第二章帝国主義 第五話 スピニア帝国

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ゼロ王国とテルカン町に続く道

優子 ダッチャー

「優子、起きろ。朝だ。」

「………ん……う?………」

「朝だ、優子。飯にしよう。」

そこでようやく優子が目を覚まし、起き上がった。朝日が眩しく照らしていた。

(朝か………ふあああ。)

私は夜中にダッチャーと馬でゼロ王国を出て、途中の木の所で野宿し、朝まで寝ていた。久しぶりに外で眠ったな………

ダッチャーは朝のご飯の準備をしていた。

ダッチャーは第九部隊の隊長で、元SASに所属していた。イギリス人で今年で65歳になる。高齢ながらも、隊員を率いる立場に居続けている。髪は茶髪、召喚の影響で体が若返って、若いイギリス人のイケメンになっている。召喚の影響で、隊員達の若返りが相次ぎ、いろんな意味で混乱していた。

「朝食は何ですか?」

「パンだよ。ジャムがあるから、それを塗りな。」

俺は優子に言った。優子は俺の前に座り、パンにジャムを塗って、食べた。相変わらず、

律儀な食べ方だ。初めて会った時から変わっていない。

「朝食を食べたら、移動ですか?」

「そうだ。町には検問所がある。そこで偽装した通行証を見せて、まずは町を調べるぞ。」

「了解です。すぐに食べてしまいましょう。」

「ああ。」

こいつの敬語は抜けないのか?入った当初は、まるっきり逆だったんだが。あの時からずいぶんと成長したものだ。ただの少女が一人前になるとはな………

「ダッチャーさん。ここに来てどうですか?」

私は質問した。

「ずいぶんといい国だったな。あいつが国王になってから、安定したから、さすがだなとは思ったよ。」

「ここでも英雄になるのですか?」

「まさか。ここでなれる訳がないだろ。この世界にも、英雄はたくさんいるからな。」

なれるよ。だって米露戦争の時、日本の紛争で人々を救った男だよ。ここでも、英雄伝説を作るはず。

「たが、ここに召喚されたが、いい事がある。体が現役時代に戻った事だ。これでまだ戦える。」

ダッチャーの体はボディーフィルダーより小さいが、力はそれの倍近くある。ダッチャーが若い頃、何をしていたのか気になる。

「食い終わったな。移動するぞ。」

馬に荷物を載せ、俺達は馬に乗り、テルカン町に向かった。

「ダッチャーさんはいい女の子を見つけましたか?」

途中、優子が俺に質問した。

「急にどうした?」

「聞いておきたいと思いまして。」

変な奴だ。

「いや、いろんな女がいるが、俺がいいと思った女はいない。」

あんたの基準はどうなっているの!?可愛い女の子がいっぱいいたじゃん!

英雄がこんなのだったら、女の子達は彼を落とせるのかな?難しいと思う。

「なぜそんなことを聞いた?」

「いいえ、あなたが難易度の高い男だと確認する為に質問しました。」

変な奴だな。

そう話していると、テルカン町の検問所に着いた。ナチスの兵士四人が見張っていた。

二人はMP40を持ち、他は、STG-44、Kar98

kを持っている。

俺は馬を停め、MP40を持っている男に通行証を見せた。

「ティアード王国からですね、どうぞ。」

丁寧な口調で男は言った。警備は厳重だが、

通行証さえ見せれば、楽々と町に入れた。

町は私達の国より暗い色の街並みだが、活気は負けていなかった。あちこちで露店をやっている人達を見た。たが、町の至る所にナチスの旗が掲げられていた。ナチスに占領された国も自分達の旗を掲げていた。そして、至る所にナチスの兵士が警備していた。

「ナチスの占領区にいるみたいですね。」

「どうやらナチスがこの町を統治しているようだ。調べる価値はありそうだ。」

私達は通りを抜け、馬の停める場所を探した。

途中にナチスの拠点を見つけた。少し大きい建物みたいだ。門には当然、ナチスの兵士が見張っていた。私はこの建物を記憶して、調べる場所として覚えた。

そして、馬を馬の買い取り業者に渡し、買い取り金を貰って、ホテルを探した。至る所にナチスの兵士がうろついている。ジープには

MG42を搭載していた。ヒトラーの電動ノコギリをここで見られるとは。兵士の中には、

将官らしき人もいた。黒の軍服に、ナチスのマークが入った帽子を被っている。胸には勲章が飾られていた。腰にはルガーP08を付けていた。彼らは町を観光しているみたいだ。

町の人々は彼らを恐れて見ていた。どうやらあまり歓迎はされていないらしい。

町を数十分歩いた後、ホテルを見つけ、ホテルの受付をして、指定された二階の部屋に入った。部屋は綺麗な一室だった。

俺達は荷物を下ろし、準備した。

「優子、銃は脇だな。ローブで隠しておけ。金は渡しておく。今9:12だ。しばらく調査しておけ。俺はこの部屋で仲間の指揮をする。」

「あなたの特殊部隊がですか?初めて聞きました。」

「お前には話していなかったな。錬子には話したが、ナチスと帝国の関係が分かり次第、部隊がこの町のナチスを襲う。ナチスは俺達にとって脅威だからな。放っては置けない。」

「分かりました。私はこの町の情報を探りながら、ナチスの情報を集めます。」

「分かった。それと、」

ダッチャーは小型のイヤホンを渡した。

「これで連絡を取り合える。何かあれば連絡しろ。」

「分かりました。では、」

私は部屋を出ようとした。

「優子。」

「何ですか?」

「気をつけろよ。」

心配症だね………ダッチャー。

「ええ、行って来ます。」

私は部屋を出て、町の調査に向かった。




優子

町の情報を集められる場所はどこだろう?

私はホテルを出て、そう思った。

ナチスの警備がある中で情報を集められそうな場所は………とりあえず歩こう。

私はホテルの左の道を歩いた。

町には通行人とナチスの兵士がたくさん通っていて、私を不審に思う人はいなかった。

さて、どこか情報を集められそうな所はないかな。そう思っていると、この町の集会所を見つけた。ここならあるかな。

私は集会所に入った。中は私達の集会所と変わらなかった。私は受付に話かけた。

「あの、すみません。」

「はい、なんでしょうか?」

「この町のリーダーは誰ですか?ここには初めて来ますので、分からなくて。」

「はい、この町を統治しているのは。グルヘラート将軍です。軍のリーダーで、外の世界から来た人です。」

グルヘラート将軍。ナチス労働党の将軍。

私が見たあの場所にいて、ナチスの兵士の指揮をしている。政治も彼らがやっており、ほぼナチスが支配していた。

「スピニア帝国はこの町を支配していないのですか?」

受付嬢は声を小さくした。

「実はここだけの話、グルヘラート将軍が強行して、この町の支配権を得て、スピニア帝国を追っ払ったのです。彼らには独自の武器がありますので、スピニア帝国は何も言えなかったそうです。」

スピニア帝国は関与していないのか。じゃあ今はナチスの好き放題にやっている訳か。

「この町の人達は彼らを恐れているようですけど。」

「ナチスの兵士は乱暴で、住民に不満を増やしていますが、グルヘラート将軍の名前を使われて、何も言えないのです。」

そりゃ、そうなるわ。典型的なループね。

「………他には何かある?」

「そういえば、スピニア帝国の騎士、アミヤ団長がこの町に来ているらしいですよ。あ、アミヤ団長は前のこの町のリーダーです。」

「なぜ支配権を失ったスピニア帝国の騎士団長がこの町に?」

「さあ、分かりません。」

「………情報ありがとうございます。これ、情報料です。」

私は受付嬢に小金貨七枚を渡した。

受付嬢はお礼を言い、私は次の場所に向かった。

だが、どこも同じ情報しかなかった。おそらく、ナチスは情報を秘匿している可能性がある。

仕方ない、一旦戻るか。

そう思った時、

「や、やめて!」

通りの真ん中でナチス兵がエルフの少女を捕まえていた。下卑た顔と声で少女を見ていた。周りの兵士はそれを黙って見ていた。これが彼らの日常だろう。周りの住民も見て見ぬふりをしていた。手を出せば、自分が捕まってしまうから。

………………

私はこの出来事に似た出来事に遭った事がある。これはまさにその再現だ。

タイの郊外、犯罪が絶えないその町で私は産まれた。その町では毎日人が死んでいく。犯罪者の利益や損得勘定などで。そこで産まれた女は娼婦になるか、犯罪者の道具にされる。私もそうだった。幼い頃にある男に男に拾われ、暴力を振るわれていた。毎日、全身が痛んで、夜も眠れなかった。そんな日々が終わればいいのに。そう思っていた。

そんな時、町で偶然拳銃を見つけ、男の隙をついて、男を殺した。初めて人を殺した。最高の気分だった。復讐を果たした。その気持ちでいっぱいだった。たが、傭兵のダッチャーに捕まり、ここで殺されると思ったが、

ダッチャーは殺さず、私を拾い、傭兵として育った。ダッチャーには今でも感謝している。

そして、この現場を見て思ったのが、どうして私以外の人が傷つけられるんだ、と。

だから私はその兵士の元へ向かった。

「?なんだあ?」

男が言う。………許さない!

「(女の子をいじめるのは総統の意思ですか?)」

私はドイツ語で話した。彼は仲間以外のドイツ語を初めて聞いて、びっくりしていた。

「(くだらないです。雑魚のすることです。)」

「おい!お前!」

近くにいたMG42を持っている兵士が私の後ろに立ち、掴もうとした。

その瞬間、私は両脇のホルスターからM92Fを出し、後ろの兵士を撃った。

頭に命中し、後ろに倒れる。

「お、お前!お前ら、こいつを殺せ!」

周りの兵士が一斉に銃を構える。

やる気か?いいだろう。受けて立つ!

私は前の兵士を人質に取った。兵士達は撃つのをためらう。その内に私は周りの兵士を撃った。

「ぐお!」

「うわ!」

「ぎゃ!」

兵士は次々と撃たれ、倒れていく。若干、銃を撃っていた兵士もいたが、盾になった兵士に当たり、私に弾は通らなかった。

私は盾になった男を捨て、後ろから来た兵士達を二丁のM92Fで、撃ち殺した。

パンパンパンパンパンパンパンパン

兵士達は撃たれ、倒れていく。奥にいたkar9

8k持ちの兵士が私に撃ったが、私はスローに見える弾丸を避け、男を撃ち殺した。

「逃げて!」

私はエルフの少女に言った。少女は建物の中に入った。

今度は反対側から兵士達が現れ、銃を撃ちまくっている。私はジープに隠れた。

「ダッチャー!私は適当に暴れて捕まる!後は頼んだよ!」

私はそう言って、イヤホンを隅に捨てた。

その間にも、銃撃され、ジープに弾が当たり続けている。

やるか!

私は横に飛び出して、兵士達を撃った。

前の三人が死んだが、奥のMP40を持った男二人が生きていた。男達が私に向け、連射している。私はすぐに男達に撃った。男達は倒れた。

周りが静かになり、誰もいなくなった。

もう終わり?あっけないわね。

そう思ったが、両側からナチス兵士の集団が集まり、私を囲んだ。

銃をしっかり私に照準している。

「素晴らしい。私の部下を簡単に倒すとは。」

私の前の集団にいる兵士の中に階級の高い勲章を付けた将官と、銀の甲冑を着た女がいた。グルヘラート将軍とアミヤ騎士団長だ。

「たが、そこまでだ。銃を捨てろ。死にたくないだろう?」

ハア、しょうがない。

私は拳銃を落とし、後ろに蹴った。後ろにいた兵士が回収した。そして、降伏のサインの手を挙げた。

「降参です。どうぞ。」

「潔いな。アミヤ騎士団長、こいつがゼロの部下です。」

アミヤ団長は緑髪のしっかりとした顔の少女で、剣を鞘に収まっていた。

「そうか。お前がゼロの手下か。聞きたいことがたくさんある。大人しく我々に付いて来い。」

さあ、捕まりますか………

私は兵士に拘束され、連行された。

ナチスとスピニア帝国の関係はロシアの部隊と関係がある。その背後を洗ってやる!私はそう決意した。

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