第一章 異世界生活 第十九話 イワンの暗躍

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ペガサス王国 執務室

ゼロール エミリア

「そうか、分かった。ありがとう、佐山。」

俺は佐山の報告を聞き、そのまま調査せよと伝えた。

執務席前のソファーにエミリアと、彼女の三人の部下が座っていた。彼女にある報告をするために、ここに集まらせた。

「エミリア、犯人が分かったぞ。」

「誰?」

「大物だ。何せ元スペツナツの工作員だ。彼女らを殺ったのはこいつだ。」

そして、俺はエミリア達に資料を渡す。

「ロー・ステパヴィッチ。元スペツナツの工作員。女だ。歳は32。米露戦争に従軍履歴あり。」

「あの米露戦争に参加していたの?」

米露戦争とは、2030年に米露の対立により起こり、アラスカで戦争した。

戦争は五年続き、2035年に日本などのアジア諸国の仲介により講和条約が結ばれ、戦争は終わった。たが、今でもアメリカとロシアは互いに睨み合っている。

「ああ、彼女のことを調べていたら、その履歴が出て来た。」

「その後、彼女は?」

「軍を抜け、フリーの傭兵をやっているらしい。」

「そんな彼女が、どうしてここに?」

「王国側が言うには、俺達と同じように召喚されたと言っているが、」

「嘘だね。王国は何かを隠している。」

俺もエミリアも同じ考えに至ったらしい。

「ああ、奴らを調べる事は、王国の調査にも繫がるはずだ。」

「了解。こいつを探せばいいのね?」

「だが事は単純じゃない。バックがいるはずだ。下手に探れば、こっちがやられるぞ。」

「………だったら、どうするの?」

「第十部隊もお前達と連携すると報告した。第三、第五、第十部隊で彼らの調査だ。やり方はお前達に任せる。」

エミリアが笑った。

「やり方は自由にやるけど、いい?」

「民間人の発砲以外は許可する。」

「アッハハハハハ!了解、ボス!任務を開始するわ。みんな、行くよ!」

「「「了解!!」」」

エミリア達が部屋を去る。

米露戦争に参加したロシア人か………何故俺達の仲間に手を出したんだ?何か理由があるはずだ。

すると、ミミが部屋に入った。

「ゼロ君。陛下の伝言です。動いている部隊を止めろ。国民に不安を与えるからだと言われました。」

ここで入ってくるって事は、王も関与していることだ。アルタイル国王は信用できない。

もしかしたら、あいつらに手を加えるかもしれない。

「ミミ、お前は今から俺と来い。お前も国王に狙わせているはずだ。他のメイドもそうかもしれない。全員連れ出すぞ。」

「え?でも、」

「王は俺を抑える為、お前を人質に取るはずだ。だから、俺と来てくれ、頼む。」

ミミはしばらく悩んだ後、

「………分かりました。私はゼロ君に付いて行きます。」

「ありがとう、ミミ。」

後でお礼をしなきゃだな。

そして、俺は仲間達にそれぞれ指示した。王国を離脱する為に。




東町 あるホテルのホール

エミリア レギー 錬子

私達はこのホールで、武装準備をしていた。

佐山の報告によると、彼らはこの国に来ていて、どこかに隠れているらしい。絶対見つけてやる!

「第五部隊、準備は?」

「いつでも。」

レギーが言う。

「第十部隊は?」

「準備よし。」

錬子が言う。

「よし、私達の部隊も大丈夫よ。動けるわね。」

全員が答える。

「………華山、ソミア、宇佐見は私達の最高の仲間だった。」

仲間の何人かは泣いていた。全員が仲間の死を惜しんでいる。

「私達が死んだ仲間の仇を取るぞ!みんなの銃で、仲間を殺した奴を撃て!いいな!」

「「「「了解!!」」」」

「隊長!情報部の連絡です。犯人を発見。場所は南町の停泊場にいるとのことです。」

私の部下が報告した。

「聞いたね。行くよ!」

私達は敵のいる停泊場に向かった。




南町 停泊場

ロー

「何だって!奴らが来るだと!?どういう事だ!?」

私はある報告を聞いて、激怒していた。

「あいつらは戦争を経験している傭兵だ。私達じゃあ止められないぞ。」

その報告している奴はこの国の関係者だ。奴らに見つかったら終わりだ。すぐに報復するはずだ。

「いいか。お前は地下に潜れ。しばらく隠れているんだ。私が連絡するまで出てくるんじゃないぞ。」

すると、王国の男の声が無くなった。

「おい!どうした?返事しろ!」

すると、男の連絡が切れ、代わりに別の回線が来た。

『残念ながら見つけてしまったぞ、ロー元軍曹。』

この男の声を知っている。おそらくあいつだ。

「ゼロ、か。」

『久しぶりだね~、ロー。元気にしているかい?』

「何の用だ?私を殺すのか?」

『もちろん。たが、その前に、お前の話していた奴の事について聞きたいことがある。』

「何だ?」

『お前の雇い主はアルタイル国王だな?』

「………そうだ。奴が私を雇った。」

『国王は何か言っていたか?』

「確か、これで奴らを支配出来ると言っていた。間違いない。」

私を雇ったアルタイル国王は、軍事力増加の為に、奴らを召喚した。そして、奴らの兵力で戦争を始めようとしていた。その焚き付け役として、私達の傭兵団も召喚された。

『なるほど、だいたいは理解したよ。それで、お前達はそこからトンズラする気か?』

やはり、読まれている。

『ドアを見な。』

?ドアを見ると、知らない少女がそこにいた。

『逃がさないよ。お前達は仲間を殺した。その報いを受けろ。じゃ、パーティーの始まりだ。』

そこで、電話が切れた。

「あなたがロー元軍曹?なるほど、戦場を見ている目をしているね。」

その少女は、日本の和服の格好をした、黒髪の少女だった。

「何者だ?」

「私は第十部隊、隊員、南樹よ。」

第十部隊、ガンマン部隊か!

「私を殺すのか?」

「当たり前でしょ。仲間を殺したのだから。」

「ただで殺されないよ。お嬢ちゃん。」

私はマカロフを少女に構えた。

「ふーん。じゃ、始めるか!」

少女は腰から赤い拳銃を両手に二丁持ち、足を曲げ、跳躍の体勢になった。

死ね!

パン!

私は少女に発砲した。だが、少女は横に避けた。

「何!?」

銃弾を避けただと!?

なら、

私は少女にトカレフを連射した。

パンパンパンパンパンパン!

「当たらないよ!」

何と、少女は天井に飛び、天井に張り付きながら、避けた。

馬鹿な!?

もう一度撃とうとしたが、

カチン!

な、弾切れ………

少女は私に三発撃った。

パスンパスンパスン!

腹に命中し、銃創から血が流れた。

私はそのまま前に倒れた。

く、クソ。やられた。

「ロー元軍曹。あなたはここでお終いよ。」

「お前、人間じゃないな?召喚の時に変わったか?」

すると、少女は呆れた顔で、

「………やっぱり分かっちゃうか。やっぱり殺すしかないか。」

と言い、負傷している私に近づいた。

「冥土の土産に教えてあげるわ。私は、アンデットの血を引いているわ。」

アンデットだと?たが、体はどう見ても………

「そうか、混血か!?お前の血がアンデットの血と適合したのか!」

「ええ、その通りよ。じゃ、もういいかな?」

「な、何をする気だ?」

少女は口を開けた。歯が異様な形になっていた。

「………!」

「イタダキマス!オイシクタベルネ( ̄~ ̄)」

少女は私の耳を食べ、美味しく食べていた。

嫌、だ、誰か………

「美味しい。こんなに人間の肉が美味しい何て………」

バリッボリッガリッ

………………

バリッボリッガリッ

………………

バリッボリッガリッ

………………

「あ、忘れてた。………もしもし、ええ、………やっていいわ。」

ピッ

「ハア、ハア、ハア、もう我慢できない!」

バリッボリッガリッバリッボリッガリッ




その少し前、

私達は停泊場の入り口近くに待機していた。

第三部隊は建物の屋上で見張っていて、第十部隊は既に潜入していた。後は潜入した部隊が連絡すれば、すぐに突入つもりだ。

既に車列を準備して待機させていた。私は停泊場の入り口の見張りを始末するため、近くにいた。

錬子達、遅いな。

部隊が潜入してから、一時間が経っていた。

予定では三十分で連絡が来るはずだ。時間がかかっているのか?そう思いながら待っていると、

『もしもし、』

南樹から連絡が来た。

よし。

「南樹ね。やるわよ。いいわね?」

『ええ、やっていいわ。』

無線を切り、入り口の見張りに近づいた。

「止まれ。ここは立ち入り禁止だ。」

見張りは野戦服を着ていて、顔は目出し帽で覆われ、ヘルメットを被っていた。

銃はAK-47、G3アサルトライフルだった。

こいつらを何とかしないとね。

「これはすみません。この場所が気になって………」

AK-47を持った男が帰るよう、忠告した。

「さっさと立ち去れ。出ないと、」

「この銃で撃ち殺すぞ、でしょ?」

男達は驚いていた。

マヌケめ。

「ハイ、終わり。」

私は腰のコルトパイソンを抜き、早撃ちで男達の頭を撃ち抜いた。

男達は銃を撃つことが出来ず、そのまま倒れた。

ハハ、ハハハハハ。

さあ、始めよう。銃撃戦を!

「みんな!出番よ!」




「突撃!!」

優子が叫び、車列を出発させる。

ハンヴィーの車列だ。奴らの拠点にすぐ着く。

「ガンナー、準備!」

錬子の指示で、銃座にいる隊員が、M2重機関銃のボルトを引き、いつでも撃てるようにした。

「レギー、敵の位置は?」

錬子が停泊場の近くにある高い建物にいるレギーに敵の位置を探させた。

『発見。でかい木製の船付近に集まっている。』

「了解。狙撃出来る?」

『可能だ。やるか?』

「ええ、やっていいわよ。」

『了解。狙撃する。』

レギーに狙撃させ、錬子は前を向いた。

停泊場の門を突っ切り、そのまま直線に進んでいた。途中で左に曲がれば、大きい船がある場所に着く。

そして、左に曲がり、少し進んだところで、

箱を盾にして、道を塞いで撃ちまくっている敵兵を確認した。

「いいわ。射撃開始。」

ガンナーに指示、前の敵兵に向け、射撃した。

ドガガガガガガガガガガガ!

ドガガガガガガガガガガガ!

M2重機関銃の12.7ミリ弾が放たれ、敵兵の全身を破壊した。

「全車停止!車から降りて、敵兵を制圧しろ!」

バリケードの前で停車して、車から降り、私達は前に前進した。

「ガンナー、船を攻撃しろ。」

『了解。』

銃座にいる隊員は大型の船に向けて、射撃した。

ドガガガガガガガガガガガドガガガガガガガガガガガ!

ドガガガガガガガガガガガ!

「私達は前に、行くぞ!」

私達はバリケードを越え、近くの遮蔽物に隠れた。敵兵が攻撃してきたからだ。

「敵が来たぞ!反撃しろ!」

敵兵がそれぞれのライフルで、私達に攻撃した。

私はバリケードを遮蔽物にして、所々にある木箱で射撃している敵兵に、AR15でセミオート射撃した。

ダンダン!ダンダン!ダンダンダンダン!

味方も敵兵に向け、撃っていた。

敵兵はほとんどが7.62ミリクラスのアサルトライフルを隠れながら撃っていた。

途中、レギーの狙撃によって、敵兵の頭が撃ち抜かれていた。

レギー、ナイスだ!

敵兵の射撃が弱まった。後退しているのだろう。

「前進!」

私達は前に進み、敵兵を次々と倒していった。すると、前の船からオレンジの光が点滅した。

「隠れて!」

私達は敵の射撃を防ぐ為、遮蔽物に隠れた。

味方はそこから、射撃している。

私も船にいる敵兵に向け発砲した。

船にいる敵兵以外、レギーの狙撃で死んだみたいだ。

船のマシンガンが厄介ね……

おそらく、7.62ミリクラスのマシンガンを三人が手すりに立て掛けて撃ちまくっている。

このままでは前に進めない。

「優子!グレネートを!」

「分かりました!」

私は優子にグレネート射撃を指示した。

優子はスリングのMGL-140を構え、船のマシンガンに向け、発射した。

ポン!ポン!ポン! ポン!ポン!ポン!

40ミリグレネート弾が放物状に飛び、船のマシンガンを吹き飛ばした。

「命中しました!」

「ナイスよ!優子!全員進め!」

私達は更に前進した。すると、

『まずい。船が動いた。』

船が退避行動をとり、移動したのだ。

「了解!レギー、頼むよ!」

『了解。迫撃砲用意!』

遠くにいるレギーの部隊が準備済みの迫撃砲を構え、

『準備よし!』

『発射!』

すると、横の空から、榴弾が飛んできて、

船に命中した。

「やったー!」

「いいぞ!」

「破壊しろー!」

仲間から歓声が上がった。

「私達も援護するよ!船に穴を開けな!」

私達は離れようとする船に向け、一斉射撃をした。船はどんどん壊れ、最後は爆発して、

沈んだ。爆弾に当たったからだろう。

よし!任務完了!

私はボスに任務完了の報告をしようとした。

「ボス、敵拠点が制圧。これより離脱するわ。」

すると、

『錬子!今すぐ来てくれ!魔法による攻撃を受けている!』

え!?

「ボス!今どこ?」

『城の中だが、王国の兵士や魔術師が攻撃してきて、今逃げている!』

「待ってて!今からそっちに向かうわ!」

『了解!………ん?やばい、ハインドだ!』

そこで通信が切れた。

ボスが危ない!

「全員聞いて!城にいるボスが攻撃を受けている!助けに行くよ!Move!」

私達はボス救援のため、車に乗り、急いで向かった。

私達が到着するまで持ちこたえてよ、ボス!

私は遠くの城にいるボスに言った。

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