親友編

第四章 親友になりました。

39話 天然ギャルにはじめてを奪われた。

 拝啓。実家の両親へ。

 お元気ですか? RINEでミツミに聞いた話によると、黒田旅館も変わらず盛況なようでなによりです。

 いずれは、このワガママなひとり暮らしも終わりを迎えますので、それまではふたりで経営のほう、切り盛りしていただけると幸いです。

 さておき。風邪などは引いておられませんでしょうか? 七月に入り暑さも苛烈かれつを極めます。息子の僕が偉そうに言えた身分ではございませんが、体調管理には充分お気をつけください。

 特に。

 特に、急な『事故』には最大限の注意を払ってください。

 こちらは、自分がどれだけ気をつけようとも襲い掛かってくる、理不尽な災難です。

 充分に、充分に注意して、警戒して、日々を過ごされることを願います。

 でなければ、いまの僕のようになってしまいますから――

 

 



「聞かせて、ミツカゲ。このひとは誰?」


「それはこっちの台詞っス。ミッチー、このひと誰なんスか?」

 

 七月上旬の熱波に煽られたセミが大合唱を奏でる、午後五時すぎ。

 折筆おりふで市郊外にあるマンション『パレット』、その五階にある503号室にて。

 僕こと黒田くろだミツカゲは、神妙な面持ちでリビングのフローリング上に正座をしていた。

 

 僕の目の前には、仁王立ちするふたりの女性の姿。

 ひとり目は、眠たげな半目を不機嫌そうに歪めている、黒紫髪の幼馴染――白里しらざとルリカ。

 ふたり目は、僕よりも隣のルリカのことを強く睨みつけている赤髪ギャル――赤霧あかぎりナコだ。

 廊下での再会後。外でする話ではないと、ひとまず僕の家にあがることになったのだ。

 なので、ルリカは芋くさいジャージ姿、僕と赤霧さんは学校の制服姿のままである。

 

 しかし……ここまでわかりやすい修羅場もそうそうないだろう。

 いやまあ、別にどちらともそういう関係になったわけではないのだから、正確には修羅場とは言えないのかもしれないけれど。

 ともあれ。

 ふたりの言う通り、まずは互いが何者かを認識させないと。


「じ、じゃあ、僕のほうから紹介させてもらいますね? こっちのジャージを着てるが、僕の地元の幼馴染の白里ルリカ。次に、こちらの赤髪のかたが、お隣の504号室に住んでいる赤霧ナコさん。赤霧さんは隣人でもあり、僕が通っている彩色さいしょく高校の友達でもあるんです」


「へえ……私だけ『子』じゃなくて、他人みたいに『方』って呼ぶんスね」

 

 目を細めて、拗ねるように唇を尖らせる赤霧さん。

 ……ふむ、なるほど。

 細かな言い回しまで気を配らなくてはならない、と。

 前言撤回。

 これは確実に修羅場だあッ!!


「……『隣人』に、『友達』」

 

 と。クーラーはついているのに冷や汗をダラダラと流す僕を見つめながら、ルリカが両腕を束ねて。


「つまり、このひと――赤霧は、ただの隣人兼友達であって、ミツカゲの『恋人』ではないってこと? 今日だけで三回もキスした、とか言ってたけど」


「まあ……そうですね。一応、恋人ではないです」


「でも、ただの友達じゃないっスよ! ルリっち!」

 

 僕の言を引き継ぐようにして、赤霧さんがどこか得意げに語り出す。

 もしかしなくても、『ルリっち』というのはルリカのあだ名だろう。

 この短時間であだ名をつけてくるとは……それも、おそらくは敵対しているであろう相手に。

 陽キャ恐るべし。

 まあ。ルリカもすでに『赤霧』と呼び捨てにしていることだし、呼び名についてはもう突っ込まないことにしよう。


「私とミッチーはふたりだけの『親友条約』を結んだ特別な仲なんスよ! 恋人じゃ救えない。だから、友達としてずっと傍にいるって、そう約束してくれたんス! これはもう、恋人以上の友達と言っても過言じゃないんスよ!」


「親友条約、恋人以上の友達……?」


「へっ、私たちの関係を知らないひとには到底理解できない話っスよ。まして、幼馴染なんて羨ましいポジションに甘んじてるルリっちには地球が五角形に変形したところで――」


「いいね、狂ってる」


「……ふえ?」

 

 自慢げな表情を一転。呆気に取られたような顔をする赤霧さんに、ルリカはシニカルな笑みを湛えて言う。


「ボクは『当然』が嫌い。世間一般でいう、男女同士は友達にはなれないっていう『当然』も、どこか懐疑的に捉えてた。だから、その『当然』のゆがめ方はすごく好き。すごく狂ってる」


「…………」


「親友条約、すごくいいよ。赤霧。最高に狂ってるし、最高にボク好み」


「……な、なんか、あまり褒められてる気がしないんスけど」

 

 困惑気味に言って、ススス、とルリカとの距離をすこし空ける赤霧さん。

 完全にドン引いている。

 まあ、ルリカのこの一面を見れば、誰でもそうなるか。

 僕としては、なんだか懐かしい気持ちになってしまうけれど。

 


 ――白里ルリカは変人へんじんである。

 昔から勉強は得意じゃないのに、物事の本質は妙に的確に捉えている子どもだった。小学校でもよく教師に真理を突く質問をし、困らせていた。

 そんな彼女が、小学六年生の頃に趣味で書いていた小説をミステリー小説の新人賞に応募し、見事受賞してみせたときも、だからあまり驚かなかった。ああ、ルリカならやるだろうな、と妙に納得してしまったぐらいだ。

 僕の地元は田舎なので、ルリカの『東頭改革とうとうかいかく』というペンネームはすぐさま周知された。

 小学校卒業前。ペンネームの由来は? と訊ねると、なんとなく、と答えた。ルリカらしい、と僕は笑ったものである。


〝ミツカゲ、チューしよう?〟

 

 ただ。変人と呼ばれる側面はあくまで外から見た白里ルリカの印象であって、幼馴染の僕からすると、ルリカはただの『さみしがり屋』だった。

 小学校低学年の頃。僕に何度もキスしてきたのも、そんな一面が起因している。後々聞いた話だと、唇だけの一瞬の触れ合いでもいい、誰かと繋がっていると実感することで、さみしさをなくしたかったのだそうだ。

 別に、両親が他界しているだとか、そんな悲劇の中で育ったわけじゃない。

 他人より見えすぎて、他人とはちがいすぎるから、孤独に敏感になってしまっただけなのだ。

 僕はおままごとの延長線上だと思っていたし、小学三年生の頃には恥ずかしくなってやめてしまったけれど、ルリカとしてはずっと続けたい習慣のひとつだったのかもしれない。小学校高学年はもちろん、作家業のために中学三年間、家に引きこもり続けている間も、ずっと。


(……まあ。だからって、三年ぶりの再会直後にいきなりキスするのはどうかと思うけれど)

 

 外見ばかりが成長して、中身は当時のさみしがり屋のままなのかもしれないな。

 


 と、まあ。

 そんな風にして、僕がひとり郷愁の念に駆られていると、ルリカは興味津々といった様子で目を輝かせながら赤霧さんに詰め寄った。


「ちなみに。その親友条約っていうのはキスが上限? それ以上のことは?」


「そ、それ以上って……?」


「前戯とかセックスはありなの?」


「前……セッ……な、はぁッ!?」

 

 驚きに目を見開く赤霧さん。僕も開いた口が塞がらない。

 けれど。正面から真っすぐ見つめてくるルリカ、呆然と口を開ける僕とを交互に見やると、赤霧さんは顔を真っ赤にし、意を決したようにして答えた。


「も、もちろん……ぜ、前戯もセックスもありっスけどッ!?」


「なしに決まってるでしょうッ!?」

 

 思わず僕は割り込み、その場で立ち上がった。


「あ、赤霧さん! なに勢い任せに口走っちゃってるんですか!! なしですよ、なし! き、キスですら本当はありえないのに!」


「だ、だって……そう言わないと、ルリっちに押し負ける気がして……」


「意外と負けず嫌いですねッ!? と、とにかく、そういうエッチなことはなしですから! ルリカも勘違いしないでくださいね!」


「そうなんだ、安心した」

 

 胸に手を当てて、ホッと胸をなで下ろすルリカ。

 よかった。誤解が解けたようでなによりだ。

 安堵する僕を前に、ルリカはそっと目を閉じると、感慨深そうにこう言った。



「それなら、気兼ねなくミツカゲの『セフレ』になれるね」


 

 直後。僕と赤霧さんの世界が止まった。

 この幼馴染はなにを言っているのだろう? 同じ言語を喋っているのかすら疑わしい。

 完全停止する僕と赤霧さんをよそに、ルリカはうれしそうに声を弾ませる。


「ミツカゲは知ってるでしょ? ボクがさみしがり屋だって。唇だけの接触じゃあどうしても不安が残ってたけど、セックスできるくらいの仲になれたら、そのさみしさもきっと忘れられる。全身の繋がりが、ボクのさみしさをなくしてくれる」


「……、……」


「ここに越してきたのも、ミツカゲのセフレになるためだった。原稿がようやく落ち着いて三年ぶりに黒田旅館に行ってみたらミツカゲがいなくなってたから、急いで引越しの準備をして、転校の手続きも急ピッチで済ませた。それでも、すこし時間がかかっちゃって、こんな夏休み前の転校になっちゃったけど」


「せ、セフレになるために、僕を追いかけてきた……?」

 

 信じられないといった風にあらためて問うと、ルリカは「そう」と躊躇いなく応えた。


「赤霧と恋人になってたら諦めるつもりだった。ひとのものを奪う浮気や不倫を『当然』だと思えるほど、ボクの倫理観は狂ってないから。さっきまで不機嫌だったのも、ボク以外の誰かとヤッちゃってたら嫌だなっていう嫉妬からだった――でも、そうじゃないんだよね? 赤霧とは恋人以上に仲がよくて、キスもするけど、結局は友達なんだよね? なら、昔のボクたちと同じ関係だ。。いまのボクとミツカゲが交わったところで、。だって、昔のボクたちはなにも問題なかったんだから。そうだよね? ミツカゲ」


「い、いや、でも……」


「わかってる。ミツカゲは恥ずかしがり屋だから、ボクの提案をすぐには受け入れてくれない。だから、ボクはボクのしたいようにするよ。ミツカゲがセフレになってくれる、その日まで。これ、ボクの宣戦布告だから」

 

 言って、ルリカは僕と共に、隣の赤髪ギャルも見やった。

 丸まった背中をピンと張り、そのグラビアアイドル然とした体型を赤霧さんに見せつける。

 基本、内気な性格のルリカがここまで好戦的になるのも珍しい。

 赤霧さんは、ぐぐぐ、と悔しそうに口を引き結んでいた。体型が羨ましいからではない。おそらくは、僕と恋人になっていなかった後悔があるのだ。先ほどの話を聞くに、僕と赤霧さんが恋人になっていたら、ルリカは素直に諦めていたはずなのだから。

 

 ……って、こんな考察、当事者の僕がするものではない気がするけれど。


「まあ、そんなこんなで。お話終わり。もう五時半だから、ご飯食べに行こうよ。ミツカゲ。ボクお腹空いちゃった」


「あ、えっと、ご飯はいつも赤霧さんが……」


「――じゃあ、スーパーに買出しにでも行くっスか」

 

 と。うつむきがちだった顔をあげて、赤霧さんがそう提言してきた。

 その表情は、不気味なほど爽やかだった。


「もしよければ、ルリっちの分も一緒に作るっスよ。二人分も三人分も、作る量には大差ないっスから」


「……? そう、ならお願いしようかな」


「了解っス。それじゃあ、早速行くっスよー。ルリっち先頭どーぞ」

 

 言うが早いか。ルリカの背を押しながら、玄関まで向かう赤霧さん。

 テーブル上の財布を手に取ったあと、僕も遅れて追いかける。

 靴を履いていた最中。「あー、そういえば」といままさに思い出したかのように赤霧さんがルリカに訊ねた。

 ……なんか、思い出した素振りがわざとらしく見えたのは気のせいか?


「ルリっち。お財布は持ってきてるんスか? 私とミッチーの食費はいつも割り勘にしてるんスよ」


「そうなんだ。じゃあ、家に行って取ってくる」


「ういういー。廊下で待ってるっスよー」

 

 赤霧さんに見送られ、一足先に503号室を出るルリカ。

 ルリカのサンダルの足音が遠ざかると共に、ギィ、と玄関の扉が蝶番ちょうつがいを鳴らしながら閉まっていく。

 バタン。

 扉が完全に閉まりきり、僕と赤霧さんのふたりきりになった。

 その直後だった。


「ふ、ふひひ……ふひひひひ」

 

 肩を揺らし、壊れたように笑い声をあげたかと思うと、突如、赤霧さんが僕を玄関マットに押し倒し。


「むちゅー!」


「んんッ!?」

 

 強引に唇を奪ってきた。

 

 な、なるほど。

 ルリカを先頭にしたり、財布の話を持ち出したりしたのは、ふたりきりの環境を作るためだったのか!

 マウントポジションを取られ、頭は両腕でがっちりホールドされ。助けを呼ぶこともできず為す術なくキスされる。

 瞬間――にゅろ、っと。

 僕の口内に、柔らかくも熱い感触が侵入してきた。

 

 赤霧さんが、舌を入れてきたのである。


「んぐッ!?」未知の感覚に僕は驚き、なんとか力ずくで赤霧さんの拘束から抜け出す。

 抜け出す際。ジジジ、となにかが勢いよく開いた音がした。

 尻餅をつく僕と、四つんばいの赤霧さん。

 ハァ、ハァ……、と互いに呼吸を乱し、見つめ合う中。先に口を開いたのは赤霧さんだった。


「こ、好都合っス」

 

 息を荒げながら……いや、どこか興奮しながら、赤霧さんは独白のように続ける。


「元々、過激でエチエチな関係にするつもりだったんスから。ルリっちっていう『ライバル』の出現は、むしろありがたいっスよ。いい刺激になるっス。これで、友達以上の関係になるのが早まるってもんっスよ……ふひ、ふひひ」


「あ、赤霧さん……?」


「それに。ルリっちはその……せ、セフレになりたいだけで、ミッチーの恋人になりたいとは言ってないっスからね。なら、私のこれからの『攻撃』も、別に奪うことにはならない。お互いフェアな奪い合いっス。その戦いに勝って、先にミッチーを恋人にしちゃえば、ルリっちも手を出せなくなるはず」

 

 言い終わったのち、呼吸を整えるように大きく深呼吸。

 乱れた髪や衣服をなおすと、赤霧さんは僕を立ち上がらせてくれた。


「ここから、ここからっスから。私の覚悟、ちゃんと見ててほしいっス」


「……お、お手柔らかに」


「それはちょっと約束できかねるっス――さて、それじゃあ行こう? ミッチー。これ以上は怪しまれちゃうっスからね」


「元は赤霧さんが襲ってきたせいでしょうに……ハァ、まったく。赤霧さんはもうすこし節度を守ってください」

 

 したたかというか、なんというか。

 覚悟しておけ、とは言われていたけれど、まさかここまで加速してくるとは。

 と。半ば呆れながら靴を履く僕を横目に、赤霧さんが心配そうにこう訊ねてきた。


「……ねえ、ミッチー」


「なんです?」


「ミッチーは、こんなエッチな女の子、嫌い……?」


「……いまさらですね」


「だって、ほんとに嫌がってるなら、それこそ節度を守ったほうがいいのかなって……」


「……別に、嫌いじゃないですよ」

 

 元々、嫌っているわけではないのだから、どんな本性を見せられても嫌いになることはない。

 立ち上がって、トントン、と靴の履き心地を調整しながら、僕は言う。


「ただ、さっきみたいな……えっと、ディープなやつは、心臓に悪いので勘弁してほしいです。はじめてだったので、かなりビックリしました」


「……はじめて?」

 

 僕の言葉に、赤霧さんはなぜかキョトン、とした表情をする。


「さっきのやつ、はじめてだったんスか? ルリっちとしてたんじゃあ……」


「いや、さっきも廊下で話しましたが、ルリカとは軽いやつしかしたことないですって。子ども同士のお遊び的な感覚でしたから、その、舌を入れるようなことは……」


「ふひ、ふひひ! はじめて、私がはじめてなんだッ!」

 

 途端。ひどくうれしそうな笑顔で僕の手を取り、ブンブン、と上下に振る赤霧さん。

 クリスマスにお目当てのプレゼントをもらった子どもでも、ここまで喜んだりはしない。


「ミッチーのはじめて、もらっちゃった! やったよ、ミッチー!」


「はいはい、そうですね。あげちゃいましたよ。おめでとうさんです」


「なんでそんなテンション低いんスかー? 私もうれしいんだから、ミッチーも喜べー!」


「いや、喜べと言われても……」

 

 奪われた側なのに、どう喜べと?

 そう訝しんでいると、赤霧さんはテンションマックスで扉を開け、スキップまじりに廊下に躍り出た。

 僕が鍵を閉めている最中も、くるくるとその場で陽気に回っている。僕のはじめてをもらえたことが、よほどうれしかったみたいだ。

 ……まあ、悪い気はしないけれど。

 

 と。キーを制服の内ポケットにしまい、スカートをたなびかせる赤霧さんを振り返ったところで、僕はある異変に気付いてしまった。

 スーパーに向かう以上、このまま見過ごすわけにもいかず、僕は赤霧さんにそっと近寄って耳打ち。


「ん、どうしたんスか? ミッチー。一緒に踊る?」


「あの、赤霧さん……スカートの横、開いてます」


「ふえ?」

 

 呆けた声で応え、赤霧さんはついと視線を落とす。

 スカートのファスナーが全開になり、白とオレンジのストライプの下着の側面が露になってしまっていた。

「ひゅッ!?」驚きとも困惑とも取れる声を発し、高速でファスナーを閉める赤霧さん。

 そうか。先ほどキスから抜け出すときに、ジジジ、となにかが開く音が聴こえたが、あれはファスナーが開いた音だったのか。

 僕の手が当たったかなにかして開いてしまったのかもしれない。


「あの、すみません。もしかしたら、さっき僕が開けてしまったのかも……」


「ふ、ふひひ……いいんスよ、このぐらい。別に、ほんと、なんでもないっスから……」

 

 そう応える赤霧さんのテンションは急降下し、その顔も、頬から耳にかけて全部真っ赤になってしまっていた。

 過激でエチエチになるとは言いつつも、やはりキスより先に抵触するようなアプローチは、まだまだ恥ずかしいらしい。

 その羞恥心は、できればずっと持っていてほしいものである。

 ほんと、ガチで。

 さておき。

 赤霧さんのこの自爆(?)具合が、なんだか学校でパンツを見せられたときを思い出して、僕はひとり懐かしさに頬を緩めたのだった。

 



 

 拝啓。実家の両親へ。

 お元気ですか?

 僕は、様々な『事故』に遭遇しながらも、なんとか元気です。

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