第一章 異世界生活 第五話 大規模調査後編

「アメリカのあの女優、まだやっているかね~?」

「えぇ、確かまだやっていると聞きました。不倫疑惑で危ないと聞きましたが。」

「あの人毎回家でヤってるって噂だよ。週に何回か男の姿が目撃されているって雑誌に書いてあったよ。」

「マジか!あいつ女優じゃなくて娼婦やった方がいいぜ。なぁ、社長?」

「あぁ、ここだけの話、あの女優、前まで❤な仕事をやってたらしい。捜査任務の時、彼女の元カレが話してくれた。泣きながらな。」

「マジですか!?バレたらスキャンダルものですよ!」

「異世界でもなぜかネットが繋がっていることが分かったから、匿名でばらそうかなぁ。」

「社長~汚いですよww」

ハハハハハハハハハ!!

出発してから30分が経過した。一緒に乗っている仲間たちと雑談して、暇潰しをしていた。内容は下世話ばかりだが、笑って楽しく

話した。

トムは白人のアメリカ人で、なかなか緊張が解けなく、敬語を外してもいいと言っても、敬語が外れない。ここに来る前はレーサーをやっていて、運転は上手い。

体とハンドルの間にH&K社製のG36C5.56ミリアサルトライフルをスリングで吊っている。腰には同じH&K社製のUSP,45をホルスターに入れている。

「私は学生の頃から憧れて入隊しました。家族には猛反対されましたけど。」

そう言ったのは、SAT装備のジェニーはアメリカ人と日本人のハーフで、大学生から会社に入って、第15部隊に所属している。

両手には、H&K社製のMP5の伸縮ストックタイプのA5を持っている。腰にはベレッタ社製のM92F。

マックはアフリカ系アメリカ人で、気さくで面白い男だ。よくみんなを笑わせる。

武器はアメリカ製のM16A5を座席に立て掛けている。腰にはM45A1。

銃座にいるメリルは話に参加しているが、周囲の警戒を緩めずに見張っている。敵が来たら、M2機関銃で吹き飛ばす気持ちで。

まだ出発して35分ぐらいたが、この装甲車ぐらいなら、あと30分ぐらいで村に着くだろう。他の部隊はわいわいと雑談しながら、周囲の警戒をしていた。このメンバー、この戦力なら何が来ても返り討ちに出来る。その自信はあった。

すると、護衛のコブラのパイロットから無線が来た。

『こちらコブラ2。ボス聞こえますか?』

『ああ、こちら0号車、どうぞ。』

『前方5キロに騎兵らしき武装集団を確認しました。どうぞ。』

ついに来たか。話し合いが出来れば楽に進める。なら、

『了解、コブラ2。全車両にそのことを伝える。リトル1、リトル2、周囲警戒。コブラ2、武装集団を偵察して、詳しく話してくれ。ソナー2、コブラ2と同行せよ。』

『コブラ2、了解。』

『リトル、了解。』

『ソナー2、了解。』

パイロットたちは、それぞれ方向に向かった。

さて、次は、

『全車両、残り4キロで停車する。コブラ2が何やら騎兵らしき武装集団を確認したとのことだ。1号車、2号車、3号車はガンナー以外は俺たちと来い。残りは周囲警戒しろ。』

全部隊が了解して、武装の確認をした。

ここで遭遇するのは、意外に早いな。素性は知らないが、多分どこかの国の騎兵隊に違いない。なんとか穏便に済ましたいが、あっちがどう出るか分からない。

「ボス。奴らをどうしますか?」

トムが不安そうに聞いてきた。

「なるべく穏便に済まして、そのまま進む。ダメだったら、殺るぞ。全員いいな?」

「「「「了解!!」」」」

仲間から大きい了解が聞こえた。

異世界で初めての人間か。警戒と同時に楽しみだな。

俺は顔をニヤつかせ、静かに笑った。


5分後、コブラ2の言っていた騎兵隊を確認した。中世ヨーロッパの甲冑みたいな鎧で固めた奴らだった。腰に剣、背中に弓を装備して、馬に乗っている。どうやら、俺たちを待っていたようだった。一人馬に乗らず、仲間たちの前で俺たちに向けて仁王立ちしていた。

俺は仲間たちに指示通りに行動しろと伝え、

車両を停めるよう言った。

「全車両、止まれ。指示通りに展開しろ。」

車両を停めて、外に出ようとドアを開ける。

「俺が奴らと話す。他は周りを見張れ。いいな?」

「「「「了解!!」」」」

仲間に周囲の警戒を任せて、外に出て、そのまま騎兵隊の方に向かった。仲間たちはすぐに警戒態勢をとり、それぞれの方向に向けて見張った。

さて、まずは、言葉が通じるか試そう。話しが出来ないと、始まらないからな。

そう思って、声をかけた。

「この中に指揮官は居ないか?話がしたい。」

すると、さっきまで仁王立ちしていた騎兵がこっちに近づき、残り3メートルで止まり、甲冑の兜を外した。40代ぐらいの強面の男の顔があった。

「お前らが異世界から呼ばれた人間たちか。

私はペガサス王国近衛騎士団長のジョスだ。

お前が兵団のリーダーか?」

俺は驚いた。まさかいきなり召喚させた国の兵士が俺たちを待っているとは。

(こいつ俺たちが異世界から召喚させたと言ったな。何か知っているな。聞いてみよう。)

「俺たちのことを知っているみたいだな。何が目的だ?」

「それは後で説明する。我々はお前たちを迎え、我々の国に連れて来るよう陛下から言われた。我々と同行してもらおうか。」

仲間たちが俺を守るため零が俺の横につき、

他の仲間が騎兵たちに銃を向けた。騎兵たちも剣を構えた。

俺とジョスという団長は部下に武器を下ろすようサインした。

「ジョスと言ったか?俺たちはお前たちを信用していない。当たり前だろう?ついてこいと言わせて、はいそうですかと言ってついて行く奴がいると思うか?」

「信用出来ないのも無理もない。勝手ここに飛ばした奴がついてこいなんてほざいているからな。たが、我々はこれ以上は言えない。敵対する気はない。どうか我々と来てくれ。頼む。」

と言って頭を下げた。ジョスの部下たちが驚く。

「団長!何で頭を下げるのですか!?なりません!」

「頭を下げるべきなのは奴らなのです!団長が頭を下げる必要はありません!」

部下たちが頭を下げるのをやめるようジョスに言っていた。騎士団長クラスが頭を下げるのは、よほどのことがない限りないだろう。

(国のゴタゴタか?部下がうろたえるほど危機的状況なら、これをネタにして揺さぶりを掛けよう。後でな。)

そう考えた俺は要求に応じた。

「分かった。ついて行く。ただし、召喚させた理由と俺たちの権利を保障することを条件とする。分かったか?」

ジョスは、高揚した声で感謝した。

「ありがとう。助かる。それでは我々の後ろからついて来てくれ。」

ジョスの意見に従って、車に乗ろうしたとき、

「9時方向!何かの集団が接近!」

左を警戒していたクランが報告した。その方向を見ると、武器を持った緑色の化け物集団がこっちに向かってきた。

あれはゴブリンか?なぜこのタイミングで?

5、60体はいるぞ。

「クソ、全員突撃用意!!」

ジョスは部下に突撃用意を命じた。

騎兵たちは剣を構え、馬を走らせる用意をした。

待て。お前たちが行くのは困る。死んだりしたらどうする?

「その必要はない。我々があなたたちより早く対処する。下がっていろ。」

ジョスが反対する。

「相手はゴブリンの群れだぞ。下手したら、死ぬぞ。」

「大丈夫。俺たちは攻撃する手段がある。コブラ2どこにいる?」

『こちらコブラ2。現在待機中。指示を。』

コブラ2に指示する。

「赤いスモークを撃つ。そこにミサイルを撃て!」

『了解、攻撃する。スモークを。』

俺はM4A1に付いているM203グレネードランチャーにスモーク弾を入れ、コブリンの群れに向けて発射した。

ポン!

きれいにコブリンの群れ辺りに着弾して、赤い煙が広がった。

『座標を確認。ミサイル発射。』

バシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュウ~ン

コブラ攻撃ヘリの左右に搭載しているヘルファイヤミサイルが発射され、ゴブリンの群れに全弾命中。

ボカ~~ンボカ~~ンボカンボカンボカンボカンボカンボカ~~ン

ゴブリンたちは爆風で体が吹き飛ばされ、ほとんどのゴブリンがミサイルでやられた。

「Foooooo~!!」

「いいぞ!化け物がミサイルで消し飛んだ!」

「いぇ~い!さすがよ~!」

仲間たちの歓声が爆音の後に挙がった。

ジョスたち騎兵隊は静かに驚いていた。残虐なゴブリンたちを短時間で吹き飛ばしたから、相当驚いているようだった。

「何が起こった?」

「爆発魔法か!?」

「いや、あんなに爆発は起こらない。そのはずだ。」

「じゃああの威力は何なんだよ?一瞬夢を見てたかと思ったぞ!」

ブゥゥゥゥゥウウウウウン

コブラヘリが通り、風をふかした。

「おい。あれはなんだ?すごい兵器だな!」

とジョスが言ってきたが、

「まだだ。何体か生きてる。ジェニー、一緒に奴らを排除するぞ。他は攻撃するな。周囲にまだ奴らがいないか警戒しろ。」

「「「「「了解!!」」」」」

そう言って、周りの警戒をした。

俺とジェニーはゴブリンの生き残りを処理するため攻撃された跡の平地に向かった。

生き残りのゴブリンはわずか8体ぐらいだった。そのほとんどが負傷して倒れていた。

10メートル離れた所から生き残りのゴブリンに向けて発砲した。

ダダダダダンダダダダンダダダダダン

パラララララララ パラララララララ

M4A1の5.56ミリ弾が、MP5の9ミリバラベラム弾が、ゴブリンの体に穴を開け、とどめを刺した。

「クリア。」

「クリア。」

俺とジェニーはそう言って、みんなのいる方へ戻った。

「コブラ2。他に敵は?」

『周囲に敵影は見えません。全滅した模様。』

「了解、コブラ2。元の配置に戻れ。」

『了解。燃料補給のため基地に戻ります。』

コブラ2は基地に撤退した。

コブラ2の燃料補給が終わって戻ってくるまでそんなに時間はかかんない。先に進もう。

俺は仲間の状況を確認した。どうやら全員無事のようだった。

確認した後、ジョスたちの方に行った。

「片づけました。さぁ、移動しましょう。」

「……………」

「?おーい。聞こえてるー?」

「…………はっ!」

ジョスはこっちの声が聞こえたのかようやく話を聞けるようになった。

「大丈夫?」

「あ、ああ。」

「片づけました。なので、あなたたちの国へ案内してください。」

そう言うと、ジョスは質問をし始めた。

「さっきのあれは何だ?お前たちの兵器か?すごい攻撃だったぞ!ゴブリンの群れをほぼ全滅させるとは!」

興奮しているのか、落ち着きがなかった。

まあ、あっちから見れば見たことのない攻撃だったから無理もない。

「後で説明します。とりあえず案内してください。あなたたちの国に。」

ジョスはなんとか落ち着いて、

「分かった。案内する。付いて来い。」

ジョスたちは国のある方に向き、俺たちの準備を待った。

俺たちはすぐに車両に乗り、エンジンをかけ、ジョスたちに付いて行った。

「お疲れ様です、ボス。」

トムが言ってきた。

「ああ。とどめを刺すだけの仕事だったけどな。」

「初めてゴブリンを殺した感想は?」

「最高だった。目の前でゴブリンを殺すのは初めてだったから興奮した。」

ジェニーも同じく、

「ゲームに出てくるモンスターを初めて自分の手で殺るのはうれしくて、銃を力強く握り絞めたわ。」

「なるほど。代わって欲しかったです。私も撃ちたかったですよ。」

「だ~め。また後で撃たしてやるからその時にな。」

「了解です。その時まで待っています。」

その後は、仲間からゴブリンのとどめを刺した感想を聞かれた。全部答えるのに時間がかかった。

俺はまだ興奮している。アドレナリンがまだ出ているからだろう。俺はゴブリンを殺したことを笑わずにいるのに必死だった。

そうして俺たちはペガサス王国に向かった。








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