雷が怖い臆病者

ひんとぼ

雷が怖い臆病者

今日も好きでも嫌いでもない体育の授業を外でやることになった。


だが体育教師のF先生は、なんか苦手なんだよなぁ…


この人は感情任せですぐに怒るからというのが苦手な理由だ。


この教師はとにかく体育に対して熱血で生徒を怒るときはみんなが見ている前でも容赦なく怒る。


そしてその生徒はみんなの前で2度と怒られたくないから怒られないような行動を今後とるのだ。


大人に怒られるのって子どもなら誰だって怖いよな。


僕も怒られないように細心の注意をはらっている。









「ええ、みんなには今からテニスをやってもらいます。」


校庭に出てコートを設置して全員でテニスをすることになった。


ゴロゴロ…


遠くで雷の音がする。


雷の稲妻がすぐそこまで迫っているのに体育の授業は何故か続行された。


僕は雷が怖かったので腹が痛いからトイレに行ってくるとペアの人に嘘をついて先生にも報告せずに1人で逃げるようにそのまま校舎に入っていった。


無論、もう外に出るつもりはない。


「あーあ、これはあとでF先生から雷が落とされるな…」


でもしょうがないのだ。F先生の雷なんかよりも本物の雷の方がもっと怖いのだから。


僕は雷に当たるのがものすごく怖い。


当たった時の想像を何度もしたことがある。


きっと雷に当たったら身体中が沸騰するような熱さに身を焦がされるに違いないんだ…


そうして死んで行く…


昔からよく雷にビビっていることで友達にバカにされたんだ。


「雷になんて滅多に当たる訳ないじゃん!大丈夫か?お前」とね。


「確率論なんて当てに出来るか!当たるときは当たるに決まってるだろ!」と僕は思う。










少し落ち着いたので誰もいない教室から窓越しに校庭を眺めていると空に稲妻がピカッと光った。


その時、一瞬のことなのに時が永遠に止まったように感じた。


その瞬間銃声のようにすごい音が外で鳴り響いた


雷が落ちたのだ。


窓から外を見るとテニスのラケットを握ったまま倒れている人がたくさんいた。


そして雷の威力を表すかのように雷の衝撃で校庭の大木が裂けて黒こげになって蒸気を発していた。


大木はまるで木炭のような色になっていた。


どうやらさっきの雷で死者が何人か出たようだ。


なかには死なずに済んだ人もいるようだ。


だが、生き残ることが出来たとしても何かしらの後遺症が残ってしまうだろう。


これが雷の怖いところだと思う。


申し訳ないがこの時、僕は心の底から安堵していたよ。


自分は無傷かつ死なずに済んで良かったからだ。








どうやら生徒の中には体育を止めようと言い出した人もいたらしいが、F先生の指示でそのまま続けたらしい。


雷なんて滅多に当たらないからという理由らしい。


先生の指示を無視していればその人も助かったかもしれないのにね…


結局最後に頼れるのは先生などではなく、自分ということだ。


自分の命は最終的に自分でしか守ることが出来ない。


自分の意思で行動したからこそ僕は生き残ることが出来たのだと思う。


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