第31話 ギリシャの軍人

 ギリシャの王子メラネーオスが、トロヤの王女ヘレネ―のことが好きになって、力づくで奪うために、ギリシャ軍全軍でトロヤに攻め込んで、王女ヘレネ―を奪うことになった。

 ギリシャ人はどれだけ迷惑なやつらなんだよ。たった一人の女を手に入れるために、国をあげて戦争をするなんて。

 トロヤの王女ヘレネ―より、ヘラクレスの母ちゃんヘラとか、ヘラクレスの親戚のお姉ちゃんヴィーナスとか、ヘラクレスの妹のアテネとか、のが美人だと思うんだけどな。なんてくだらない戦争だ。(ちなみに、アテネさんはアテネポリスの村長だ。まだ未婚だ。)

 王子メラネーオスも美人の嫁さんがもらいたかったんだろうけど、なんで、トロヤの王女じゃないといやなんだよ。ギリシャに他に美人の女はいるんじゃないのか。そこまで、トロヤの王女ヘレネ―って美人なのか。

「いや、王女ヘレネ―を見てみたが、確かに美人だが、そこまで抜きんでた美人ではないぞ」

 なんで、王子の求婚のために、ギリシャ人は戦争に行くんだ。やってられないだろうな、ギリシャの男たちも。

 トロヤの王女ヘレネ―を妻にしても、それより、ヘラさんの夫ゼウスとか、ヴィーナスの夫ディオニッソスとかのが良さそうだもんな。ディオニッソスさんなんて、村一番の醜い男といわれてるけど、鍛冶の腕は一人前だから、奥さんのヴィーナスさんと仲良しで、幸せそうだもんな。

 戦争が長引いて、みんな、トロヤの王女ヘレネ―なんてどうでもよくなってきたから、いったい美人の女とはどういうものか、ギリシャ軍みんなで考えるようになってしまったぞ。

 ギリシャの男みんなで話し合ったところ、ギリシャいちばんの美人は、パンドラさんだということに決まった。だけど、そのことを王子メラネーオスには教えるなってさ。パンドラさんこそ、美人だ。パンドラさんのことをみんな、「最初の女」って呼んでる。それくらいにパンドラさんは美人なんだよ。

 パンドラさんはエピメテウスと結婚していて、親戚にプロメテウスがいる。プロメテウスは、火を盗んだ罪で刑罰を受けている。ギリシャいちばんの美人の親戚に犯罪者がいるんだなあ。プロメテウスは手先が器用で、いろいろな道具を作るのがうまいらしい。でも、縛られて獄につながれている。

 また、ゴルゴン三姉妹も美人として評判が高かった。ゴルゴン三姉妹の長女ステンノ、次女エウリュアレの二人は、強さと美しさから「不死」とあだ名された。三女メドゥーサも強く美しかったが、二人の姉には劣るとされ、「限りなく不死に近い」といわれた。ゴルゴン三姉妹も評判の高いギリシャの美女だ。

 ギリシャ軍の総司令官はアガメムノンだ。アガメムノンが戦争の指揮をしている。戦争が十年間にも長くなったから、アガメムノンのやり方にも文句が出てくる。「トロイの木馬作戦」でなんとか、トロヤに戦争に勝利した。もう、王女ヘレネ―は十歳も歳をとってしまったよ。やっと戦争が終わるんだ。長くくだらない戦争が。

 戦争が終わり、勲功第一はヘラクレスということになった。ヘラクレスの父ゼウスは大喜びで、やりたい放題やるようになってしまった。息子の手柄を父親が奪いやがって。ゼウスはヘラクレスの父ってことでモテモテで浮気ばかりするようになったから、奥さんのヘラさんが怒ってるらしい。


参考文献。

ホメロス「オデュッセイア」

ヘシオドス「神統記(テオゴニア)」

ヘシオドス「仕事と日々」

プラトン「饗宴」

プラトン「メノン」

アイスキュロス「縛られたプロメテウス」

ソフォクレス「オイディプス王」

オウィディウス「変身物語(メタモルポーセス)」

アポロ―ドロス「ギリシャ神話(ビブリオケー)」

ブルフィンチ「ギリシャ・ローマ神話」

ウィキペディア。

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