=EPISODE.08=『L@ν∈Lγ iD0L SCRAMBLE』

<第8部 プロローグ> ~人の世~


 人の命は有限だ。

 無限など、ありえない。


 この世に生まれ落ちた以上、その誓約は絶対。

 神であろうとも、だ。


 神でさえも、その誓約に従う以上。

 ……人は人であれ。生を越えることは許されざること。


「かわいそう、とは思わないわ」


 人とは平等。同じ生を抱え続ける。

 

 幸せを得たとしても、短命で終わることもある。

 不幸な日々を過ごしても、後にまさかの大逆転人生なんて事も。


 当然、その逆も。

 幸せのまま長寿もあれば、不幸のまま短命だってあり得る話。


「あんた達は、運命なんて言葉でその生を片付けようとしない。強者であることを選び、今も足掻き続けている」


 生物には必ず”試練”が存在する。

 それを乗り越えられたか、乗り越えられなかったか。

 その違いだ。人生を大きく左右する要因は。


「……いや、あの子は運命なんて言葉を知らないだけ、かは」


 戦ったか。戦っていないか。

 戦い続けたか、逃げたか。


 勝者か、敗者か。

 強者か、弱者か。


 生物の価値観の違いなんて……あまりにも簡単なモノなのだ。


「どちらを選ぶのかしら。未来か、それとも……」

 ドレス姿の女性。フゥアリーンは外出用のコートを脱ぎ捨てる。

「”終わりのない慟哭”か」

 あちこちに並ぶカメラ。コンピューター。

 そして、風船や雲をイメージした綿で一杯のピンク色のスタジオ。


「アンタが選んだ未来よ……どうにかしてみなさい」

 カメラが起動する。マイクをセットする。

 仕事場のド真ん中に立った彼女は……今日も皆に、一言申し上げる。





『おっはよーっ!★ 皆の妹系アイドルっ、リンちゃんだよ~~!(*^▽^*)』

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