第63話中間テスト

「ゆう君‥わざと赤点取らないでよ。」


「はい!」


「あと、普通にしてくれない?」


「了解~分かってるわ!」


後遺症で二週間、渚の言うことを知らず知らずに自然としている自分がいた。


「そうそれが良い。調子狂っちゃう。」


「うるせーよ!お前のせいだろ?バカ女!」


「それは、言い過ぎ!」


ふんと鼻をゆうは鳴らした。


誠や舞、美里が最近、部室に来なくなった。


ぼっちのゆうとしては気楽だが何故だかよそよそしい。


渚とテレビを見て過ごすのは日課である。


「最近さぁ、誠と話した?」


「話してないけど、彼氏が出来たって噂らしいよ。」


「それは、良かったな。」


渚の言葉にゆうは少し動揺した。


「舞は?最近休んでるみたいだけど。」


「舞は、ラスベガス。」


マジかよ‥。


「美里は?」


「バイトが決まったって凄い喜んでたよ。」


バイトねぇ。


「みんな色々あるんだな。俺は野球ゲームばかりしてて世間知らずって訳だ。」


「心配いらないわよ。」


心配してるのか?俺は?


「わたしは、ゆう君の側にいつまでもいてあげるから。ね!」


「サンキュー!」


中間テストの結果は赤点ギリギリだった。


わざとじゃなくて‥。


渚に、無視されてる間の授業の記憶を失くしてたのだ。

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