第22話 岩石配列
マントル生物は、塩基配列ではなく、岩石配列によって生成される。右部と左部の岩石配列から岩石生物はできている。
岩石生物の祖先は、巨大岩石配列の東部から旅をして、六万年かけて西部にたどりついた。その時、西部にある巨大岩石配列が東部の巨大岩石配列とそっくりなことにびっくりした。巨大岩石配列が何なのかわからなかった。岩石生物は、自分たちの岩石配列と巨大岩石配列にどんな関係があるのか考えた。
戦いに勝利しても、次世代にその結果は引き継がれない。巨大岩石配列の意味が解明される以前の古代では、そう考えられていた。偶然との戦い方。偶然との戦いの結果。論理立たない相手との戦い。論理立たない相手の深層構造を探る戦い。そして、地底生物たちは、巨大岩石配列が地底世界の設計図だと知った。我々は世界の設計図を作っていたのだ。岩石生物は岩石配列の一種で、巨大岩石構造の東部と西部は二か所のデータベースの情報交換だった。
偶然によって決まると思っていた世界の未来は、巨大岩石配列によって決まっていた。何億年と戦い、ようやくそのことに気づいた地底生物は、巨大岩石配列を世界の根拠と呼んだ。
巨大岩石配列の自然淘汰は、地底生物たちの世界を変えたいという作戦によって変化していた。地底生物たちの巨大岩石配列を壊そうという戦い。巨大岩石構造を作り直そうという戦い。岩石をもっと粗くしよう。岩石をもっと細かくしよう。岩石の成分を変えよう。地底生物たちは巨大岩石配列に突撃して消えていった。そのたびに巨大岩石配列は進化した。地底世界はどうなるのか、それは誰かの意志ではなく、巨大岩石配列の欠損、重複、挿入によって決まる。巨大岩石配列は世界の遺伝子。地底の歴史は世界を変えるための戦いの歴史。
そして、古代から現代までの世界の根拠を把握していたものたちの仕掛けが動き出し、地底世界は幸せになった。
歴史家は、わかっていたものたちの名前を書き連ねて記した。
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