第一章 異世界生活 第十二話 町でのハプニング

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ペガサス王国 東町 とあるホテル

ドク 錬子

「黒の悪魔か。」

「突然どうしたの、ドク?」

「零さんの異名さ。自衛隊の平和活動の際、

イラクの民兵と戦闘になったとき、彼女は小銃で20人以上殺した。さらに生き残りの民兵に拷問して、アフリカに民兵の拠点の情報を伝えた恐ろしいボスの妹さんだ。」

「風の噂で聞いた事があるよ。アフリカで恐れられている自衛隊員の少女が防衛のために何十人以上の民兵を殺し尽くして、日本でも手に負えなくなって、自衛隊を除隊させたという噂が。」

「そっちの方を知っていたのか。その後、僕たちの部隊に加わった。その時は全員で祝ったね。」

「改めて聞くと恐ろしいよ。あの子の噂。」

「ああ、そうだね。」

ここはペガサス王国の東町にあるホテルの一階ホールだ。ここで誰かと話すのにはちょうどいい場所だ。今は昼過ぎ。錬子さんと昼食を食べて、ちょっと話していたら、昨日の零さんの報告の話になった。彼女は盗賊の幹部から情報を入手して、周りから称賛されていたが、その幹部を殺してしまったのだ。たが、彼女はその事を覚えていないらしく、

安静のためしばらく休んでいた。

「で、零ちゃんは多重人格の障害を持っていたの?」

「いや、病院の記録ではそんな症状はなかったらしい。」

「ん?だったら、零ちゃんのアレ、どういう事?」

「分からない。僕も調べているけどね。」

「何か分かったら私に教えてね。」

「ああ、分かった。」

今度彼女の病院記録をもう一回調べよう。

「それで、ここに呼んだ理由は?」

ああ、忘れてた。

「ボスからの任務だ。ようやく冒険者の許可が出た。これからこの町の集会所に行って、

冒険者登録をするのが任務だ。」

「やっと?よし。だったら、さっさと移動しよ。早い方がいいでしょ?」

「そう言うと思った。分かった。移動しよう。」

僕たちは会計を済ませ、集会所に向かった。

そこまでの道は歩くのが大変なくらい渋滞になっていた。

何だ?何の騒ぎだ?

「どうやら、私たちの作戦の事を聞いて、騒いでいるようだよ。あの盗賊団、ちょっとは名の知れた集団だったらしいよ。冒険者並に強い奴がいたらしいって聞いたよ。」

あの盗賊団、そんな有名だったのか?僕も作戦に参加したが、奇襲とはいえ、そんな強いとは思わなかったぞ。すぐに腹這いになったし。

「まあ、あいつらは素人集団だからね。私たちが奇襲したから、びびったに違いないよ。」

そう話しながら歩いていると、集会所らしき建物の前まで来た。

「ここか。………大きいなぁ。」

さっきのホテルより大きいぞ。

「まあ、この町唯一の集会所だからね。大きいのもうなずけるよ。」

「ここで登録するよ。いい?」

「もちろんいいわ。冒険者もやってみたいし。」

「分かった。じゃ、入ろうか。」

「ええ。」

そして、集会所の扉を開け、中に入った。


中には、たくさんの冒険者の人が、待機していたり、張り紙を確認してたりしていた。

マッチョな奴もいるなぁ。あ、魔法少女もいる。あっちには剣士の奴がいるなぁ。

本当にいろいろな冒険者がいた。中には、露出の激しい防具を着た美女がいた。

あれ、防御力あるのか?気になるなぁ。

そうして、受付のカウンターまで来て、20代後半の受付嬢と話した。

「こんにちは。今日はどのような用件で来ましたか?」

「ああ、冒険者の登録をしたくて。」

「冒険者の登録ですね。少々お待ち下さい。」

受付嬢は冒険者登録の準備をしていた。

「不合格だったらどうしよう?」

「私に聞かないで。」

不合格だったら、任務失敗だ。そこだけは何とかしなくては………

しばらくして、受付嬢が戻って来た。

「お待たせしました。それでは、登録の前に

いくつか質問させて下さい。」

「ええ、いいわよ。」

「あなたたちはヒューマンでいいでしょうか?」

「ヒューマン?ええ、そうです。」

「はい、分かりました。次は使う武器を教えて下さい。」

「武器はコレですけど。」

そして僕と錬子さんはお互い拳銃を出し、机の上に置いた。

「……………え?コレは?」

「知らないのか?拳銃ですよ。ここのやつではないけど。」

「え!?まさかあなたたちは外からの?」

「ああ、そうだけど。」

受付嬢は恐る恐る僕たちに質問した。

「あの、名前を聞いてもいいですか?」

「ああ、僕はドク。」

「私は錬子だよ。」

「………分かりました。それでは、冒険者登録について説明します。」

そして僕たちは、受付嬢の説明を聞いた。

「冒険者登録をすると、集会所から冒険者カードが渡されます。そのカードは冒険者の身分を証明する上で非常に大切な物です。無くさないようにして下さい。」

「無くしたら罰金ですか?」

「いえ、無くしてしまいましたら、その時点で登録は破棄されます。」

ええ~。無くしたら終わりじゃないか。

「次に冒険者ランクについて説明します。冒険者ランクには、低い順に、E、D、C、B、A、S、SS、そして最高ランクのSSSとランク付けされます。」

「つまり始めはEからで、上がりたかったら、依頼を達成し続ければいいのね?」

「はい、その通りです。依頼をある程度達成すれば、次に此処に来た時に自動更新されます。」

「ちなみに、最高ランクの人はいるのかい?」

「いえ、SSSランクの冒険者はいなくてSSランクの冒険者が一人、その冒険者が最高ランクの冒険者となっています。」

なるほど。

「大体分かりました。それで、どうやったら冒険者になれるのですか?」

「では、この水晶に触れて下さい。」

そして、透明な水晶が置かれた。

え?何?どういう事?

「この水晶であなたたちの魔力が分かります。残念ながら魔力がないと冒険者になれません。」

え?嘘?魔力がなかったら冒険者になれない?

錬子さんもどうやら同じ気持ちだった。

「ドク、どうする?」

「やるしかない。僕が先にやります。」

「分かりました。それでは水晶に触れて下さい。」

どうか少しでも魔力がありますように!

そう思い、右手で水晶に触れた。

………

5秒後、水晶が緑色に光りだした。

「うわっ。」

「おー。」

「え!?嘘でしょ!?」

受付嬢が驚いた。

「どうしましたか?」

「い、いえ。次は錬子さん、お願いします。」

そして錬子さんが水晶に触れる。

………………

7秒後、

水晶から風が吹いた。

え?風?

「え?何で風が?」

「あなたたちは一体?」

相変わらず受付嬢は驚いていた。

「え?ヒューマンですけど。」

僕は反射的に答えた。

「………少しお待ち下さい!」

と言い、受付裏の部屋に急いで行った。

「おい、あいつら水晶に変化があったぞ。」

「あの男、緑色に光ったな。」

「あの嬢ちゃんに至っては、風が吹いたぞ。」

「あいつらもしかして………」

と、後ろに座っていた冒険者たちが何やら騒いでいる。

え?何だ?

「ドク、これ、やばいやつ?」

「多分………」

僕たちは訳が分からなくて、混乱していた。

すると、受付裏からさっきの受付嬢と責任者らしき60代男性が現れた。

「お前たちか?異常な結果を出した奴らは。」

「あなたは責任者ですか?どういう事です?」

「お前たち、もう一度水晶に触れてみろ。」

え?あ、はい。

僕が先に水晶に触れた。

5秒後、緑色に光りだした。

「!!これは!!」

責任者の男が水晶を見て、驚いていた。

「ダイルさん、これは?」

ダイル?責任者の名前か?

「これは、奇跡だ!奇跡の瞬間だ!」

何だ何だ?

他の冒険者も気になって近くに集まっていた。

「あなた名前は?」

なぜ呼び方を変えた?

「ドク、ですけど。」

「ドクさん、いや、ドク様!あなたは回復精霊の生まれ変わりです!」

回復精霊?生まれ変わり?どういう事?

「しかも、回復精霊の長の生まれ変わりです!」

ええええーーーーー!!!!

僕と錬子さん以外は大声を上げた。

「錬子さん、説明して下さい。」

「私に振らないでよ!」

いや、僕、どれだけ凄い存在なんだ?

「ダイルさん、回復精霊とは?」

「今から1000年前、この国に存在した伝説の妖精だ。その精霊は、どんな傷を治し、どんな病気も治す、精霊の中でも最上級の存在だった精霊だ。」

つまり、万能な妖精だったって事か。

「だが40年前、回復精霊様が異世界に転生すると言い、この世から姿を消した。」

ん?待って、40年前って!?

「40年前って、あんたが生まれ時じゃん!」

錬子さんは気づいたようだ。そう、僕は今40歳。体は若返ったとはいえ、歳は変わらない。だが、この国の回復精霊が僕の生まれた日にちと同じなら、彼の言った話は本当になる。僕は恐る恐る聞いた。

「あの、具体的に40年前のいつ頃でしょうか?」

「あ?確か………ああ、そうだ。6月の20日だ。間違いない。」

………嘘だろ?

「ド、ドク。あんた確か誕生日、その日だったよね?」

「………き、奇跡だ!本当に回復精霊様の生まれ変わりだー!」

周りから歓声が上がる。

「………ド、ドク。なんか………ごめん。」

「………………」

言葉も出ない。誰かドッキリだと言ってくれ。

「ちなみに錬子さん、あなたは風の精霊が付いています。何の精霊なのか分かりませんが。」

受付嬢、錬子さんの診断を言うのなんか僕と違わないか?

「ドクさん、あなたは幸運な人だ。みんな、祝杯だー!」

イエエエエエエエイ!!!!

………………これ、何て報告すればいい?

そう心で呟いた。

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