色移り

 自分の色は何かと問われれば『赤』と即答するだろう。炎の如き激情に操られたかの様な、物事へ対する取り組みに対して。火炎のトグロを巻いた蛇が睨み付けているかの様な威圧感を、警戒心をに対して。

 そしてこの色は私は死ぬまで変わらないと思っていた。だが、純白の無垢なドレスのような、汚してはいけないと直感的にわかる高貴な美しさを持った人物に出会った時、私の赤は白と混ざり微かに赤の強い、淡い桃となった。

 少し見ない間に丸くなったねと言われる。眼に優しさが見えると言われる。今まで疲れる人生を送っていたのだろうと私は感じた。もう少し楽に生きてみようと、誰に言うでもなく小さく呟いた。

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