第一章 異世界生活 第十四話 冒険者

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ペガサス王国 東町 集会所

第五部隊

レギー 加奈子

俺たち第五部隊は、昨日EランクからDランクに上がり、クエストの確認をしていた。

集会所には冒険者が座って話す為の机があり、そこで俺たちは作戦開始まで寛いでいた。

「レギー、何のクエストを受けるの?」

「一応、行商人の護衛のクエストを受けるつもりだ。」

「じゃ、みんなに作戦の説明をしてね。」

「分かった。全員聞け。」

そして俺は作戦に参加する仲間に声をかけた。

メンバーは加奈子、零、支援隊から派遣された男女、合わせて8人。

加奈子は俺の彼女で、付き合ってもう20年以上経つ。小学校で初めて出会い、林間学校で告白して、それ以来、ずっと付き合っている。加奈子は小学校の時から可愛くて、よく他の男から狙われていた。その為、付き合う前も後も彼女を守るのには苦労した。その甲斐があって、彼女はずっと俺の事を好きでいてくれた。

零は、ボスの妹で、よく加奈子と仲良くしている。たが、彼女のあの豹変を知っている俺としては、ちょっと気まずい。

「今回やるクエストは、ある行商人の護衛だ。前から行商人の襲撃が相次いでいるし、他の冒険者ではやられてしまうから、俺たち指名のクエストになっている。」

「その行商人は?」

零が質問した。

「王国の行商人で、隣の国の資源を買って、この国で売っているらしい。今は行商を控えているが。」

「指名という事は、俺たちの銃が必要なクエストという事ですか?」

支援隊の一人が質問した。

「その通りだ。行商人を襲う盗賊は、銃を所持している。他の冒険者だと厳しいとの事だ。だから俺たちがクエストを受け、依頼を達成させる。」

「作戦は?」

「行商人の接触後、すぐに開始する。行商人の馬車の前後をハンヴィーで固め、行商人の仕事が完了するまで護衛する。ハンヴィーは防弾の銃座付きだ。」

「編成は?」

支援隊の20代の女性兵士が質問した。

「ハンヴィーは後からドライバーが此処に持ってくる。一旦は全員が乗るが、行商人の護衛の時は、俺、加奈子、零が行商人の馬車に乗り、残りはハンヴィーに乗って護衛だ。」

「馬車の数は?」

「全部で三台だ。あと、行商人が雇ったC級冒険者と共に護衛する。彼らは行商人の馬車に乗って護衛する予定だ。」

「使える?その冒険者?」

加奈子が質問した。

「行商人が見込んだ冒険者だから役には立つだろう。彼らも戦いを経験している。」

「決まったね。レギー、このクエストを受付に。残りは戦闘準備!」

「「「「サーイエッサー!!」」」」

仲間たちは準備をして、俺はクエストを受付に渡し、受注させた。

ドクたちの襲撃以来、盗賊の動きが活発だ。

ボスからは俺たちに警戒しろと言われた。

襲撃は必ずある。俺が一番警戒しないとな。

受注を完了し、仲間の所に戻ろうとした時、

受付嬢が声をかけた。

「あのーレギーさん、これから仕事ですか?」

「ああ、そうだ。」

「レギーさん、どうか気をつけてください。最近、盗賊の襲撃が増えています。彼らが襲ってくるかもしれません。」

俺は笑顔でこう言った。

「大丈夫だ。俺たちは強いからな。必ず戻る。安心しろ。」

そう言うと、受付嬢は笑顔で、

「はい!頑張って下さい!」

そして俺は受付嬢に挨拶して、クエストを開始した。



10:30

行商人の集合場所に着いた。王国の南にある住宅街で行商人のリーダーと話し、手筈通りに俺は真ん中の馬車に乗った。一緒に若い冒険者たちも一緒に乗り、ここから南にある村に向け、出発した。

10:45

王国の門を抜け、草原が広がる道を進んだ。

ボスから聞いた話では、南のこの草原は広く、盗賊のアンブッシュが多発しているらしい。しかも今日はこの近くにヘリは飛ばない為、盗賊の襲撃が発生する可能性が高い。

馬車の後ろから景色を見た。緑の草原が広がり、まばらに大きい木が点在していて時々、馬のモンスターが草を食べているところを見た。この世界の馬は、元の世界の馬とほぼ同じらしいが、凶暴なモンスターの馬もいるらしい。

そういえばボスの言っていたドラゴンは存在するのだろうか?このクエストが終わったら、聞いてみよう。

すると、反対側に座っていた冒険者の一人が俺に話しかけた。

「あの、」

「ん?何だ?」

俺は声をかけた16ぐらいの男に顔を向けた。

「お前たちは王国が召喚した奴らか?」

「ああ、そうだ。」

「俺はカイム、このギルドのリーダーをやっている。武器は剣だ。よろしくな。」

「私はエリ、魔法使いよ。王国の人気者に会えて光栄だわ。」

「私はクーフェよ。弓を使っているわ。よろしくね。」

「俺はレギー、この部隊の隊長だ。よろしく。」

すると、冒険者たちが驚いた。

「え?いや、お前、どう見ても俺たちより少し上ぐらいじゃん。」

「召喚された時に体が若返ってこうなった。俺も最初はびっくりした。ちなみに、他の仲間もそうだ。」

零が話に入って、彼らにその時の事を話した。

「いやー、あの時は夢かと思って頬をつねっちゃったよー。みんなも若返っていたし、あの時は多分みんな心に残ったと思うよ。あ、私は零だよー。今回、付き添いでこのクエストに参加したよー。よろしくー。」

その次に加奈子も話に加わった。

「私は加奈子、この隊長さんの彼女よ。よろしくね。」

「え、え~!?レギーさん、彼女いるの!?」

エリが他の誰より驚いていた。

そんなにめずらしいか?

「ああ、子供の頃から付き合っているから、もう20年以上経つなぁ。」

「もうそんなに経つのかぁ。やっぱり年をとると、早く感じるね。」

確かに、年が重なるにつれて、時間が早く感じるようになった。俺たちも長く付き合っているなぁ。

「へえー、お前も俺と似ているなぁ。」

「?どういう事だ、カイム?」

カイムとクーフェが顔を赤らめて、

「実は俺、クーフェと付き合っているんだ。」

え?マジか。

「え~!?そうなの!?」

「私は予想していたけど、本当だとは思わなかったわ。」

加奈子と零も驚く。

「いつから付き合っているの?」

加奈子が二人に聞いた。

「もう五年くらいかな。冒険者になろうとした時に出会って付き合ったからな。」

「彼が誘ってくれたの。俺と組まないかって。」

「クーフェ!言うな!恥ずかしい!」

「え~?私はあの時、うれしかったなぁ。あの時から私、あなたに惚れてたのよ。」

「え!?本当か!?」

「うん!あと、冒険者ランクが上がった時に………」

「クーフェ!これ以上言うな!」

お熱いねぇ~。まるで昔の俺たちみたいだ。

加奈子もそう思ったのか、顔がニヤニヤ笑っている。

「あなたたち、本当に昔の私達みたいだね。純粋なカップルで何だかこっちが恥ずかしくなるよ。」

「え?」

「私が彼と初めて会ったのは8歳の時。その時の彼はイケメンでよくクラスの女の子から人気だったの。」

そういえば、小学校高学年になった時、よくクラスの女子から話しかけられるのが多くなったな。あの時は分からなかったが、話しかけた女子は俺を狙っていたんだな。

「私はその時、彼と同じで同い年の男の子から人気で、何度か告白されたわ。」

え?それは初めて知った。

「そんなある日、彼と偶然出会って、一緒に帰ったの。趣味も境遇も同じで、楽しく話したなぁ。こんな日が毎日続いたから、幸せだった。その日から彼と仲良くなったわ。一緒に話したり、一緒に食べたり、買い物も行ったりしたわ。」

そうだ。加奈子と一緒に帰ったあの日から、

加奈子と仲良くなった。俺の事を理解してくれて、こんなに楽しく話せたのは加奈子だけだから、時間が経たない内に、俺は加奈子の事か好きになった。

「そんな日々を過ごしていると、自然と彼の事が好きになっていったわ。いつしか彼に告白したいぐらいに。」

そこで、俺が話の続きを話した。

「そして10歳の時だ。チラシで林間学校の事が書いてあって、その時、俺はこの時に告白しよう。そう思って加奈子を誘って、林間学校に参加した。」

「私は彼が誘ってくれて嬉しくて、思わず抱きついたよ。その林間学校は楽しくて、面白くて、思い出に残った。」

「そこでの生活は………いや、お前たちにはまだ早いな。」

「おい!気になるじゃないか。」

「話して下さい!」

「話の続きが気になります!」

食いつくなぁ。

「うーん…………」

自分の腕時計を見たら、11:20と示していた。

まだ着くのに時間がかかる。

「んじゃこうしよう。カイムのカップルの思い出話を一つ話すごとにしよう。それなら俺は話す。」

「えー!や、やめて下さい!どれも恥ずかしい思い出ばっかで、話すのがちょっと………」

「いや、クーフェ、これはある意味納得できる条件だ。話そうぜ!」

「えー!何でカイムはそんなやる気なのー?」

仲良しだな。喜ばしい限りだ。

そして、二人が争って5分、

「分かった………話すよ。」

クーフェが折れた。

「これは冒険者になって、彼と付き合って半年の頃です。クエストを終わらせて、宿に戻った時です。」

「俺とクーフェの部屋が手違いで一緒になって、お互いに気まずくなりました。その

………何というか………」

分かる。誰だって最初はそうなる。

「そんな時、私が気まずい空気に耐えれなくなってシャワーを浴びたんですけど………」

あ、何かオチが見えたぞ。

「俺が水をこぼして、タオルを取りに脱衣所のタオルを取りに行ったら、そこに………」

「………………」

二人は顔が赤くなり、喋らなくなった。

「そこに裸か着替え中のクーフェを見て、カイムがクーフェのパンチを喰らったんでしょ。」

エリさん!?答えなくても!?

「ああ~💖、お兄ちゃんの言っていた状況にそっくり遭遇した人がここに💖嬉しい~💖」

「零さん!?どうしたの!?目が!」

今の零の顔は、例えるなら、おいしいスイーツを食べた時の女子の顔だ。そういえば、零はアニメ的シチュエーションが好きだったな。零の変なスイッチを入れてしまったか。

「カイム君、クーフェちゃん、その話、詳しく教えて💖お願い💖」

「え!?あ、あの!?」

それから、スイッチの入った零の質問攻めによって、結局、目的地に着くまで、続くのだった。

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