ティタ] おか]
[[さゆたん] おかえりでしゅ]
[[宗乃助] おかえりでござるよ]
[[黒龍] おか]
相変らず賑やかな出迎えだった。キヨシの相談……ねぇ。
”ren” 何?
”キヨシ” うん。俺のリアルフレンドが、クラン入ってなくってさ、誘いたい。
”ren” 先生と宮ネェに言った?
”キヨシ” いや、まだ。先にrenに聞いてからかなと思って。
”ren” なる。二人が良いなら良いよ。
”キヨシ” サンキュ。聞いてみる。
”ren” うい。
キヨシのリアフレなら問題はないだろうけど、面倒見るつもりのない私は、サブマス二人に丸投げしておくことにした。
その後、クラチャでキヨシが相談していたようだが、一度面接をした上で判断すると先生が言っていた。これで、キヨシの件については二人が請け負ってくれるだろう。
そんなこんなありつつも、【 デメテル 】の大聖堂へと辿りついた。
デメテルの大聖堂の造りは、【 ヘラ 】とは違い石造りではなく、木そのものが大聖堂を形作っている。緑の葉に覆われたように見える屋根。幹や枝が絡み重なるように出来た壁。床の部分にのみ、石版が敷かれている。
中に入れば、葉の間から差し込む明かりがその神聖さをかもし出すと言った造りとなっている。
今回のクエストNPCは女性神官だ。彼女に近付き話しかければウィンドウが開き、選択肢が現れる。寄付、ボランディア、私を構って、約束の証Ⅲを手に入れるには? 四つが表示されいる。
ここは迷わず、約束の証Ⅲをタップする。
【 ようこそ、デメテル大神殿へ 約束の証Ⅲが欲しいのでね?
お渡ししたいと思うのですが、その証を共に管理する神官が、現在菜園で起きた事件を解決するためでかけているのです。もし急ぎ欲しいのであれば、菜園から盗みを働く不届き者を連れて捕らえてくださいませんか? Yes ・ No
※ 街中に潜むゴブリンを三匹討伐して下さい。
討伐証明の証として 黄色いハンカチ、赤い羽根、青い帽子 を持ってきましょう 】
証が欲しいのでYesをタップする。
今回のクエストは、デメテルの街の中にいる三匹のゴブリンを討伐する依頼。
証明するアイテムが同じなら一箇所で狩れるのかと少し期待したが、そんな上手い話はないようだ。
意外と簡単に思えるクエストのようだが、マップにはゴブリンの居場所が表示されないため、初見でこのクエストをこなすのは骨が折れることだろう。
だが私は、先程リアルで調べた甲斐あってゴブリンの居場所は判明している。今回のクエストも、直に終わりそうだ。
鼻歌交じりに、街中を移動する。
全チャを確認すれば、アクセルと黒たちの話し合いだが見事に決裂していた。
彼らが、謝罪文を書くことは無いだろう。明日からのPKを楽しむため、今日中にクランLv5にはしておきたいところだ。
そう考えながら、進めば一匹目のゴブリンを路地裏の物陰で発見する。
軽くバフをかけ、刀に持ち替え切りかかる。
スカっと、手ごたえ無く刀が空振った感覚にゴブリンを見れば、マーカーがNPCの色になっていた。
「話しかける必要があるのか……討伐するのに? 情が湧いたらどうするんだろう?」
勇んで切りかかり、スカった恥ずかしさを隠すように、一人でブツブツ呟きゴブリンへと話しかければ、何語かわからない言葉を叫ぶと同時にマーカーがモブの赤へと変わる。
刀を横一線に振り抜ぬく。
「グギャ!」
今度こそ、間違いなく手ごたえはあった……。ゴブリンが黄色い粒子となり消えていく。
必要なアイテムが出たかをシステムログで確認する。
【 街に盗みに入ったゴブリンから 赤い羽根 を獲得しました。 】
アイテムを無事に獲得できたようだ。
次の場所へ向けて移動しつつ、クラチャと全チャを交互に見ればクラメンの発言が無くなったのをいいことに、アクセルが独り言のように煽り続けている。多分だが、誰かが密談で話題を振っているのだろう。
クラチャでは、既に終わったこととして誰も彼について話していなかった。仕方なく、アクセルに謝罪の期限が迫っていることを教えてあげる。
こうして、時間を開けてジワジワ追い詰めるように煽ることが、非常に楽しい。
{[アクセル] どうせ雑魚の集まりだろ?
つかこっちが正論言ってるからって黙んなよ}
{[アクセル] はずかちぃでちゅね~! ガキはママのミルクでも吸ってろよ!}
{[ren] 恥ずかしい男 PK開始まで@18:42}
{[アクセル] だいたい、理由も聞かないでPkするやつがわりーんだよ!}
{[アクセル] マジでな! 基地外は基地外らしく人前に姿見せるなつー話だよな}
アクセルにスルーされていようともクラチャでは盛り上がる。
血の気の多いクラメンばかりだから、そうなるのも仕方が無いと言える。
[[大次郎先生] はじめるなら、初心者か野良に入ってる奴から狙う方が良いよな]
[[さゆたん] 善悪の塔のボスタイムと被るでしゅ。そこ狙った方が早くないでしゅ
か?]
[[ティタ] まだ18時間もある……]
[[黒龍] 2時間前ぐらいに、野良探しに行ってみるか]
[[キヨシ] 善悪の塔、雑魚で俺死んじゃう!]
[[宮様] 黒、探しに行くなら場所分担しましょう]
[[宗乃助] グランドロールの初心者なら。今、目の前を歩いてるでござるよ]
[[白] 善悪の塔で死ぬって……。キヨシ、マジ雑魚すぎだろ]
時間になったら、即座にPKできるようにと黒と宮ネェが明日、探しに行くようだ。
皆が楽しそうに相談するクラチャを目にして、焦りが募る。
今日中にクエ終らせないと、明日のPK参加が遅れてしまうかもしれない。こんなクエストごとき、最速で終らせてやる!
街中をヘイストⅡをかけ走り、ゴブリンを魔法でさくっと殺し、アイテムを手に入れる。
【 街に潜んだゴブリンから 黄色いハンカチ を獲得しました。 】
【 街に隠れ住むゴブリンから 青い帽子 を獲得しました。 】
三匹目のゴブリンを狩り終り、その足で大聖堂へと向う。NPCに話しかけクエストを完了させれば、【 約束の証Ⅲ 】が貰えた。
走ってポータルへ移動して、【 ヘラ 】へと戻りクランLvを上げた。
【 おめでとうございます。 Bloodthirsty Fairy クランのLvが3上がりました。 】
【 新しいクランスキルを覚えることができるようになりました。 】
クランスキルを習得するには、クラン専用スキル書の他に、クランに対する貢献ポイントと言うものが必要なためスキルは今のところ放置するしかない。
貢献ポイントは、ボスの討伐やクエスト完了の際に増えるのだが、そのポイントは微々たるものでしかないらしい。
次回の大型アップデートで、混合と職別の覇者トーナメント戦が実装されるらしいとの噂がある。それに参加して、優勝すれば貢献ポイントが大きく振り分けられるのではないか? と言う話だ。
実際に、実装されてみないとなんとも言えないけど……。
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