第一章 異世界生活 第二十二話 ゼロの演説

1968 6 28

ベトナム とある村

???? アメリカ軍 階級少尉

「少尉殿、この村は制圧しました。」

「ああ、分かった。」

ベトナム戦争の北ベトナムのある村のゲリラを制圧し、次の指令を待っていた。

「何名やられた?」

「六人です。ゲリラのトラップで二名やられました。」

ベトナムのゲリラは地形やトラップを使って、兵士達を苦しめていた。奴らは民間人の区別がつかない為、見分けるのに苦労した。

「この戦争、おそらく我々の負けで終わるだろう。」

「少尉、どういう事です?」

「奴らは地形や気候を利用して持久戦を仕掛ける。更に、奴らは民間人であることを利用して、俺達を惑わしている。奴らの方が我々より上だ。」

「ですが、化学兵器を使用したんですよ。これで戦力を減らせます。」

「その化学兵器で多くの兵士が後遺症になっている。これでは、兵士達の戦力にも影響が大きくなる。」

俺はこの三等兵の若い男に話した。

「少尉………」

「若いの、私に提案がある。」

「何でしょうか、少尉殿?」

「この戦争が終わったら、傭兵をやらないか?」

三等兵は驚いた。

「軍を辞めるのですか!?」

「ああ、既に何人かに声を掛けた。全員俺の提案に賛成したよ。」

「しかし少尉殿………」

「若いのいいか。これからの時代、傭兵が優遇される時代がやって来る。俺達はその時代に適応する。お前も良かったら来い。軍のやり方では、戦争は続く。俺達の心がどんどんやられていくぞ。」

「………………」

三等兵は少し思案した後、

「分かりました、少尉。あなたの提案に乗ります。」

俺は笑って、

「ありがとう、若いの。」

この男こそ、ゼロの祖父である。





4025 5 24 19:00

中央広場

ゼロ

俺達がステージに立つと、盛大な拍手が送られた。俺達の仲間達や貴族達など大勢の人が拍手をしていた。

幹部達は最前列に立っていて、皆喜んで拍手をしていた。

そして、ステージ中央のマイクに立ち、ミミが隣の椅子に座った。

拍手が止み、全員が俺の言葉を待っていた。

俺はマイクを使い、皆を座らせた。

「どうも、ゼロフォース社社長のゼロです。仲間からはボスって呼ばれています。どうぞ、よろしくお願いします。」

客席から拍手が広がった。

「ありがとうございます。さて、さっそく本題に入りましょう。あの城で何が起きたのかを。」

俺は城で起きた事件を話した。

「というわけだ。ジョス騎士団長に提案を持ちかけ、私がその提案に乗ったわけだ。ジョス騎士団長には感謝しているよ。ありがとう。」

ジョスに向けて拍手が送られた。ジョスは敬礼した。

「さて、今後の国の方針だが、貴族主権の国家ではなく、国民による民主主義の国家にする。」

貴族達から驚き、国民からは拍手が送られた。

「もちろん。貴族主権の国家を廃止するからと言って貴族そのものを廃止する訳ではない。貴族達はこれまで通り暮らせばいい。だが、それでは納得しない貴族達もいるだろう。そこでだ、」

俺は一泊置いて、

「貴族達には、俺達を支援して欲しい。そうすれば、金だけでなく、私達がいた国の文明も渡そう。」

貴族達は迷っているようだった。俺達の国の文明というものに惹かれていた。

「例えば………」

舞台袖から寿司の皿が持って来た。それをミミに渡した。

「これは俺達の国で寿司と呼ばれる食べ物です。刺身を酢飯に乗せた物です。醤油をかけると、美味しいですよ。これには既に醤油はかかっています。ミミが実食します。」

ミミは箸でマグロの寿司を取り、口に入れた。

「~~~~!美味しい~~~!」

ミミは笑顔で喜んでいた。

「皆さんの分もあります。どうぞ。」

係員が皆にマグロの寿司を渡した。マグロを皆が恐る恐る食べた。

「美味しい!」

「美味い!」

「これ、本当に魚を使っているの?こんなの初めて食べるわ!」

良かった。粗食班に作らせて良かった。

「喜んでもらえてうれしい。貴族達は我々に協力すれば、これの他にも提供しよう。協力する貴族は拍手してくれ。」

貴族は全員拍手してくれた。

「ありがとう。さて、ミミ、戻していいか?」

「はい、ゼロ君。」

そうか。なら、

「ここからは普段通りに話そう。堅苦しいお喋りはここでお終いだ。俺は堅苦しい話し方は嫌いだ。皆もそう思わないか?」

何人か笑ってくれた。

「俺は普段通りに話す。皆それでいいか?」

「いいよー!」

零が大きく言った。

「分かった。じゃあ、これからのこの国について話そうか。あ、質問があったら言ってね。」

そして、俺は話した。

「まず、この国は俺達が治める。政治は国民で選ばれた人がやる。やり方については俺達の代表が教える。初の民主政治だからな。」

「俺達は政治に入れないのか?」

貴族の男性が言った。

「貴族はあくまで助言は可能だ。最終的には国民の代表の多数決で決まる。」

「貴族を廃止する理由は?」

「俺達の世界の歴史では、貴族制の政治では民の反感を買い、貴族達は滅ぼされた。貴族達が自分の事しか考えなかった結果だ。それが理由だ。」

「この国にそんな事は無い。」

「本当か?この国の税金は重いとミミから聞いたが。」

「………………!」

「更に、貴族達の賄賂も目立ってたらしいな。そんな国は近い将来滅ぼされるのがオチだ。そんな国にはさせない。」

「………………。」

「たが、貴族達には借りがある。貴族が不利なことにはさせない。それは保障する。俺の意見がいいってなら、拍手してくれ。」

貴族の少年が拍手し、他の貴族達も拍手した。

「ありがとう。」

俺は少し自分の過去を話した。

「皆には家族はいるか?家族ってのは素晴らしいよな。羨ましいぐらいに。」

周りが静かになった。

「俺には零以外には家族はいない。俺は傭兵の部隊に拾われた。場所は紛争地帯だった。殺し合いが起こった近くで零と捨てられていたらしい。俺達の入ったカゴには誰かの手が入っていた。俺達の生みの親だった手だった。俺達はその傭兵に拾われ、いろんな技術を教わった。」

俺達が6の時に初めて銃を持った。重くて持ち続けるのが大変だった。それ以来、いろんな銃を撃ったり、戦いの基本を学んだり、知識を得たりした。そのおかげで、俺も零も軍隊より強くなった。特殊任務もたくさん成功した。

「傭兵をやり続けてほぼ二十五年、仲間もでき、部隊を率いることが多くなった。俺達の部隊は死人がでない部隊で、多くのチームから賞賛された。負傷はあっても、誰も死ななかった。それが俺の誇りだ。俺の自慢だった。」

敵に囲まれても、味方が負傷しても、裏切りに遭っても、俺達は乗り越え、誰も死なずに任務を遂行した。俺もたくさん殺した。

銃やグレネード、特には素手やナイフで。

「そして、たくさんの敵を一人で殲滅したことで、民間軍事会社の社長の推薦があり、ここまで昇格した。ここまで出来たのは俺だけじゃない。古くからのメンバーや仲間のおかげだ。こんな俺に付いて来てくれてありがとう。」

俺は頭を下げる。仲間達は驚いた。

「俺は仲間の世話がなければ弱い人間だ。だから、長く俺に付いて来てくれて、うれしかった。本当にありがとう!」

仲間達が全員立ち上がった。

「「「「こちらこそ、ありがとうございます。」」」」

皆………………

「これから忙しくなる。もしかしたら前の仕事より大変になるぞ。全員覚悟は出来ているか?」

「もちろん。」

「もちろんです。」

「当たり前だよ、ボス!」

「よし!頑張るぞ!いいな?」

オオオオオオオオオオ!

仲間の声を聞き、俺は安心した。これから過酷な事が起きるかもしれない。たが、俺は一人ではない。皆という家族がいる。俺はそれだけで頑張れる。だから俺は立ち向かうぜ。

どんな困難にもなあ。

第一章 異世界生活 完 次に続く

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