第38話 ダブルデート 十一
「…えっ、『いいです。』って何が…?」
「前の告白の返事です。
私も、豆田さんとお付き合いしたいです!」
その森川さんの一言に、今までうるさくしていた僕は黙り、辺りに静けさが漂う。
「えっ、ええええええええ!」
その静けさを破ったのは、僕のバカみたいな大声だった。
「で、でも、何で僕なんか…?」
「一応言っておきますが、私、時川さんみたいな人、タイプじゃないんです。もちろん時川さんは悪い人じゃないと思うんですけど、私、あんな風におしゃれすぎる人と一緒にいると、気後れしちゃう感じがして…。あ、もちろんこれは豆田さんがおしゃれじゃない、って意味ではないですよ。」
森川さんは続ける。
「それに私、今日豆田さんのいい所、発見しました!
今日豆田さん、みんながエレベーターから降りる時に、ずっと『開く』ボタンを押して、みんなが外に出るのを待ってましたよね?
ああいったさりげない気遣いができる人、私は好きです!
もちろんそれだけじゃなくて、全体的に私と豆田さんは気が合う、って思ってます。
だから、豆田さんが嫌じゃないなら…、」
「もちろん、喜んで!」
僕は、またもバカみたいに大声を出す。
「じゃあこれから、よろしくお願いします、森川さん!」
「はい、豆田さん!」
僕たちはそう言い合い、その日から両想いになった。
「じゃあ、今日は私たちの初デートですね!」
森川さんの一言に僕は、
「じゃあ今日は、記念日ってことで!」
と、半分冗談交じりの口調で返す。
こうして僕たちは、そのまま車を降り、「初デート」をした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます