清楚な女子高生
「マミヤ。これは失敗だ。私に近寄って来たのは妖怪変化のような悪臭漂う変態男ただ一人だった。他の男は逃げるか土下座をして許しを請うのだ。何か設定が根本的に間違っている」
「そうだったんですね。
「仕方がない。最後に本命で行く。清楚系JKだ」
「
私は最後の魔力を振り絞って清楚系JKへと変化する。これで最後。二度と変化できないだろう。
今度のモデルもアニメの主人公を選んだ。作品タイトルは「美少女レスキュー☆ビューティーファイブ(注2)」だ。その中でも清楚で美しい相生香織を選んだ。
黒髪のショートヘア。日本人としては白い肌。バランスの良い体形。そして煌めく瞳には世界中の男が恋焦がれるだろう。
水着は競泳系のものを選んだ。
その上からパーカーを羽織る。
「ところで女王さま。どうして海岸にこだわるのでしょうか。泳げないのに」
「ふふふ。それはだな。海岸では男女が一瞬にして恋に落ちるのだ……。そう。性が解放される神聖な場所。それが海岸なんだよ」
「でも泳げないのに」
「水の中で戯れなくても、砂浜で戯れればよい。大丈夫だ。必ず男を捕まえてくるぞ」
「ご検討をお祈りします」
「では行ってくる」
私は鏡の門を潜る。
眩しい。
空が青い。そして海も青い。いや
私は獲物を探して海岸を歩く。
若い男は多かったが童貞スカウターの反応は薄い。こいつらは皆ヤ〇チ〇なのだ。
世は不条理だ。
思うように事が進む事など無い。
私は考え事をしながら歩いていた。砂浜は終わり岩場となっている場所へと来ていた。
いけない。人気がないではないか。
踵を返し、戻ろうとする私に声をかける男性がいた。
「こんにちは。一人で何してるの?」
私は声のする方を向いた。
海の中から日に焼けた若い男が手を振っていた。彼は真っ黒に日焼けしていた。私はこの笑顔にときめいてしまった。
彼は海から上がってきた。
途端に童貞カウンターが激しく反応した。
「ビックリさせちゃったかな。僕は海斗。よろしく」
握手を求めているのだろう。右手を差し出してきた。私は彼の手を握って返事をした。
「私は陽子。今陽子よ」
咄嗟に、そして出鱈目に名乗ってしまった。ピンキーの名前なんてどうして出てきたのか不思議だったのだが、それは恐らく作者の趣味だと思う。
注2:該当作品は「美少女レスキュー☆ビューティーファイブ Reboot!」です。アニメ化は嘘なんで信じちゃダメ。富士見L文庫×COMIC BRIDGE 頑張る女子主人公コンテストに参加中。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054890902116
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